第93話

 さて、寝て起きたはいいけど、今日は何をするか……


 昨日の今日でクエストへ行く気も起きず、昨日の時点で二日連続でクエストへ行ってたんだよな。


 ナビィお願いして、俺の残高いくらになっているか確認してもらうと、割のいいクエストをしていたから、最近の依頼だけで200万以上は超えている。


 高いと思われがちがだ、本来は1人でやる依頼ではないものや、新人では受けられないような依頼を受けているので、金額が高くなっていくのは仕方がない。


 だけど、この値段だったとしても、決して高い報酬ではない。


 アーマーや強化外骨格を除いた装備を購入するとしても、200万では全然足りない。


 そう考えると、初めにお金を持っているか持っていないかで、ハンターの難易度が大きく変わるんだな……


 本来、スラムの孤児がハンターになりたての新人時代に行うのは、ギルドの依頼でも一番簡単な仕事だ。


 武器を持っていないハンターができる仕事と言えば、ハンターのサポートだけなので、ギルドから依頼されるものの中から、下働きが必要な依頼に同伴するタイプの仕事をこなしながらお金をため、銃を買うのが定石だ。


 俺の持っているFLAR-11でも、新人から見ればかなりの高級品の部類だ。初心者が使うのは、10万ほどのスクラップ一歩手前の銃を使って、モンスターを狩りながら、銃を強くしていき装備を整えるのが普通だとか。


 俺がシルバーブレッドの店で、女たちに睨まれたのも、新人なのに銃を持っていたり身なりが多少良かったから、金持ちの子どもだと思われたからだな。


 孤児と聞いてばつの悪い顔をしていたけど、怒りのようなものは消えていなかったから、男が基本的に嫌いなんだと思う。


 その理由も大体わかるから、攻撃されなければそのくらいの視線は受け流す余裕はある。アルファは30歳を超えていたし、リュウはスラム育ちなので多少にらまれただけでは、チラ見されたのと変わらない心持だな。



 依頼以外の遺跡の取引で入金されている金額は……3000万ほどだな。あまり多すぎると、街に目をつけられるので、つけられない範囲で依頼の報酬と一緒にもらっているあれだ。


 これを頭金にすれば治療を受けられるのだけど、そうすると復帰したときのお金がまったくなくなるので、復帰までのお金も込みで稼ぐ必要がある。


 しばらくは依頼を受けて、お金を稼ぐ形は変わらないな。



 ナビィには、日課をするので教師役をお願いする。


 今日も今日とて、必要になるかわからないが歴史の勉強をしたり、モンスターの弱点を勉強したり、FLAR-11の次の銃候補を探したり、と午前中の日課を終わらせた。


 ゆっくりと家を出て、昼食をどこで食べようか露店を物色していると、嗅ぎなれないスパイシーな匂いが漂ってきていた。


 リュウには嗅ぎなれない匂いだったが、アルファには嗅ぎなれた匂いだ。


 スパイシーなこの香りは、カレーの匂いだ。インドネパール系ではなく、日本式の嗅ぎなれたカレーだ。


 フラフラと匂いにつられて裏路地へ入ると、ガタイのいい野郎共に前を塞がれた。


「ここを通りたければ、金を払って身包み全部置いてきな」


 代表の1人が、俺にそういってきた。アルファが、国民食のカレーの邪魔をされ、怒りがわき上がると同時に、リュウの怒りゲージが一気にマックスになったのか、腰に手をまわしていた。


 さすがに銃を使うのはルール違反になるため、腰のナイフに手が伸びたことは、ある程度理性を保っている行動だったが、ナイフを使うということは相手を殺すためだ。


 待て待て、さすがにナイフはダメだ、相手を殺す気だろ! ここはスラムじゃないから、殺しは無しだぞ! 多少痛めつけるのは問題ない。


 ナイフに手が伸びかかっていたが、その手を止めた。


 そもそも、タダのチンピラが、強化外骨格を着たハンターに勝てるかって話だ。銃を持っているから、ハンターだとは思われているだろうが、街中で使えば犯罪なので、使うことはないと考えているのだろう。


 ここにきて、アーマーや強化外骨格の偽装が悪いほうに働いてしまって、からまれているのだろう。


「こいつ、ぶるって動けないじゃないですか、兄貴。銃も持っているし、悪くない稼ぎになりそうですね」


 目の前にいるのは3人の男、そのさらに後ろに2人いる。


 次の瞬間、パワーアシストを軽く受けた拳が、リーダー格と思われる3人の真ん中にいる男以外の、左右の男の顎を撃ち抜く。


「なっ! お前! ハンターなのに一般人に手を出していいと思っているのか!?」


「ん? いいに決まってるじゃん。正当防衛だからな。だってお前ら、強盗未遂に脅迫罪という、犯罪を犯しているから、捕まえるのは何の問題もないぞ」


「馬鹿だなお前、俺たちの後ろについている人が捻じ曲げるから、お前の犯罪になるんだよ!」


「ふ~~ん。だからと言って、俺が止まることはないけどな」


 俺がこれだけ自信満々なのは、この状況をナビィが録画をしているので、これだけ強気でいられるのだ。


 ナビィの録画は、俺の胸ポケットに入れているカメラから取られているように加工され、リアルタイムで書き込まれている。


 音声もばっちりなので、俺が犯罪者として捕まることはないだろう。


 リーダー格の男の脇を抜け、逃げようとしていた後ろ2人も殴りつけ、気絶させる。


 ナビィに習った格闘術が、思いっきり役に立っている。


 リーダー格が何やら喚いているが、リュウの耳には言葉すら届かなくなり、腕を縛り上げ地面に押し付けて、今までの悪さについて質問していく。


 すべて録画し、提出用にデータをチップへ移しておく。


 俺がこんなことをしている間に、ナビィはこいつらの黒幕についてすべての情報を集め、黒い情報をすでにリークしていた。


 かなり拙い情報も含まれており、この人物は闇から闇へ葬られれうことになった。ギルドマスター辺りは、俺に都合がよすぎるから、俺がかかわっているのだろうと気付いてそうだな。



★☆★☆★☆★☆★☆


 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 『フォロー』や『いいね」をしていただければ、モチベーションにもつながりますので、よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転生先は未来!? AN@RCHY @ANARCHY301

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ