第18話 驚異のねこじゃらしマスター!4

「一気にいくぜェ……! ケヒャヒャヒャァ!」ぶわっ!


「にゃにゃっ、両手のねこじゃらしで羽ばたいて!」


「飛んだー!?」


「息子よ!」


「もういいよ言わなくても! ねこじゃらしで風を巻き起こせるなら空くらい飛べるって理解するよ納得できないけど!!」


 エノコローは空から風に乗せ、ねこじゃらしの弾幕を放った!


「にゃにゃにゃにゃにゃ、今度また、あの全身なでなでを食らったらっ、完全にノックダウンだにゃ!」


 スズはしゃにむに回避に専念し、走り回る!

 そうしながら気づく……アスファルトに落ちたねこじゃらし、そのすべてが立っている! フサフサをスズに向けている!


「まさかにゃ!? このねこじゃらし、落ちて終わりじゃないにゃ!?」


 エノコローは地面に降り立ち、両手を振り上げた!


「その通りィ……最高の快感を味わわせてやるぜェ……! 【烈風狗尾百鬼夜行レップーエノコロヒャッキヤコー】!!」


 一陣の風! すべてのねこじゃらしを巻き上げ迫る! スズは風の圧力に押さえつけられ動けない! 全身のツボというツボを、ねこじゃらしがなでつくした!


「ごろにゃ〜〜〜〜ん!?」


 スズは負けた。快感にあらがえず、スズは腹を出して倒れ、目を回した。


「うわあああスズー!?」


 悲鳴を上げるキウイを、エノコローはかかえ上げた。


「約束通りィ、マタタビ人間はいただいてくぜェ! フライハァーイィ!」


「ちょっいきなりー!? 俺をかかえてよく飛べるねどうやって羽ばたいてるの!?」


「息子よ! ねこじゃらしマスターならばねこじゃらしを足の指や尻ではさんで扱うことも容易でしょう!」


「その器用さでどうとでも食べていけるよねこの人!? ていうかなんで母ちゃんまで捕まってるの!?」


「息子が心配なのでついていきます!」


「いやスズー!! スズあのまま置いてくの!? スズー大丈夫ー!? しっかりするんだスズー!!」


 スズを呼ぶキウイの声が、空にこだまし、遠く消えていった。






 しばらく経って、スズは気絶から覚めた。


 まず胸に去来したのは、敗北の実感だった。それを噛みしめる前に、スズは点々と道に落ちるものに気づいた。それはタルタルソースだった。


「ママさん……キウイがどこに連れてかれたか、分かるように……っ!」


 スズは身を起こした。

 今すぐにでも後を追いたい気持ちを抑えて、スズは帰路に向いた。


「スズでは、エノコローに勝てないにゃ……! アイツらに……助けを求めるにゃ……!」


 にじむ涙をこらえて。スズは、道を急ぐ。

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