第81話
報告を終わらせると、ギルドマスターが
「相変わらず、早い探索でこちらとしては助かる。依頼のお金も半額以くらいで済むから、助かるよ。それと、ギルドから渡した装置が、虫が近寄ってこなくなる機能っていうのは、本当なのか?」
「そうですね、行き止まりにたどり着いたときは、必ず新しい虫の死骸がありました。使っている間、虫を見ていないので虫が近寄ってこなくなる、もしくは殺すための機能を有しているのは間違いないと思います」
「旧世界の代物だから、そういった用途の物があってもおかしくないが、エコーロケーションの機能もあるわけだから、機能を分離させて負担を減らしたものが作れないだろうか?」
「まぁそれは、企業の努力次第じゃないですかね? 自分は、これを使えるので気にすることはないので。後、超人なら、脳回りの進化もしているから、使えるんじゃないかと思います」
「超人たちね……それじゃぁ、実験はできないな。あいつらがそんな依頼受けるとは思わんからな。
おっと、依頼が半額で済むっていうのは、あの依頼は本来リーダーに中級に近いハンター1人と初級ハンター2人でいかせるものだから、それが1人になって短時間で終わるから、相対的に見て安くなっているだけだぞ。
実際のところ、お前さんの手取りはリーダーより高いからな。そこらへんは間違えないでくれ」
少し気になっていた依頼料に関しては、本来2~3日かかる探索を1日で済ませて1人で行うから、ギルドから見ると安くなるという感じだそうだ。
発見したハンターたちの代わりに探索する形なので、全部がギルドの負担になる。だけど、もし当たりの遺跡だった場合は、ギルドが儲かるのでやっている形だな。
調べるに値しない場合は、フリーの依頼として探索してくれば、ギルドへの貢献ポイントや多少のお金が入る形なんだとか。
ギルドから受け取った装置は、何回か使ってみて他にも分かったことがあれば報告する形で、明日はもう1つの遺跡へ行くことになった。
ギルドからの帰り道に、いつものシルバーブレッドへ寄る。
「どうも。今日も使った分の補充に着ました。通常弾30発お願いします。それと、明日の依頼で安全地帯を作るために、センサー付きのグレネードを使いたいので、6個ほど買いたいです」
お姉さんが、通常弾を在庫棚から取りながら、グレネードの使い方が気になるのか、質問してきた。
「安全地帯を作るって、街やギルドがモンスターの侵入を防ぐためにやってる、ブービートラップみたいなのを使って、遺跡の中で安全地帯を作りたいってことかな?」
「安全地帯と言っても、逃げ込める場所というよりは、出入り口を完全にクリアにしておきたいので、最悪入り口を一度塞ぐことも考えに入れていたりします」
なるほど。と頷いたお姉さんは、
「それならグレネードより、センサー付きの地雷のほうがいいと思うけど、地雷の説明をしようか?」
地雷とは、地面や地面の中に埋めて、近付いたモノを攻撃する兵器だと思うけど、何か違うのかな?
一応聞いてみると、グレネードは全方位に対して攻撃をするが、地雷は指向性の物が大半なんだとか。
当初の計画では、グレネードを埋めて穴の開いているほうにだけ攻撃が向くようにしていたのだが、指向性で攻撃の方向が決められるのなら、そっちの方がよくないか?
「その地雷は、どのくらいの重さで値段はいくらくらいですか?」
「センサーの性能にもよるけど、今回なら君以外を爆破の対象にして、一番安い地雷でもグレネードより多少威力が強いわね。そのランクなら、グレネード1個で地雷が3は買えるかな。だけど重さはグレネード2個分くらいだから、持ち運びにはあまり適さないかな」
「地雷って安いのか。拠点防衛や敵を減らすためのトラップとして使われてるなら、持ち運びは難しいけど限定的な使い方をすれば、効果が上がるって感じか。入り口で使うなら、確かにちょうどいいか。回収とかは楽ですか?」
回収は、ボタンを押すだけで問題ないらしく、爆破の対象外であれば簡単に回収ができるそうだ。
専用の持ち運びケースもあるようで、今回のような入り口を固める使い方であれば、かなり有効的に使えそうだな。
「えっと、ケース1つとケースに入るだけ、買ってもいいですか?」
「いいわよ。1ケースに9個入るから、それでいいかしら?」
グレネードを6つ買うよりは、安く買えたのでお得だったかもしれないな。
毎回地雷を持って行ったとしても、出入り口に置いておけばいいだろうから、荷物にはならないだろう。
買い物が終わると、タイミングを見計らったかのように、店主が現れた。
「……坊主。お前、その装置を使っているのか?」
どれのことだと思ったら、ギルドから渡されたあれだろう。虫コナイン……実際は索敵道具ではなく、虫を遠ざける道具……
店主に問われたので、頷いておく。
「それを使えるってことは、他にも旧世界の装備が使えるってことか。うちでは扱っていないが、遺跡で旧世界の装備を見つけたら、ここにもってこい。そしたら、可能な限り使えるようにしてやる。気をつけろよ」
店主のおっちゃんはぶっきら棒だが、俺のことを気にかけてくれていることがよくわかるが……企業でも苦戦している旧世界の装備を、整備することが出来るのか?
ダウングレードした、中途半端なコピー商品しか作れていないのに、コピー前の装備を整備できるって、すごいことじゃないか?
「……みたいなこと考えている顔ね。実際にお父さんは、技術なんかがすごいけど、旧世界の道具を修理できる人は、それなりにいるの」
新しい物を作ったり、コピー品を作ったりするのは難しいけど、そこにある物を修理できる人は、結構いるんだよ……だってさ。
旧世界の装備を見つけたら、とりあえずここに持ってこようかな。店主のおっちゃんなら間違いないだろうし、使えないなら使えないで教えてくれそうだからな。
地雷の入ったケースを持って、帰路につく。思ったよりずっしりと重いケースだな。
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