第51話 神話を超えて!世界樹ユグドラシル!3

 カイジュ、キウイ、スズは、全力攻撃の余波でひざをついていた。


「ぐぬぬ、最大出力のもぎたてカバラを防ぎきるとは……! だがワシはまだ戦えるぞ!」


 カイジュは世界樹の根を展開した。


「くっ、親父はまだ戦う余力があるのか!?」


「地上の猫ジャム作戦で得たエネルギーも使えるもんね! ワシはまだまだバリバリ全力……全力……あれ?」


 カイジュはいぶかしんだ。

 地上からのエネルギーが、全然入ってこない。


「お、おーい!? 猫ジャム作戦のエネルギーはどうした!? ええい一体全体どうなっとるんだ地上は!?」


 カイジュは神様テレビで地上の様子を見た。

 すると。



『いや〜ん私のさくらちゃ〜んかわいくおいしくなっちゃって〜ぺろぺろぺろぺろ』


『ハァーイボクのセクシーキャットのサムゥ〜とってもおいしそうだね食べちゃいたいよぺろぺろぺろぺろ』


『普段から目に入れても痛くないワシのタマがこんな甘々にデコレーションされて、なめずにいられようか! ぺろぺろぺろぺろ』



「なめとるーー!?」がびーん


「そりゃ当然にゃ! 普段から自分の猫がかわいくてぺろぺろクンカクンカしちゃう飼い主がわんさかなのに、最高級ジャムなんて塗られたらなめない方がおかしいにゃ!」


「うん当然……当然? いやきっと当然なんだよね!? 猫好きにとってそれが当然なんだよね!?」


「ぐぬぬ……!」


 カイジュはうろたえた。ジャムがなめ取られたら、永久エネルギー機関など夢のまた夢だ!


「そして、猫をひどい目に遭わせたオマエには!」ぴょこん


「ちょっ、やめ!? やめんか! ワシの顔に飛び乗りおって!?」


「これからおしおきと、猫の魅力を、たーっぷりとその身に刻みつけてやるにゃ」


「は? ちょい待て、おまえさん何する気だ、ワシは神だぞ、そんな罰当たりな、ちょ、やめ」


「第三のスキル【朧雲華オボロウンカ】!! おぼろろろろろろろろろろろろろろ!!」


「ぎゃああああーー!!」


『『『ヒィィィィーー!?』』』


 カイジュの顔面にスズは嘔吐!

 その感触は五感共有機能のある世界樹の根により、全世界の神々にダイレクトに届けられた!


 そして、感触はそれだけではなかった。

 嘔吐に混じる毛玉、それはスズ厳選の最高品質毛玉であり、猫そのものに触れるような極上のもふもふをもたらした。


「やだ、すっごいもふもふ……! こんな感触、ワシ初めて……!」


 それは神々にも届いた。


『こんな極上の感触がこの世にあったとは! ここは天国か! 天国じゃったわ!』


『どんなじゅうたんよりもソファよりも素敵なもふもふザマス! 信者の信仰よりも、このもふもふの方が力になるザマス!』


『オデは今、食欲以上の欲を知った! それはもふもふ欲! もっと猫を、モフりたい!』


 神は、猫に屈服した。

 猫のもふもふいやし効果により神様パワーは回復し、猫ジャム作戦も、人々の信仰も不要となり、天国のエネルギー問題は解決した。

 世界は、平和になった。




 地上。

 上空に、神様ビジョンによる巨大なカイジュのホログラムが浮かび上がった。


『えー、神々の代表、世界樹ユグドラシルの化身カイジュである。

 ワシは今ここに、宣言する』


 カイジュは両手を広げ、宣言した。


『神は、猫と和解する!!』


 歓声が上がった。

 猫と、人と、天使が、手を取り合った。

 真の愛が、真の世界平和が、ここに生まれた。


 キウイは一人、ツッコんだ。


「話のスケールー!! シリアスなうちは言えなかったけど話のスケールー!! 猫のアレコレがどうしてこうなったー!?」

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