第8話 灼熱激辛!五徳猫!3

 戦いが終わり、満足したギャラリーはゲートボールを再開した。キウイは完全に遅刻である現状をどうしようか考えていた。


 目を覚まし、リーゼントを整え直したアブリマルは、スズに言った。


「完敗だぜ。あんたの技、熱さ、オレサマの心に響いたぜ」


「当然だにゃ。年季が違うにゃ」


「あの戦いってそんな感想になるものだったかなあ?」


 アブリマルはスズに頭を下げた。


「スズのアネゴ! これからアネゴと呼ばせてくだせぇ! オレサマ、もっともっと強くなりてぇ! アネゴのもとで、鍛え直してえんだ!」


 スズは腕組みをしてそれを聞き、言った。


「スズは厳しいにゃよ?」


「望むところだぜ!」


「二十四時間四六時中、住み込みで修行の日々になるにゃよ?」


「望むところだぜ!!」


「あっちょっと待って自然な流れで俺んちに住むことになってる?」


 スズはひとつ息を吐き、それから言った。


「いいだろうだにゃ。アブリマル、オマエをスズの弟子として認めるにゃ」


「おう! 感謝するぜ! これからよろしく頼んますアネゴ! そしてキウイのアニキ!」


「もー勝手にしてくれー。俺はこの展開にどうこう言うのをあきらめた」


「息子よ、簡単に思考を放棄するのは母としてどうかと思います」


「母ちゃんも他人事じゃないからね? 家事が増えるの母ちゃんだからね? 俺餌やりも何もしないからね?」


「家中山盛りの猫がいる現状で、一匹増えたところでどうってことありません」


「この擬人化勢を一匹って数えていいのかなぁー?」


 話しているうちに、アブリマルはおもむろにキウイをつかんだ。


「さーて、これで一緒に住むことになったんで遠慮なくゥ〜」


「えっちょっと何? 怖いよガン飛ばさないで?」


「スーハースーハークンカクンカクンカックーン!」


「ぎゃあああマタタビ摂取タイムだーー!!」


 その様子を見て、スズはがくぜんと震えた。


「オ、オマエ……! スズも遠慮してマタタビタイムは朝昼晩とおやつタイムだけにしてるのに……! ずるいにゃ! 弟子のくせに師匠を差し置いてキウイを独占しようなんてにゃ!」


「師匠ならカワイイ弟子をかわいがるもんだぜえ!? キウイのアニキを先に楽しんだってかまわねえよなあ!?」


「負けるかだにゃー!!」


「スーハースーハースーハースーハー」


「ぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろぺろ」


「ぎゃああああーー!!」


 新しい仲間が増えて、キウイの日常はさらに盛り上がっていく。

 明日もまた、新しい猫に出会えるだろうか。


「もういらんッ!!」

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