第13話 災厄なるイケメン!キャスパリーグ!5
しばらく騒いでいたギャラリーも、戦いが完全に終わって、思い思いに帰っていった。
ハンサミィは髪をかき上げ、さわやかな笑顔で、スズに告げた。
「完敗だよ。ボクのイケメンを逆手に取る戦術、どんな相手にも手抜きをしないその心意気、そして的確に相手の弱点をつく決定打。かつてアーサー王が振るった聖剣にも劣らない一撃だったよ」
「ゲロと比較される聖剣エクスカリバーかわいそうすぎない?」
スズは手を差し出した。
「ハンサミィ、オマエもめちゃくちゃ強かったにゃ。スズもギリギリの戦いだったにゃ。オマエのイケメンは罪じゃなく、武器であり、誇りだにゃ」
ハンサミィはクールに微笑み、手を握り返した。それから涼しげな眼差しで言った。
「敗者として、君に敬意を示すよ、スズ君。何か困りごとがあれば、イケメンのボクが必ず助けると誓おう」
「いい心がけだにゃ。そういうことなら……」
言いかけて、スズははたと気づき、慌てて飛び離れて、キウイの前で立ちふさがった。
「キウイは自由にさせないにゃよ!! 主人がしもべにほどこすのは当然だとか適当な理屈をつけてキウイをぺろぺろクンカクンカしようというならそうはいかないにゃ!! キウイを自由にする権利はスズだけが持ってるにゃ!!」
「スズにも別に権利はないからね!?」
ハンサミィは髪をかき上げた。
「心配しなくても、ボクは卑怯な手で彼を奪おうなんて思わないよ。なぜならボクはイケメンだから! たとえ望まなくても、キウイ君の方から寄ってくるさ!」
「男の俺をなんだと思ってるの?」
「ひとまずスズ君には、ハンサミィファンクラブプラチナ会員券をあげよう」
「いらんにゃ」
「キウイ君にももちろんあげよう」
「いらないんだけど」
「息子よ、その会員券があるとさっきのスイーツ屋で値引きが使えますよ」
「そういう現金なところに食いつくのやめてほしいなあ母ちゃん!」
ハンサミィは高台に飛び上がり、しなやかにポーズを決めた。
「また会おう猫又スズ君! マタタビ人間キウイ君! いつか君たちのハートをつかんでみせるよ! アディオス!」
「無理するなだにゃ〜」
ハンサミィは春一番のようにさわやかに走り去った。あとは平和な商店街だけが残った。
「……スイーツ食べる? スズ」
「もう疲れたにゃ。帰るにゃ」
「そうだね……ジャミーラまだいるかな」
「いたらシャンプー食らわせてやるにゃ」
二人は帰ることにした。
戦いの一部始終を、ながめていた怪しい影が一人。
「ケヒャヒャヒャ……おもしろいヤツがいやがるなァ……猫又スズ……そしてマタタビ人間キウイ……覚えたぜェ……」
はたして、キウイたちに待ち受けるものは。
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