第75話 仲間よ結束せよ!スズ奪還作戦!1

 王宮。

 帰還した新王クロは、荒い息を吐いた。


「ハアッ、ハアッ、ハアッ……! やった、猫又スズを奪えた……!

 あ、あとは……どうしよう、どうしたらいい!? どうすれば、オイラは王らしく振る舞える!?」


 クロは側近たちを見た。

 うつろな目が、クロを見返した。


「フー……ご命令を、王よ……

 アタイらは王に従うだけ……」


「にしし! わてらなんでも言うこと聞くさかい、好きに言ってくれたらええんでおまんがな!」


「うう、洗脳したせいでなんにもアドバイスくれない……

 これからどうしよう……どうすれば……」


 がたり。物音に、クロは顔を上げた。

 扉の向こうから、使用人が顔を出していた。


「あ、あの王様、お掃除に来たんですが……」


 エリザベスカラーはつけていない。

 クロは猫の手も借りたいというように、すがりついた。


「オイラは……これから、どうしたらいい!?

 なあ意見をくれ、なんでもいいから!!」


「え、ええ!?」


 使用人はおどおどして、おそろしく整った顔を伏せながら言った。


「よ、よく分からないですが……王様なら、王様らしく振る舞うのがよいかと。

 王様ならなんだってやり放題、王宮のマジックアイテムもマジックパワーもじゃんじゃん使って、王の威厳を知らしめればいいかと思います……のサ」


 クロは考え込んだ。


「王の威厳……そうか、そうだね、力があってそれを見せつけてれば、王様らしいよね。

 そのために猫又スズも手に入れたんだ」


 クロは走り出した。


「や、やってやる……! 王様らしいと思うこと、なんだって!」


 その背中を、使用人は手を振って見送った。にんまりとしながら。


「頑張ってエネルギーを使い果たしてくださいなのサ。ミーは楽しみに待ってるのサ」

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