第32話 無機なるガーディアン!招き猫!4

 静寂がおとずれ、キウイたちは先に向かう準備をした。


「母ちゃんついてくるの?」


「予約をした身として責任を感じます。せめて付き添いしましょう」


 彼らの背中に、カムカムから声がかかった。


「……ひとつ……要求。否、訂正。お願いを」


「あァん……?」


 エノコローが振り返った。カムカムは仰向けのまま続けた。


「カムカムの力は……幸と不幸を同時に招くもの。すでにあるマイナスを、ゼロにはできない」


 キウイも見た。カムカムの無機質な瞳から、涙が出ていた。


「それを頼める立場ではないかもしれない……しかし叶うなら……セピアのマイナスを……ゼロにして欲しい……!」




   *




「デュフフフ〜、すりすり〜、かわいいでちゅね〜なでなで〜」


「ま、まだまだァ……オレサマはイカの毒を食らったことなんか、『忘れた』ぜェ……!」


「なかなかに無理しますねー。ほかの子たちより耐えられるとはいえ、限界じゃないですかー?」


「ア、アブリマル、もう無茶だにゃ。スズが交代するから、オマエは休むにゃ……!」


「悪いがアネゴ、ここは意地を張らせてもらうぜ……! 思い出せねぇ昔の記憶で、こいつみてぇな目を見た気がする……!

 やりたい放題やってるはずなのに、本当に望むものは得られねぇ、ただただ悲しいだけの目をだ!

 オレサマは、そんなヤツを……! 見捨てちゃいけねぇ気がするんだ……!」


 イカ人間獣医セピアは、暗いほほ笑みのまま口をつぐんだ。

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