第34話
カタログを見てすぐに分かったのは、同性能であれば、ゴッツイ防具よりスタイリッシュな動きやすい防具の方が、値段が高くなっている。
ゴッツイ装備はそれだけで防具の役割を果たすが、スタイリッシュな方はシールド装置のようなもので攻撃を防ぐので、エネルギーの消費がゴッツイ奴より多くなってしまう形だ。
ゴッツイ方も攻撃を防ぐ際にシールドを使うが、エネルギーの消費量は雲泥の差が生まれてしまうようだ。
ハンターをしている人に、ゴッツイ装備をしている人が多いのは、値段の面もあるんだろうな。
防具にしても、ただ守るだけのものと、強化外骨格とではまた話が変わってくる。ゴッツイ方は重い装備を動かすためのパワーアシストがあるが、シールドに容量を取られない分、動くための消費が激しいそうだ。
同じ値段体の強化外骨格で同じエネルギーパックであれば、戦闘時の稼働時間はほとんど変わらないと言っていいだろう。
戦闘が無ければ、スタイリッシュの方が圧倒的にコストは良いのだが、戦闘時の防御力という面では、かなり差が出てしまうようだ。
「質問ですが、この強化外骨格に偽装を施して、こっちのアーマーを着ることは出来ますか?」
「問題ありませんが、パワーアシストが常に働く状態になるため、通常時は稼働時間が短くなりますが問題ありませんか?」
「自分の知識では、初心者は強化外骨格ではなく、シールドを発生させられるアーマーを目指すと聞いています。なので、アーマーで防御力を確保して、強化外骨格で動きをサポートできればなんとかなるかなと……」
「色々と割高になってしまいますが、偽装するのであればかなり身の安全を守れるようになると思います」
割高になると言われたのは、エネルギーパックを通常から2つ使う必要があるため、ランニングコストが増えるという意味だ。整備にもお金はかかるが、安全のためにメーカーはアーマーの併用を呼び掛けていたりするんだとか。
ならゴッツイ方でいいのでは? と思うが、ゴッツイ方は可動域の問題で、動きが硬くなってしまうようだ。強化外骨格を装備している新人は、多くないので目立つ可能性も高い。
全身を包むとなると、関節などはもろくなってしまう。シールドがあってもある程度の強度を確保するのが普通なのだとか。
そういった問題を回避する素材もあるが、そういった素材は目が飛び出るほど高いそうだ。20億では買えない装備も、高ランクになればゴロゴロ転がっているとかいないとか……
そういった装備を使うことが出来るのは、高ランクになった上で試験などをかいくぐらなければ、使用許可が下りないそうだ。
危ない思想の持ち主が、強い装備を手に入れられるようになったら、モンスターより人の脅威が大きくなってしまうので、注意が必要なのだとか。
開発した会社でも、資格を持っていないとテストもできないし、会社の戦闘員だったとしても資格が無ければ、使う許可が下りない。
もし、外部に流出でもしたら、速攻で制裁がくわえられ、関係者は即時強制労働になるそうだ。
それだけ厳しい審査を潜り抜けている会社だからこそ、色々な許可を出し信頼しているが、それを破ってしまった場合は、全ての権利を剥奪されてしまうのだとか。
許可なく秘密工場で作っていたり、裏で取引されているだろうけど、見つからなければ問題ないって事かもな。
こんな話をしている間にも、ナビィが裏取引の情報や不正に流出させている証拠などを、探し出していた。情報屋になった後に、各街にこういった情報が売れないかな?
っと、今は自分の装備だな。
「武器に関しては、ここじゃなくて自分で買いに行った方がいいってことですか?」
「銃には、相性があったりするから、実際に撃ってみて決めるのがいいでしょう。それに、弾の購入などはお店でしないと不自然になりますので、ギルドでは用意しません」
なるほどな。弾をどうやって補充しているか探られた場合、ギルド経由だと怪しまれるのか。
「この強化外骨格なら、戦闘用の防護スーツに偽装できそうですが、いくらくらいになりますか?」
ギルドマスターに話を振ると、
「本体価格が1200万か……300万も追加すれば、偽装は問題ないはずだ。一応先方に確認を取ってから、お前さんに再度連絡を入れる形でいいか?」
「あ~、通信デバイスが無いから、一緒に買うことは出来ないですか?」
「おっと、そうだったな。スラムの孤児が通信デバイスを持っているわけないもんな。そんなお前さんには、これを用意しておいた」
そう言って手渡されたのは、スマホだった。
この時代にもスマホがあるのかとビックリしたが、この時代ではスマホは安価で生産することが出来るようで、1万円前後で最新機種が手に入るそうだ。
ある程度お金を持っている層は、ナビィが俺にしてくれるような、空間投影型のディスプレイを備えた通信デバイスを使っているみたいだ。
このタイプの通信デバイスは、自宅や専用の施設にPCなどを置いて、連結させることで機能向上を図り、持ち運びできるPCとしても使うことが出来るそうだ。
スマホに関しては、タッチパネル以外にも音声認識を備えているようで、使い勝手は昔より良くなっている感じだな。
アーマーの方は、新品を使い古された中古のようにしてもらい、いかにも新人らしい装備に見えるようにしてもらった。
服に関しては、中古……古着で仕立ての良いモノをいくつか持って来てくれており、その中からいくつか購入させてもらっている。
体に近い順で、スタイリッシュな強化外骨格、通常の服、アーマーという順で身に着けていくので、大きすぎず小さすぎない服を選ばせてもらっている。
アーマーの上に着るジャケットも一応渡されたが、着る機会があるかは謎だ。
「1つ確認したいんだけど、スラムで食べてるブロックバーには、色々問題があるのは知ってますよね? それを病院で除去や、正常な成長を促すための手術は、いくらくらいかかりますか?」
「スラム出身者が気になる奴だな。凡そ、1億5000万ほどだな。中級のハンターであれば、問題なく稼げる金額だ。中級といっても、ハンターとしてみると上位10%の狭き門だけどな」
「俺が手術を受けるのは、難しいってことか?」
「そうではない。ただすぐに手術を受けると目を付けられるから、どこかいいタイミングで高価な遺物を発見して、手術を受けたことにする方がいいだろうな」
目を付けられないように、タイミングを計るべきってことか。
その後は、住む家を決め契約まですることが出来た。申請すれば銃器を持ち込むことは可能だが、専用の金庫を置く必要があるそうだ。
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