第20話 猫よ結束せよ!キウイ奪還作戦!2

 ねこじゃらしマスター・エノコローの自室。オレンジの明かりがゆらめき、インセンスの香りがただよう。


「ケヒャヒャヒャ……マタタビ人間キウイィ、オレの技術でェ、そのマタタビパワーをしぼり取らせてもらうぜェ……!」


「あのー、俺の体に塗ったくってるこのオイル、これもしかして……」


「そォう……オイルマッサージだァ……! オレの技術で全身をもみほぐしィ、オイルにマタタビエキスを存分に溶かし込むのさァ……!」


「俺もうマジメに聞かなくていいかな!?」


「ケヒャヒャヒャ、そう言うが肩こりがひどいぜェ……!」


「あっマッサージは普通にうまいッ……すごいほぐれる……」


「当然だァ……! オレは猫をモフることにすべてをかけた男ォ、指圧師の資格も持ってるぜェ……!」


「ホントその熱意の使い方に疑問はなかったの!?」


「息子の貴重な姿が見れました」パシャパシャ


「なんで写真撮ってんの母ちゃん!?」


「せっかくですから」


「返して!! 今までの緊迫感を返して!!」


 そのときものすごい音が鳴り響き、天井が崩れた!


「急展開にもほどがあるー!!」






 外。エノコロー宅に、巨大なピラミッドが叩きつけられていた。


「これですんなり終われば、いいけどねぇ」


「きっとそう簡単ではないにゃ」


 はたして、家の中からエノコローは姿を表した。ねこじゃらしがクッションになり、ピラミッドを浮かせていた。


「ずいぶんとヤンチャしてくれたなァ……玄関に呼び鈴もあるし、猫用の出入り口も作ってあるのによォ……!」


「スズはそんなにお行儀よくないにゃ。それに知ってるはずだにゃ? 猫はわがままで自分勝手だにゃ」


「ケヒャヒャヒャ! 確かになァ……ま、怒ってねェぜェ。楽しいお友達をいーっぱい連れてきてくれたんだァ、歓迎するぜェ……!」


「ケッ。オレサマと生半可な覚悟で遊んで、ヤケドしても知らねえぜ?」


「イケメンにはイケメンなりの扱いをしてくれると、うれしいよね」


 オイルまみれのキウイも顔を出した。


「スズ! ケガはない!? みんなも、助けにきてくれたんだね!」


「キウイ……!」


 スズは闘志をあらたにした。


「絶対に助けるにゃ。もう、負けないにゃ!」

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