第14話
目が覚めると、真夜中と言うには早いが、夜と言うには微妙な時間帯になっていた。
昼間に寝れば、この時間に目が覚めてもおかしな話ではないよな。体を確認すると、違和感が少なくなっている。でも無くなっていないから、何かしらまだあるのだろう。
目をパチパチさせていると、ナビィが
『関係各所が動き出していますが、例のハンターはまだ捕まっていません』
捕まっていないけど、関係各所が動き始めているから、俺の違和感が減っているのだろうか? 事後的な判断になるので、スキルや能力の証明にはならなそうだな。
続いてナビィが、俺のようなスキル持ちや能力者は、この街ではいなかったとのことだ。
街の偉い人が隠して情報を消去していたら、ナビィには見つけられないが、軍や街の上層部、管理データなどにもアクセスして調べたため、おそらく間違いは無いだろうとのこと。
情報の改ざんの形跡は見られなかったので、おそらくこの街には情報がないだろうだとさ。
今は、他の街にアクセスしているところだが、旧世界のネットワークを経由しているためか、この街程効率的に調べられないんだとさ。
どちらか一方であれば、大した差はないらしいが、一度どちらかを経由すると途端に効率が悪くなるらしい。
引き続き情報は探し続けてくれるようなので、お願いしておいた。
偉い奴らが隠したために情報がないのか、本当に情報がないのか……前者なら、知られたらかなり厄介なことになりそうだ。後者であれば、俺の能力が生かせる土壌さえ作れば安全に生きられそうだ。
『リュウ、情報屋であれば、通り名のような物を付けて、情報提供をすることがあるようです。既に成功している情報屋ではなく、新しく情報屋になるために、名前を売るための方法として情報を提供することがあるようです』
ふむふむ。提供した情報が正しければ功績になり、間違っていれば信用を失うという感じだな。
「でもさ、それだと成りすましが現れたりするんじゃないか?」
疑問に思い、聞いてみた。
『成りすましが、本物より能力が無ければ簡単に駆逐されますので、めったなことが無ければ、成りすましは現れないでしょう』
だとさ。確かに、能力が高い方が生き残るのが必然か。提供された情報を見て、自分より上か下か判断するんだろうな。
「そういえば、関係各所の動きが遅いのは何でなんだ?」
『立て続けに不良ハンターのリークなので、間違いはないだろうが、すぐに動くと他の不良ハンターたちの動きが怖い……という事のようです』
真面目にはたらいているハンターの方がはるかに多くても、こういったダークゾーンを走っているハンターたちは、金があるので装備が良く危険なのだろう。
不良ハンターが一斉蜂起とかして、街に問題が出るくらいなら、見なかったことにする……というのも、判断の一つなんだろうが、一般市民からすれば理不尽な話だ。
明日は、動かざるを得ないように、情報サイトなどに複数書き込みでもしよう。住人の声を味方につければ、街も動かざるを得ないだろう。
抑止力というのも、交渉の力になりえるんだな。頭では分かっていたけど、実感する機会なんてアルファの時には無かったから、今更気付いたわ。
俺が死んだら情報をアップする……っていうのも、脅しではあるが抑止力の一つだし、考えてはいたのに気付かないのは、経験が無いからなんだろうな。
『色々探し物をしている時に、面白いものを発見しました』
俺が黙り、少し悩んでいると、ナビィがそんなことを言ってきた。
その内容は、俺ほどではないが、旧世界にはいなかった能力の持ち主が、新世界になって表れ始めたらしい。
俺の違和感と同じような能力者はいたし、索敵用の装置が無くても相手の場所が分かったりする能力者もいたそうだ。その他にも、超人と呼ばれる人たちも、この能力の一つなのではないか? との事だ。
人間の限界を遥かに超えた超人……それは、人工的にも似たようなことが出来るので、能力の一つとは言えないと言われている。
だが、ナビィは、この超人という現象は、この世界で生まれた人間の誰しもが持っている、能力だと考えているそうだ。
どうしてそういった判断になったのかは聞かなかったが、人工的に超人を作り出すことが可能だ……という所に興味がひかれた。
その方法は単純で、ナノマシンの継続的回復能力を使って、人間の限界を超えた訓練をすること……らしい。
ただ、成功する事例が10%以下なので、確実に成功させる方法を、軍部では探しているそうだ。ちなみに、失敗した90%の内半分は、使い物にならない廃人になってしまうそうだ。
俺も実践できるかと思ったが、リスクが高すぎて確実な方法でない限りは、手を付けられなさそうだ。少なくとも、リスクがゼロ出ない限り試せないな。
超人の情報も、見つけたらストックしてもらうように、お願いしておいた。特に超人になる前の情報が気になるので、そこら辺を重点に集めてもらえると嬉しいな。
軍から得た情報を考えると、疑似的に軍部のやった『ナノマシンの継続的回復能力を使って、人間の限界を超えた訓練をする』を実践していた可能性がある。
偶然超人になった超人もいれば、軍の言う方法でなった超人もいるだろう。そこら辺を精査すれば、リスクが減らせるかもしれない。
一先ず、違和感が無くなるまでは、丘の下に行くのは止める予定だ。
可能な限り、不良ハンターと遭遇するリスクは避けたい。最悪、善良なハンターに遭遇して、丘の下の遺物が見つかるのは良いと考えよう。
眠くはないが、体の節々が痛いので、体を横にしてゆっくりと休むことにした。
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