第7話
眠りから覚めて、体を伸ばしていく。まだ初めて数日ではあるが、ストレッチをする癖がついてきた気がする。意識しなくても続けられるようになれば、体が柔らかくなっていくかな?
まだ立位前屈で指が地面につかないが、その内掌が全部つくようになるだろうか。
掘り続けた結果、体のあちこちが筋肉痛になっているので、今回の件は休みがてら、本当にちょうどよかったかもしれない。
昨日の件が無ければ、今日も無理して扉を開けていただろう。
ナビィの索敵力であれば何もないだろうが、範囲を狭めすぎると昨日みたいなことになるので、疲れた状態ではさらに危険が増してしまうだろう。
調べてもらっていた通信機のありそうな場所は、やはりスクラップ置き場が最有力候補だった。
通信機は電源が入っていない状態では、使えるか使えないか分からないため、ありそうな場所や通信機っぽいものをスキャンできても、実際に触って動かしてみない事には動くか分からない。
スクラップ置き場以外にも、スキャンに引っかかった通信機がいくつもあり、ハンターたちを遠くから見たように映像を出してもらうが、明らかに壊れている様子のモノしかなかった。
この際使えれば何でもいいので、落とし物でも何でもいいから追加で探してもらったが、動いていると分かる通信機は、誰かが持っているモノ以外簡単には見つけられなそうだ。
お昼の配給の時間まで、ナビィと色々調べてみたが、スクラップ置き場にあるモノで状態が良いモノを、修理するのが一番近道ではないか? という結論になった。
ナビィには随時検索してもらうが、おそらくそれがベストだろうと。
スラム街であれば、起動したものがいくつか見つかってはいるが、スラムの孤児が行くと危険なエリアなので、最終手段として考えておこう。
スラムの孤児が行くと危険なエリアとは、普通の街でもスラムから遠いいエリアだ。そこに行って治安維持組織や、質の悪いハンターに見つかれば、速攻で殺されるような場所だ。
スラムに近くても言われないがいい顔はされない。そのような状態でスラムから遠くなれば、簡単に殺されてしまう。
何もしていなくても、税金を払っているか払っていないかで、こういった理不尽があるのだ。スラムに近ければ、自分の身も危険なのでやらないだけで、危険が無ければスラムの中で殺しをする奴らは少なくないんだとか。
精神異常者の大量殺人者もいるが、大半は日ごろの鬱憤を晴らすために、殺すらしい。治安維持部隊の中で孤児たちは、そういった者たちに捧げられる奴隷という認識かもしれない。
思っている以上に見の近くに危険があるようだ。
お昼の配給であるブロックバーを受け取り、アジトで保管してからすぐにスクラップ置き場へ向かう。
この待ちでのスクラップ置き場は、リサイクルが面倒なモノを一ヶ所へ集めて置いておく場所……といった感じか?
最終的には集まったモノをリサイクルするのだが、週に1回とかまとまった量が集まった段階で施設を起動し、使える状態へリサイクルするようだ。
常に起動していないのはコストの問題で、このような形に落ち着いたんだとさ。
スクラップ置き場には、お宝がまぎれることがあるので、俺のようなスラムの子どもが来ることも多い。今日も、俺が来る前に10人はスクラップ置き場に来ていた。
スクラップ置き場でスラムの人間が宝探しをしても問題ないのは、貴重な金属などを探して街へ貢献してくれることもあるので、出入りは自由になっている。
スクラップから取り出せる資材の多くは、一般的に使われている金属が多く精錬の関係上、レアメタルなど希少金属を取り出すのは難しかったりする。
何で難しいのかは良く分からないので放置だが、レアメタルは大切なので多く含まれているスクラップ品は、スクラップ置き場で買い取りもしてくれるので、小遣い稼ぎができるかもしれない。
そんなモノを見つけられるのも1~2日1人程度なので、見つけられた人はかなり幸運だろう。
ここで運に任せてお金をゲットして、俺でも入れるネットカフェの様な場所に行くのもありか?
『1日に、50人以上が探して1人が見つけられるかどうかなので、非常に効率は悪いと思います。確率だけで言うと、50~100日はかかる想定です』
確立を言われれば高い気はするが、時間を考えるとかかり過ぎる気がする。それなら、修理できそうな物を探すのがベターだろう。
ナビィの指示に従い目を付けていたモノを探し当てていくが、やはり起動は出来ないものだけだった。
電源以外にも壊れている場所があり、起動することは困難だとナビィが教えてくれた。
手元にあれば、動くか動かないかを調べるのは難しくないようだ。本当に良く分からない能力だな。
見つけたモノの中で状態が比較的良いモノを集めておき、修理できるかを持ち帰ってから詳しく調べることになる。
初日の成果は3つ持ち帰ってきた。
持ち帰ったモノを道具を使ったり壊したりして、重要なモノを取り出していく。
『どれも修理は難しそうですね。状態がいいと言っても、スクラップ置き場にあるモノだったので、期待はしていませんでしたが』
この時代でも、基盤が使われているモノが多かったな。もっと違う謎技術で作られていると思ったけど、俺がいた時代の基盤に似ているモノが使われている。
中には、意味が分からない機械もあったが、そういうモノは素人には修理不可能なので、目もくれていない。興味はあったが、時間がいくらあっても足りなくなるので、余裕ができるまでは考えている暇など無いだろう。
ある程度予想はしていたが、落胆してしまうのは仕方がないよな。
寝る前のストレッチをしながら、ナビィに俺に発信器を付けた奴らが今日何をしていたか尋ねてみた。
あいつらは、今日は外へ出ずに街の中で休んでいたようだ。それでも時々俺の様子を調べて、罵っている映像を映し出してくれた。
やはり目を付けられているようなので、下手なことは出来ないな。さっさと、通信できるモノをゲットして、心置きなく丘の下を探索したいところだな。
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