第82話

 予定の時間より早く家を出てしまったため、いつものように朝食と昼食を買っても、俺を送り出してくれる車の準備が出来ていなかった。


 座って待つような所なんてなく、車がくるまで待ちぼうけ状態だった。


 途中で、見覚えのある女3人組が車で出かけていくのを見たが、あまりいい印象を持っていなかったので、どうでもいいかなと頭の隅へ追いやっておいた。


 30分くらいすると、やっと送り出してくれる車が来た。



 送り出してくれる車を準備してもらっている間は、早すぎても門で待たないといけないから、時間より少し早いくらいに着くのが理想かもしれない。


 いつものルーティーンに+10分ほどの時間を見ておけば、間違いなく時間前にたどり着けるだろう。


 車に乗り込み出発する。迎えの時間を入力し、運転席をいっぱいいっぱいまで下げてから、銃を取り出し最終確認を始める。


 昨日の夜にも不備がないか確認しているが、車の中は暇なので、ここでも確認を行うのが癖になっている。


 このタイミングで問題があっても困るのだが、1日に何度も確認する必要はあるので、しっかりとチェックしていく。


 車に揺られること1時間、目的地へ到着する。


 車から降りるとすぐに車は帰ってしまった。そういう風に設計されているので仕方がないが、ちょっとそっけない気もする。機械に温かみを求めても意味はないか。



 改めて今回探索する穴を見る。入り口は広くないが、俺が立って歩く分には問題ない高さと幅だ。見つけにくい位置にあるので、いつからここにあった物なのかは分からない。


 見つけたハンターは、帰り道とかにたまたま見つけたのかね? 自分たちで探しても価値がなさそうだから、ギルドに報告して多少のお金を得るほうを選んだのかな。


 さて、ここが遺跡かそうでないかは、ナビィも教えてくれないので、慎重に進む必要があるな。


 昨日より戦闘に傾いた依頼だということしかわからないので、どれだけの難度なのか気になるところではあるな。


 地雷を置き、入り口付近を確認していく。


 中を覗くと、少し広くなっており通路のようだな。だけど、昨日の通路よりかなり狭い。俺が2人で並んで歩くだけでも、窮屈に感じられるくらいの通路だ。


 すでに起動している虫コナイン……こいつにも、何か名前つけるか?


 エコーで確認できる範囲には、モンスターの姿はない。


 昨日違い、詳細にわかる範囲が100mほどしかなく、その先は空間gなあることしかわかっていない。昨日は、大体500mほど先まで詳細が分かっていたのに、今日はやけに狭いな。


 調べられる距離に差があっても、虫の気配は感じていないので、おそらく虫コナインの本来の機能は問題なく作動していると思う。


 通路をしばらく進むと十字路になっているので、その付近をトラップエリアにするかな。


 各通路に地雷を2つずつ配置して、十字路の中心にも1個地雷を仕掛けておく。俺以外の胴体物がここを通過すると、爆発する設定だ。


 どの道を通っても、十字路を通るなら5回はセンサーが反応するので、ある程度の数がまとめてきても吹き飛ばせそうだな。


 こういった穴にいるモンスターは、よくわからない行動をとることも多いので、必ずしも襲ってくるとは限らないが、襲われる前提で行動するのがいいだろう。


 入り口側の通路に、道をふさぐように地雷のケースを置いておく。間違えて誰かが探索に入ってきても、先客がいると分からせるための行為だ。これは、昨日店主のおっちゃんに教えてもらった、ハンターとしてのマナーの行動らしい。


 先客がいることを伝えているのに、先へ進んでくるならそれは敵だということだ。大半のハンターはここで引き返すが、不良ハンターは先へ進んだり待ち伏せしたりするらしいので、注意が必要なんだとか。


 モンスターに不良ハンターに、気をつけないといけないものが多くて困るわ。


 今日は、どこから探索していくかな。


 今日は右から地図を埋めていきますかな。


 エコーで確認できる範囲では、ここは一応遺跡と扱われる場所だな。洞窟のようなただの通路ではなく、しっかりと部屋があるつくりのようだ。


 隠れられる場所が複数あるのは面倒だな……1つ1つ部屋を確認して、いないことを見ていくしかない。


 エコーでもある程度は分かるが、擬態されていたりすると判断が難しくなる。


 そう考えれば、光学迷彩のように見えなくなっているモンスターのほうが、擬態するモンスターより分かりやすいってことなんだよな。


 擬態しているわけでもなく、どこかに丸まってオブジェのようになっていると、上手く判断ができないのは昨日で分かっている。


 それでも、見えないものが見えるわけで、裸眼だけよりよっぽど効率は良かった。


 動いていなくても立っていれば、姿かたちはある程度分かるので、モンスター判定を出しやすい。3つ先の部屋に、ちょうど突っ立ってるウルフがいるので、間違いなさそうだ。


 というか、元々が索敵道具ではなく、虫を寄せ付けない装備なのだから、索敵に関しては微妙な性能になってしまうのは、仕方がないような気がする。


 手前の2つの部屋を確認し、モンスターのいる部屋へ向かう。


 先にも通路は続いている……


 リュウは、ここで悩み始めた。ここで銃撃すると、エコーの範囲外から走ってくる敵が、どれだけいるかで自分の危険度が変わるからだ。


 大きな音を立てなければ、こっちには気付かないようなので、先へ進むことが出来るが、何かのきっかけで挟み撃ちになる可能性も捨てきれない。


 十字路側より向こうからくれば、地雷が先に反応するので気付くことは可能だろう。


 リュウは、部屋のウルフを先に殺して、まだ探索していない通路をその場で警戒しよう。


 部屋の中へ入ると、こちらへお尻を向けていたのだがすぐに気付き、反転を始めた。


 その間に通常弾を2発頭に撃ち込み、排除完了。


 すぐに通路へ戻り、見探索側の通路へ銃を向けて構えておく。



★☆★☆★☆★☆★☆


 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 『フォロー』や『いいね」をしていただければ、モチベーションにもつながりますので、よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る