第40話 恐怖の猫ジャム作戦!2

 母はスッと正座をし、キウイに向き合った。


「息子よ。あなたにショックを与えないよう、今まで黙っていたことがあります」


「マタタビ人間以上に衝撃的なことがあるの?」


「この家にはずっと、母の夫、つまり息子の父がいません。母はそれを、単身赴任していると説明してきました」


「うん、そうだね」


「それはウソなのです。父は今、天国にいます」


「ああ……死んじゃったんだね」


「いえ、父は神なのです」


「ホワッツ!?」


 母は目を細め、しみじみと語った。


「出会いはささいなものでした。その当時は知るよしもなかったのですが、かの正体は世界樹ユグドラシルの化身。

 その聖なる力を宿したからこそ、息子は母がなしえなかったマタタビ人間の力を発現したのかもしれません」


「ちょ、ちょっと待つにゃ」


 スズが話を止めた。


「それはつまり、えらいことだにゃ……!」


「そうよぉ! 世界樹ユグドラシルって神話に出てくるアレでしょう、世界すべてを支える一本の大木ってヤツでしょお?」


「そんなのがキウイのアニキのオヤジってことは……!」


「マタタビのクォーターだったキウイ君、その遺伝子の構成要素は!」


「「「「七十五パーセントが植物成分由来!!」」」」


「やーめーてー!! そんなエコロジカルな言い方しないで!! 俺の人間要素を薄めないでー!!」


 母は語り続けた。


「父はこの十六年、まったく顔を見せません。息子がマタタビ人間の力で世界をすべ、神に届く存在となれば、あるいは父も帰ってくるかと思いました」


「あっわりとまっとうな理由で世界征服やらそうとしてたんだ?」


「半分は興味本位です」


「息子の人生なんだと思ってるんだチクショウ!!」


 ハンサミィが口をはさんだ。


「お母様。あなたはさっき、悪い方向に転がったと言いました。もしや、この猫ジャム事件は」


「はい。息子の能力を、父が、天の神々が危険視したとしたら」


「——そういうこったな、悪いけどな」


 いつの間にか、神っぽい服装をしたおっさんがいた。


 猫らが飛びのいた。


「「「「誰!?」」」」


 おっさんはニカッと笑った。


「よっ、久しぶりだなぁマイハニー。そして顔を見るのは初めてだなマイサン、キウイ。

 ワシが世界樹ユグドラシルの化身、名前をカイジュというもんだ」


「俺の……父ちゃん……!?」

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