第78話
一応、使用用途は分かっているらしいが、使えるハンターがいないので、色々なハンターに試してもらっているようだ。
使えたら使うといいといった感じで、渡された。
俺が使えるかは分からないが、使えるなら役に立つものなのだとか。
一応、音を集めたり、反響具合で敵の位置を調べる機械なのはわかっているのだが、これを使用すると、情報量が多くて頭痛がするらしい。
「そんな危ない物、持ってくるのはやめてくださいよ。音を利用した装備があるのは助かりますが、使ったら頭が痛くなるなんて……欠陥品じゃないですか?」
『リュウ、おそらくあれは、あなたが使っても頭痛はしないと思います。アルファのアシストはいりますが、かなりの逸品だと思います』
おや? ナビィから見れば、かなり有用な機械らしいな。
「まぁ、使用時に頭痛が多少するだけで、止めればすぐに痛みは無くなるので、試すだけなら問題はないよ。使用条件として、強化外骨格を使っているハンターしか装備できないようだけどね」
『一応、アーマーでも装備は可能ですが、もっと細かく使用制限を説明すると、強化外骨格と脳の発達具合が必要条件に達している必要があるようです』
強化外骨格の必要条件はなんとなく意味が分かるが、脳の発達具合というのはどういうことだ?
ナビィの話では、おそらくだが旧世界の物か、旧世界の技術を流用した物だろうとのことだ。
旧世界では、超人のような人間はいなかったが、それに近い能力を発揮できる装備……強化外骨格などが存在していたようで、ここにある機械はその1つか、技術が使われている物だろうとのことだ。
となると、これは遺品ってことか?
遺跡から発掘されており、旧世界の技術でできているのなら、遺品ということなのだが、技術力が高すぎて調べることが出来ないから、使えるハンターを探しているのが、現状らしい。
ナビィが言うには、同じような装備がいくつも見つかっているが、使える人間がいなければガラクタなので、フル活用できた場合の性能を知りたがっている人たちがいるっぽいとのことだ。
まぁそれは分かった。
それより、脳の発達具合っていうのはどういうことだ?
『それは、超人のような能力を発揮するためには、脳が相応に発達している必要があるようです。脳の発達段階が一定以上になると扱える装備で、リュウたちは2人でその段階を超えていると思うので、使用してみるべきです』
2人で、その段階を超えることが可能なのか……でも、超人は1人で簡単に飛び越えていくってことだろ? 本当にすごい人たちなんだな。
失敗しても、使用時だけ頭が痛くなるだけだから、試すだけ試そう。
渡された遺品を強化外骨格へ接続し、体の調子を確認しながらスイッチを入れる。
眩暈が続くが、頭の中に情報が叩き込まれてくるのが分かる。
おそらく、この情報を処理しきれる段階になければ、その情報が頭痛という形で現れるのだろう。
どういうものか理解できたので、アルファがリュウのアシストをして、機械から送られてくる情報を整理する。
情報を整理している間に、アルファは、旧世界にはこれを動かせる人間がそれなりの数いたらしいという事実に驚愕していた。
何か改造でも受けていたのではないか? と思うくらいには、大量の情報量だったので、そもそも俺とは頭の作りが違うのでは? という疑いもでてきた。
おそらくは、こういった機械がたくさんあり適用してきた結果、大量の情報を頭に叩き込まれても、それを処理するだけの能力が身に着いたのだろうだとさ。
「おや? 君は、この装備を使うことが出来るみたいだね。どんな感じだい?」
「少し眩暈がしますが、頭痛はしないので慣れれば使えるかと思います。使用した感じは、強化外骨格が受けた音を情報に変換して、身に着けている人に、正確な位置を伝えるような感じですかね?」
俺の知識から掘り出した物で近いといえば……エコーロケーションのような能力だろうか?
ナビィ、この装備って本当に強化外骨格につける装備なのか?
アルファが疑問に思い、ナビィに確認を取る。
『もともとは、違ったかもしれませんが、全身に装備するものにつけるような機材なのはあ違いありません』
じゃぁ、強化外骨格とこの装備の間に噛ませるような装備も、存在しないってことか?
『旧世界のネットワークには、そういった情報はありませんでした。使う人はほとんどいませんでしたが、狭い所で行動する人たちや、アウトドアを楽しむ人たちが使っていた装備だと検索結果が出ています』
マジか……旧世界って、技術が発達しているだけかと思ったら、その技術に適応するために、人間側も進化していた可能性が高くなってきたな。
超人になる要素が、昔から存在していて、シリコン生命たちがこの星にやってきたことをきっかけに、能力が開花した可能性があるな。
「ひとまず、その装備は君が使っていいから、2~3回ほど探索で使って、使用した感想や使い勝手を、レポートにしてほしい。もちろん、レポートのでき次第では、追加で報酬が発生するから、しっかり書くことをお勧めするよ」
押し付けられた形になったが、有用な装備であることには変わりがないので、とりあえず依頼を受けて、使い勝手を確認するか。
ナビィに確認を取り、鑑定士が持ってきた3枚目の依頼……探索に手間がかかる依頼を受けて、問題がなければ1枚目の戦闘が発生する依頼を受ける形になった。
「そうだ。明日には、超人の部隊が来るから、あまり近付かない方がいいかな。どこにでも面倒な奴がいて、トラブルを起こす相手は、こっちの話なんて聞かないから、相手をする前に逃げた方がいいぞ」
超人の部隊とは? 1人しか来ないはずなのに部隊ってどういうことかと思ったが、超人1人の能力を最大限発揮させるために組まれた部隊だそうで、それなりに能力が高いため、エリート思考みたいなやつがいるのだとか。
自分たちは何をしたっていい……みたいなやつらだ。実際にはそんなことはないのだが、要請して来てもらっている以上、こちらからは強く言い出しにくいのだとか。
「明日から、依頼を受けるので、処理をお願いします」
帰り道に、ナビィに超人とその部隊の人たちが到着したら、全員にマークを入れておいてほしいとお願いする。
向こうも仕事で忙しいだろうし、ナビィがマークしてくれているから、遭遇することは恐らくないだろう。
★☆★☆★☆★☆★☆
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
『フォロー』や『いいね」をしていただければ、モチベーションにもつながりますので、よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます