第3話
周囲500m以内には生体反応なし。モンスターも生体反応も示すので、敵対生命は周囲にいない。どういう理由でなのかは不明だが、全身が機械のモンスターも調べることが出来るらしい。
これは、現代の技術でも確立されているものなので、理由は分からずとも反応するという事実だけで十分だ。細かい事は研究者などが、勝手に調べてくれればいい。
まぁ、シリコン生命というくらいだから、完全な機械であっても生物反応が出るのかもな。ただ稀に生体反応のない、全身機械のモンスターもいるので、生命反応と動体反応を併用して索敵するのが一般的だそうだ。
ナビィは、どちらも可能だ。それ以外にもサーモセンサー等も使える為、総動員して状況を確認している。
動体・生体反応……俺以外の生命体は、全て敵性反応としてすべて赤いマークとして表示させ、お宝……金属や遺物の反応は全部青で表示している。
金属の反応はいたる所にあるため、反応を絞る必要がありそうだ。
旧世界の建物にも、鉄筋のようなものが使われており、それが建物のあったいたる場所に存在していたのだ。
ナビィは指定すれば色々と学んでくれるのだが、使い始めの今は俺にもどんなことが出来るのか分かっていないため、色々試行錯誤していく必要がありそうだ。
ちなみに、鉄骨のようなモノは周辺には見当たらない。すべて回収されて再利用されたのだろう。
鉄筋が残っているのは、取りつくすのが面倒だったのだろう。折れた残りなどがそこら中に存在している。
これらを回収しても、重たい上に買いたたかれる素材など、持ち帰っても意味がないだろう。探せば、こんな小物より良い物がある可能性の方が高い。
風化しているとはいえ、壁や床を壊す労力に見合わない値段にしかならないので、これと同質のものは探知しないように設定して、再度周囲を探し始める。
しばらくすると、警告が視界に現れる。
周囲を確認すると、500m以内に敵性反応が表示された。表示されたマークは3つ、詳細を表示すると俺と同じ人間のようだ。俺とは違い成人しており、体格もかなりいい。
その人間たちは、武装もしているようだ。
もっと詳しく見れないか念じてみると、どこから映像を映しているのか分からないが、三人称視点で3人の様子が1人ずつ視界の端に映し出される。
銃器の武装だけで、強化外骨格のようなモノは身に着けていないようだ。ここら辺を乗り物なしで移動しているという事は、低ランクのハンターだと思われる。
体格は良いが、銃を持った素人だとナビィが判断している。
お前、そんなこともできたんだな。
どう判断しているのか聞いてみると、システムの中にある様々なハンターの映像と比較して、足の運びや索敵の仕方を比べた結果、素人に毛が生えた程度、若しくはハンターになりたての人間だと判断をしたようだ。
でもさ、どう見ても30代くらいのオッサンで、年齢からかんがえるとハンターの新人と言うには、年を取り過ぎているのでは?
お金になりそうな物を探しながら、写しだされている映像を見て、俺はそんなことを考えていた。
ナビィで年齢を調べてみるとハンターは、一種の才能が必要で命がけになるので、上に行くモノと下に留まるモノに分かれるらしい。
死ぬもモノも多くいるが、それらはハンターとは呼べない見習いみたいな物なので、カウントはしないでいいとナビィが判断している。
結構辛辣な意見だな。でも、30代過ぎで底辺でくすぶっている奴らは、その日の稼ぎで生活して装備を整備できるだけは、しっかりと稼いでいる。
上に行けないのは、本人たちの資質か悪さがバレているか、薬にも毒にもならないので放置されている……というのがナビィの調べだ。
データでは、底辺のハンターで30代以上のモノたちは、半数以上が素行に問題がある……と報告書があがっている。
それでも放置されているのは、新人よりも街へ貢献してくれるだろうという考えから、上層部から見逃されているようだ。
それでも、才能のある新人を潰そうとしたときには、排除されてしまう程度なので、街の意図に反しなければ、いてもいなくても大差ない人材という事らしい。
今の俺の立ち位置を考えれば、あの3人のハンターたちより、価値は圧倒的に低いだろう。むしろ、機密情報を盗み見ることが可能な俺は、街から見れば邪魔でしかないだろう。
思っている以上に、俺の立場ってヤバいな。俺の能力が簡単にバレるとは思わないが、歴戦の戦士であれば、違和感に気付く可能性だってある。
俺は生身なのに、見えていないものが見えているように振舞えば、絶対に違和感に気付かれる……そう仮定して動くべきだな。あの3人からは、距離をとっておこう。
青のマーカーが多くついている方向へ進んでいくと、少し盛り上がった丘のような場所に到着した。
青のマーカーが丘の中……地面の下に沢山あるという事は、ここにあった建物が今は地面の下にあるってことかな。
掘る道具なんてないぞ。
ナビィ、丘の下は全部土か? それとも空間があるのか?
答えは、後者だった。
空間があるってことは、中で行動できるくらいの空間が存在すると考えて問題ないか?
答えは、イエス。
道具が無くても比較的入りやすい場所を教えてくれ。
ナビィの案内する通りに移動すると、ちょっとした崖に腰の高さまで岩が積まれていた。
意図的なものでは無く、崩れてこうなっただろうとの事だ。
この岩の向こうに扉があるらしい。丘の中は、もともと建物だったようで所々崩れており、迷路のようになっているらしい。空間と思われる場所が、俺の視界には白く表示されているので、ナビィの言いたいことが理解できた。
俺の今いる場所は、位置にすれば1階と2階の階段の踊り場……くらいの高さだと思われる。入るためにはこの岩をどかして、入り口を開く必要があるな。
今の時間は、14時少し前だ。4時間ほどは時間をかけることが出来る。中の探索に1時間と考えれば、3時間で石を退かせなければ、今日の探索は終了するべきかな。
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