第10話 災厄なるイケメン!キャスパリーグ!2
「まったくけしからん話だにゃ! 我が物顔でずかずか人の家に入り込んで! ひどいヤツだにゃ!」
「俺からしたら、スズもそう変わりない気もするけど……」
「なんか言ったにゃ?」
「ナンデモナイデス」
キウイとスズは、あてもなくそのへんをブラブラした。
「せめて制服を着替えたかった……」
「もう仕方ないにゃ。このまま制服デートとしゃれ込むにゃ。商店街に話題のスイーツ屋さんがあるにゃ、おごれだにゃ」
「やっぱ俺、ATMにされてない?」
とりあえず行った。他に行くとこないし。
*
「そしてスイーツ屋に着いたけど、女の人ばっかりだ。居心地悪い」
「堂々としてるにゃ。スズと一緒なんだから変じゃないにゃ」
「スズも見た目ちんちくりんだからね? 全然溶け込めてないからね?」
「しかしずいぶんキャーキャー騒がしいにゃ。スイーツ屋さんでなんでこんなに沸き立ってるにゃ?」
「あれじゃない? イケメン店員の手作りパフォーマンスやってるよ」
目を向けると、金髪のイケメンが華麗に生クリームをしぼったりフルーツをカットしたりしていた。ねこみみの。
「あれ、この展開もしかして……」
イケメンはキウイに顔を向け、宣言した。
「待ち構えていたよマタタビ人間! ボクはキャスパリーグの分霊ハンサミィ! 君をボクの手中に収める!」
「やっぱりだー!? いや待ち構えてたってなんで!? 俺ら自発的にここに入ったよね!? 俺らが来る保証どこにもなかったよね!?」
「来なければ待つさ! スイーツを作りながら! いつまでも! なぜならボクは、イケメンだからッ!!」
「バカだ! こいつバカだ! ステータス配分を顔面99に割り振ったタイプのバカだ!」
「それは違うぞマタタビ人間! ボクの顔面ステータスは99ではない! いちおくまんだ!!」
「バカだー!! 数字がデカければすごいと思ってるバカだー!!」
「彼はキャスパリーグの分霊ハンサミィ!!」
「それ本人が言ったよ母ちゃん!? なんでいるの!?」
「キャスパリーグとはイギリスの伝承に登場する化け猫! 豊穣をもたらす豚から産み落とされた災厄の猫とされ、アーサー王伝説にも登場する強大な存在ですもぐもぐ」
「スイーツ食ってるー!!」
「息子よ、ここのスイーツは絶品です。夕飯の準備をほっぽり出して通うに値する味です」
「俺の夕飯どうなるの!?」
「心配いりません、作ってあります。アブリマルさんが」
「俺の日常が猫たちに侵略されてる!!」
イケメンことハンサミィは、キウイの前に立ちポーズを決めた。
「豚の母を持ちながらイケメンという罪を背負って生まれたこのボク、その罪をつぐなうためにさらなる力が欲しい! そういうわけでマタタビ人間はボクのものになるべきだ!」
「させないにゃ。キウイをどうこうしたいなら、このスズを倒してからにするにゃ」
「それはつまり、力ずくでやってみろということだね?」
「そのキレイな顔に傷がついても知らないにゃ」
「イケメンとして、女の子に暴力を振るうのは不本意だけど、それがボクの罪だというなら甘んじて受け入れよう! レッツバトルだ!」
「もう勝手にやってろよ!! 俺をめぐって好きにバトルしてればいいよチクショウ!!」
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