第22話

『まず着いたら、アウトドア用品の場所へ向かい、衣服と靴など一式を探しましょう。多少サイズの違いはあっても、着れるモノがあるはずです』


 タオルなどはあるか微妙だが、アウトドアで使うことを見越して、作られたモノがあってもおかしくないはずだ。


 普通に生活する分には寒くない季節だが、雨に濡れて多少風が吹けば寒く感じる程度にはなる。雨は降っているが、前にここに来ていた時間より早く着いたと思う。


 穴に潜りこみ、さっさと施設の中へ入っていく。


 アウトドア用品の保管庫へ向かい、衣服や靴、タオルの前に、昨日目についた物の場所へ移動する。


 昨日確認した時は、持ち帰るほどのかちは無かったものだ。だけど、今の俺にはかなり重要なもの。


 缶詰が食べられたんだから、ガス缶だって使えるよな? 多少ガスが抜けたかもしれないけど、劣化していない缶なら使えるだろうと、ナビィも言っていたので、体を温めるためにガス管コンロを探している。


 水もあったので、湧かす道具も準備している。


 一気に2リットルほどのお湯を沸かし、必要なモノを回収しに行く。


 衣服と靴を色々と回収する中で、タオルの代わりになる物も発見できたので、回収し体を温めることにした。


 沸騰したお湯をバケツへ入れて、適温になるまで水を加えていく。髪を拭いたり体を拭いたりしながら、お湯に足を突っ込む。


 一気に体が温まった感じがするが、建物の中がかなり冷えるので、温まった端から冷えてしまっている気がする。


 昨日は感じなかったが、この建物の中ってかなり寒いんだな。


 しっかり拭いたところで、上着を着て冷えないように対策をする。お湯が冷えてきたと感じると、追加で沸かしていたお湯をバケツの中へ。


 体がポカポカになったところで、ズボンをはいた。下着はもって来ていなかったので、衣料品の保管庫へ行って、いくつか見繕ってパッケージを破り中身を確認していく。


 アルファの時に着ていたボクサーパンツもあったので、大量にカバンの中へ詰めていく。回復薬に関しては半分はカバンの中へ入れているので、カバンに詰める物は特にない。


 缶詰はリュックの隙間に、いくつか入れて持って帰れれば十分だろう。


 衣服は目立つけど、下着であれば見られる機会は少なく、リスクも低いという事だな。


 その衣服も、いくつか確保したいと思っているので、回復薬を運んだ後にリュックが許す限り奪っていきたいところだな。


 衣料品の保管庫はいくつかあったのだが、その多くが女性物の衣服だった……やっぱりデパートは、男性より女性用が多いんだろうな。


 俺がボクサーパンツを見つけた場所は、おそらくアルファの住んでいた時代のユニ〇ロやしま〇らのような、男女関係なく色々な衣服を置いている場所だったと考えている。


「よし、まずすることは、リュックに回復薬を入れることだよな? 寒くて火を使ったけど、本当に大丈夫なのか?」


『火に関しては問題ないです。雨の影響も大きいですが、この施設の中の温度変化を感知するためには、今の技術ではトラックで運ぶレベルの機械が必要になります。なので、問題はありません。


 リュックを運ぶのは、通路の先にあった買い物カートを使ってみてはどうですか? 大きな食料品のスーパーも入っていたのか、カートも大きなものがありましたので、便利だと思います』


 あ~、ナビィのおかげで見えていた、あの通路の先にあったやつか。あれって買い物カートだったんだな。取りに行ってビックリ、コス〇コの買い物カートくらいデカかったよ。


 大量に運べることは嬉しいな。回復薬の入ったリュックは、入り口から一番近くにあった、休憩室のような部屋にぶち込んでいる。


 回復薬を入れて余ったリュックは、カートに突っ込んですぐ取れる場所へ放置しておいた。


「それにしても、リュックだけで100個以上も置いてあるとか、リュック専門店でも入ってたんかな? さすがに、保管庫にこれほど置いてあるとは思わなかったな」


『リュックが有名なブランドだったかもしれませんね。同じのも6個以上は置いていませんでしたし、かなり種類が多いので、可能性は高いかもしれないですね。気になるようでしたら、余裕がある時に検索しますか?』


「余裕があればね。今は、他の事を優先してよ。他の街の情報収集とかさ」


 そんなことを話しながら、回復薬を詰めていく。


 下着や衣服もある程度確保出来たら嬉しいな。後は、ここの情報がどれだけで売れるかだな。


「あっ、ナビィ。ハンターギルドに情報を売る時に、注意する点や損させられないように、類似の事例があったら集めておいてくれないか?」


 俺がこんなことを言う前から集めていたようで、すぐに情報があると教えてくれた。


 一番注意するのは、契約する際の文言だとか。稀に、かかった費用がこちら持ち、になっていることがあったりするので、損をしないようにしっかりと確認する必要があるんだとか。


 今の所、この街では俺のように遺物の情報を持ち込む、スラムの孤児はいなかったので、他の街の事例を探してきてくれたようだ。


 なにせ初めての事なので、ハンターギルドに情報を売るにしても、どちらに転ぶかは行ってみない事には分からない。


「ハンターギルドの職員の情報も集めておいてよ。急ぎじゃないけど、情報を持ち込んだ時の参考になりそうだからね」


 回復薬は全部突っ込むことが出来たので、持ち帰る準備を始める。


 靴は動きやすいけど、足に負担が少なく丈夫なものがあったし、レインコートのようなものもあったので、多少蒸れるだろうけどびしょ濡れになることは無いだろう。


 リュックを前後に背負って、右手に下着の入ったカバン、左手にシュラフ2個を持ってアジトへ帰る。


 雨のおかげで誰にも遭遇することなく、動き回れるのは嬉しい。予想外に、レインコートが蒸れることなく、快適な温度を保ってくれているので、行動しやすいのが嬉しい。


 戻る前に缶詰を食べ、この日に4往復することが出来た。


 ナビィが拾ってきた情報では、明日も雨が降るようなので、荷物運びがはかどりそうだな。


 買い物カートが使えたら便利だけど、道の状況を考えると無理だな




★☆★☆★☆★☆★☆


 ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 『フォロー』や『いいね」をしていただければ、モチベーションにもつながりますので、よろしくお願いします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る