第四章 いぬねこ戦争勃発!

第53話 あらたなる戦いの火蓋!

 滝の音が、ごうこうと鳴っていた。

 夜だが、滝壺は不気味な赤い光をはなってほの明るい。


 男は、英国紳士風のハットをかぶり直し、うなった。


「近ごろの猫の台頭、実にいまいましい!

 苗宮キウイ少年がマタタビ人間として猫を引き連れ、あまつさえ神をも平伏させるとは!

 小生はなげかわしい! みんなみんな猫猫猫猫!

 何より、苗宮キウイ少年は……! ぬぅーっ!」


 男は滝に両手をかざし、魔力をこめた。


「今こそお目覚めくだされ、偉大なる指導者よ!

 小生らをみちびき、猫よりもすぐれていることをこの世に知らしめましょうぞ!

 そう、我らの……犬の魅力を!」


 エネルギーが巻き起こり、ハットが吹き飛ばされた。

 その頭についているのは、ねこみみ……否。いぬみみであった。

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