第27話

「イレギュラーという割には、色んなモンスターがいるのは何でだ?」


『自分たちから進化しているのではなく取り込むことによって、一部のモンスターが進化していると判断されています。


 銃器を全モンスターが装備すれば、かなりの脅威になりますが、一部にとどまっている理由、取り込んだモノで差異がしょうじているのではないかという話です』


 ふ~ん。無茶な相手は多くないってことか。


 そういった規格外のモンスターは、自分の領域を守るためにいるのか、領域を犯さない限り襲ってくることは無いそうだ。


 それでも奪取したい地域があった際には、高ランクのハンターを大量に動員して、領域守護のモンスターを倒して、モンスターを駆逐することもあるようだ。


 大きなモンスターの中には、体の中が生産工場のようになっているモンスターもいるので、場合によっては早めに処理する必要があるんだとさ。


 じわじわと領域が広がっているタイプは、大半がこの手の領域守護モンスターなので、早めに手を打つ必要があるのだとか。


 対応しきれなくて、放棄した街も世界にはいくつもあるそうで、領域の調査もハンターの大切な仕事の1つだと、ナビィが教えてくれた。


 勉強は必要だけどこういった雑談は、この世界を知るきっかけになってとてもためになる。



 問題なく荷物の運び出しは終了した。問題は、ハンターギルドでここの存在を明らかにして、報酬を受け取る必要があるという事だ。


『いくつか案を検討してみましたが、やはりネックになるところは……交渉し終わった後の、ハンターギルドの出方ですね。


 手出しをしてこなければ、何の問題もないのですが、リュウの都合を考えずに色々調べられると、面倒なことになるかもしれません』


 俺には後ろ盾もなく、利益を最大限に確保できるようにハンターギルドと交渉するのだが、そのギルドが裏切り行為をする可能性が捨てきれない……と考えているようだ。


 俺に払う報酬がどれだけになるか分からないが、俺1人を消せばそれが全部、自分の懐に入ると考えるやつが交渉相手だった場合、どうするべきか? という話らしい。


 ハンターに直接売り込んだところで、殺された後すべてを奪われるだけだろう。かといって、後ろ盾にスラムのどこかのグループに属しても、俺の手元に残るのは、僅かなお金だけだ。


 どこにいっても、俺は搾取される側の立場の人間で、相手が搾取する立場の人間なので、この構図は変わらない。


『しばらく、遺跡が見つかることはありませんので、時間をかけて色々考えていきましょう』


 最終的には、こういった結論に達する。


 情報を売る中で、今の俺にとってリスクが一番少ないのが、ハンターギルドに情報を売るという事だ。


 もっと上に、信頼できるハンターに売るというのもあるが、俺が接触できるような相手ではないので、選択肢には入らないんだよな。


「ハンターギルドとの交渉で、リスクを減らせるのは……金額を低く設定するってことだよな? そうなると、契約する際の条件が重要になってくるか?」


『そうですね。可能な限りこちらの事を調べさせないことも、重要になると思います。参考までにハンターが遺跡の情報を持ち帰って売った場合、遺跡にある遺物の評価額の15~30%ほどと言われています。


 遺跡によって、評価額が天と地ほどの差がありますので、このあたりが妥当だろうと言われています。ハンターでなくスラムの人間の場合は、5~10%ほどになります。


 たまに、先にざっと調べて、一定金額を積むことで、情報を外に漏らさない契約をするそうです。今回であれば、情報を売り情報を他へは漏らさないことを条件に、10%ほどが妥当かと思われます。


 多少、値引くことでこちらの事を調べない、という条件を付けてもいいかもしれません。この場合、何かあった時は、ハンターギルドの過失になりますので、賠償金をハンターギルドが払う必要があります』


「でもさ、口封じをされたら、それまでじゃないか?」


『そうでもないのです。この街では、賠償金を払う相手がいなくなった場合に、相手が大きな組織であるときは、殺しに関わっていなくても大きな罪に問われるます。


 賠償金が発生するのであれば、ハンターギルドは対象が殺したいほど憎くても、意地で守る必要が出てくるので、安全を確保できます』


 色々問題点はありそうだけど、ハンターギルドが相手であれば、貶めようとする組織もいないので、ギルドマスターなどに恨みがある人間以外は、手を出さないだろうとさ。


 後は、明らかに第三者の介入が疑われる場合は、話が変わってくるそうだが、それでも一番リスクが少ないのは、ハンターギルドだそうだ。


 交渉相手は、ハンターギルド一択だな。


 問題は、どうやって俺が提示する金額を飲ませて、リスク回避をするかってところだな。


 スラムの人間が持ち込む遺跡の情報料として、最低ラインの評価額の5%と、情報を漏らさないことによる口止めで5%、合わせた10%が俺の得られる最大の利益だろう。


 だけど、ここに俺の事を調べないという条件を加えて、口止めの金額と相殺して、手取り5%が俺の取り分にするのが安全だろう。


 口止め料の5%……あの遺跡の遺物を考えれば、かなりの金額になるが、固定金額ではなく変動する情報料だと考えれば、妥当な線とのことだ。


 固定金額にできないのは、俺が金を持っていないから、口止め料を手持ちから払えないため、安くても高くても5%で話を付ける……という事だ。


 アルファの知識と、この世界に残っている事例から、このあたりが妥当だと1週間ほど考えた結果だ。


 交渉の最終地点は決めたが……どうやってハンターギルドに行って、お偉いさんと話すかという事だな。


 行くだけなら問題ないか? 街に入るので、トラブルにあうかもしれないけど、ハンターギルドに入れば、持ち込む遺物で偉い人と話せるかもしれないか?


 ナビィに調べてもらった結果、ハンターギルドのマスターは、不正や賄賂などでその立場についた人間ではなく、現場からの叩き上げのようで、上級の人たちよりハンターに親身になるタイプらしい。


 この人が相手なら問題はないだろうが、副ギルドマスターが腐った人物らしいので、服ギルドマスターがいない時に行くべきだろうな。絶対にトラブルになるのが分かるからな。


 情報収集をしたら、決行日時を決めよう。



★☆★☆★☆★☆★☆


 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 『フォロー』や『いいね」をしていただければ、モチベーションにもつながりますので、よろしくお願いします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る