第15話 驚異のねこじゃらしマスター!1

「ハアッ……ハアッ……なんてことだにゃ……! スズがこんな……!」


 夜の街。ボロボロの猫又スズが、身を引きずって帰路を急ぐ。


「キウイ……! きっと助けるにゃ、だからどうか、無事でいてくれにゃ……!」


 時間は少し、巻き戻る。




   *




「はぁー、今日も疲れた。早く帰ってゴロゴロしたいよ」


「スズたち猫がいやしてやるにゃ」


「主に猫たちのせいで疲れてるんだからね?」


「「「「「にゃー」」」」」


 学校帰り。キウイとスズは猫の行列を引き連れ、帰路につく。


 道すがら、ひょろりとしたチンピラ風の男が一人、電柱に寄りかかっていた。

 なんとなく目を合わせないようにして、通り過ぎる。


「今日の晩ごはんは何かなあ」


「アブリマルが担当じゃないといいにゃ。アイツの料理は辛いのばっかにゃ」


「「「「にゃー」」」」


「ハンサミィが来てから、デザートも作ってくれるようになったね」


「アイツもいつまでいる気だにゃ」


「「「にゃー」」」


「でもさすがパティシエだし、デザートおいしいじゃん」


「猫のくせにパティシエなんて生意気にゃ。猫の舌はホントは甘味を感じないのにゃ」


「「にゃー」」


「え、でもスズがスイーツ屋行きたいって言ったじゃん」


「い、いやそれは、その、スズはただ……」


「にゃー」


「まあせっかく人の姿になっておいしく食べられるようになったら、食べてみたいって思うよね」


「……そういうことにしておくにゃ」


「……」


 キウイとスズは振り返った。


 ついてきた猫たち。そのすべてが、腹を見せて悶絶していた。


「これは!?」


「何事だにゃ!?」


 キウイとスズは警戒した。

 そして先ほど通り過ぎた男。

 チンピラ風の男が、猫たちの間をぬって歩み寄ってきた。


「ケヒャヒャヒャ……マタタビ人間のキウイ……だなァ。てめぇの能力ゥ……オレが、有効活用してやるよォ……!」

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