第79話

 予定の時間になり、準備が終わった俺は、依頼場所へ向かう車の元へ。


 今回の装備は、FLAR-11とカスタムが1丁ずつ、非常食として2日分、ノーマルのFLAR-11用の強化弾の入った拡張マガジンが3つ、グレネードが3つ、強化外骨格とアーマー。


 最後に、昨日受け取った装備、エコーロケーションのような能力を追加できる旧世界の装備……


 こまごまとしたものはあるが、主だったものはこんなもんだろう。


 今回は追加で弾は持ってきていない。強化弾のマガジンが3つ、通常弾が銃にセットされている1つと、予備で持っていく3つ、合わせて300発、カスタムFLAR-11に貫通と発熱を半々で900発。


 合計で1200発の銃弾を持ち込んでいるので、これで対応できない相手がいたのであれば、戦う前に逃げるべきである。その線引きは、ナビィに任せてある。


 もし、何かのきっかけでナビィを更新できなくなった場合は、何が何でも離脱する計画だ。俺たちの能力で突破できる敵だったとしても、逃げを優先すると決めている。


 移動の間は、今日の手順を確認し、ナビィのサポートは視界ではなく、旧世界の装備のサポートを行う形だ。


 エコーロケーションは、強化外骨格に影響を与える物なので、ナビィには悪影響がないかの監視と、この装備が持っている本来の能力を引き出すために頑張ってもらう予定だ。


 ナビィの能力かさすれば、フルサポートをしたところで、全体の能力の数%しか使わないので、制限するのはリュウとアルファの訓練のためだ。


「リュウ、探索がメインとは言ったが、モンスターがいないと明言があったわけじゃない。モンスターがいることを前提として、新装備の実験だからな」


 リュウは頷き、今回探索する穴の中へ入っていく。


 この穴は、初級のハンターが見つけたのだが、自分たちでは危険が大きすぎると判断して、ギルドに報告したものが俺に回ってきた形だ。


 この初級のハンターたちは、俺があげた報告のモンスターのことを聞いており、もしこの穴で出た場合対処しきれないと判断して、ギルドに報告したんだろうな。


 初級のハンターって、無謀な奴らばかりじゃないんだな。


 旧世界の装備の装置の電源を入れる。


 軽いめまいがするが、アルファがサポートすることで、眩暈がなくなる。


 視界は暗いままなのだが、旧世界の装備が強化外骨格と俺を通し、ナビィによって本来の能力を発揮させられているため、感覚的なものだが暗くても装備の範囲内はすべて把握できている感じだ。


 本来は感覚的なもので、視界に影響はないのだが、ナビィは感覚的なものを視界に落とし込んでくれていた。


 いつもの視界サポートとは違い透視ができるのではなく、通路内しかわからないが通路が繋がっていれば、範囲内すべてを知ることが出来る。


 大きな違いがないように思えるが、視界だけのサポートより、圧倒的に優れている面がある。


 反響音などを頼りに周囲を把握するため、目に見えないものでも把握することが可能だ。


 この装備なら、光学迷彩のウルフも簡単に見つけ出すことが可能だろう。


 音を吸収する素材とかで、そこにいるかわからなくするような奴もいると思われるが、実際に装備を使ってみてわかったことがある。


 音を吸収したり、相殺した利しても、そこには違和感しか残らないので、何かがいるということがバレバレになる感じだ。


 いつもとは視界が違うので、少し違和感がある。探索を先にしてよかった。これでも戦闘はできるだろうが、やっぱり慣れてから戦闘はしたいよな。


 と、この装備の探索範囲ってどれくらいあるんだよ。情報量が多くて、また眩暈がしそうになってしまっている。


 リュウにまでは送っていないが、ナビィが把握しているだけで数km先まで把握ができていた。


 この世界の装備なら、500m先が調べられるだけでも、かなり優秀な装備なのだが、それでもかなり高価な部類に入る装備なんだとか。


 この装備が量産されたら、革命が起きるかな?


『装備が複製できても、使える人間が増えないと、革命的効果は得られないと思います』


 それもそうか。


 この装備だって、使えるやつがいないって俺に試してみるように言ってきたやつだしな。他にもいくつか同じのがあるって話で、複製は……おそらくできないけど、グレードが落ちたものならいずれ作れるようになるかもな。



 しばらく使っていて分かったことだが、アウトドアに使われていたという意味がよく分かった。


 この装備、実はエコーロケーションがメインなのではなく、本来の用途は虫よけにあったのだ。


 どういう原理なのかは分からないが、この装備を起動してから俺から離れようを虫たちが動いたのだろう。


 どん詰まりへ行くと、虫たちが集団で死んでたりしたので、ナビィと調べてようやくわかった能力だ。


 ナビィでもわからなかったということは、相当細かく作りこまれている可能性がありそうだな。


 っと、そろそろモンスターと対峙するな。


 リュウもしっかりと把握しているので、不意打ちを食らうことはないだろう。問題があるとすれば、ナビィのサポートで多少見えている形だが、ほぼ視界がゼロと変わりがない状況ということだろう。


 旧世界の装備のおかげで、壁などの位置を把握できているので、暗くても問題なく動けるのだが、戦闘となると話が変わってくるのではないだろうか?


 アルファの心配なんて関係ないとばかりに、リュウは進んでいく。


 機材から得られる情報を疑うことなく、どんどんと進む当たりいい度胸をしているよな。


 モンスターが射線に入ると同時に頭を撃ち抜いた。


 この遺跡には数体のモンスターがいるだけで、何故かグループで動いていなかった。各個撃破ができるので、思った以上に戦闘の難易度は低かった。


 もう1個の依頼は、もしかしたら数が多くて危険かもしれないな。


 リュウに探索を任せている間に、俺は次の依頼に使えそうな何かを探してくるか……



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