第64話
「おじさん、この銃ていくらくらいなんですか?」
俺は、店主に向かってこの銃の値段を聞いてみる。
「改造したFLARー11だな。これは……80万くらいで売れたらって思ってる商品だな」
「え? カスタムしていないこのFLARー11で40万くらいだったのに、カスタムしているのに80万なんですか?」
「そうだな。FLARー11は悪い銃じゃない。でも、初心者が使う銃としては悪くないというだけなんだよ。使えても、なりたての中級ハンターくらいってことと、マガジンが一体化しているから、汎用性が落ちてるんだよ」
「そのマガジンって拡張型ですよね? 強い弾丸を入れておけば、結構使えるんじゃないですか?」
「もともと使っていた奴が変わり者で、900発も入る超高級品だ。だけどな、普通の弾でも300発くらい連続で撃てば、銃身が焼き付いちまう欠陥品なんだよ」
おや? エネルギーパックを使えば、焼き付かないことを知らないのか。わざわざ教えてやる気はないけど、もしかしたらお買い得かもな。
「自分で改造したりしないんですか?」
「改造しても売れるかわからない銃をわざわざするのはな。それなら少し高めだが、銃弾を持ち運ぶ面倒が減る、初心者ハンターに売ってしまおうって魂胆だよ」
「じゃぁ、初心者ハンターの俺は、その魂胆に乗ってもいいですか? できれば、何かサービスか割り引いてもらえると嬉しいんですけど、何かないですか?」
「それなら、その銃を手に取って、弾を出してみな」
そういわれて、言われたとおりに弾を取り出す。
「?? 初めて見る弾ですね。強化弾とも違うし……」
「それは、前の持ち主がお勧めしていた銃弾を入れてあるんだ。その銃弾は、貫通力特化の特殊弾の1つだな。銃弾自体が回転する機構を持っていて、通常弾の数倍の貫通力がある弾丸だ」
『弾丸も特殊な加工がされており、堅い敵に有効な弾丸ですね。主にインセクト系の全身が機械でできているモンスターに使われます。ですが、ダメージを与えるという面では、強化弾のほうが使いやすいので、あまり使われない銃弾だと情報がありますね』
ん~弾のことは後で考えようか。この銃が本当の能力を発揮すれば、80万なら安いからな。
「おっちゃん、ちょっと金をおろしてくるから、その銃取っておいてください」
すぐ近くにあるATMでお金をおろし、銃を購入した。
続いて見に来た店は、いろんな付属品が置かれているお店だった。
銃をカスタムするためのパーツだったり、強化外骨格やアーマーを強化するためのパーツなど、様々なものが売っている。
銃のカスタムパーツって、それを装備するとなんで強化されるのかわからないものばかりだな。でも、ナビィが教えてくれるので、強化されることは間違いないらしい。
ここではめぼしいものは無かったが、商品を物色している間に、ナビィが色々なことを教えてくれた。そこで、1つの疑問が解決したのはすっきりしたな。
疑問と言っても、大したことではない。
普通の銃弾と強化弾は、威力が違うことは分かる。でも、銃が違うと弾の威力が変わることがよくわかっていなかった。
使われている弾薬が同じなら、威力はほぼ一緒になるのではないだろうか? という疑問だった。
銃身の長さで弾速が変わり、それに伴い反動も大きくなるため、一概に強くなるとは言えないのだが、中級者ハンター以降が買える銃には、特殊なシステムが組み込まれており、その機能のおかげで弾の威力が上がるらしい。
もっと言うと、俺が普通の弾丸として使っている物を使っているのは、初心者のハンターだけだそうだ。
稼げるようになれば、俺の使っている弾丸と見た目はほとんど変わらないのだが、純粋に火薬の威力が高くなっているものがあったり、弾頭が特殊加工されている物だったり、戦う相手によって変えるのが普通なんだとか。
俺が買ったカスタムされたFLARー11は、特徴である汎用性を捨ててまでマガジンを拡張して、貫通力が高い弾を使っているんだろうな?
そんな武器でも、初心者の俺からすれば、量産型の安物エネルギーパックを使うだけで、900発フルに撃っても銃身が焼け付かない、特注品だからな。
メインの武器として使って、今持っているFLARー11をサブに持っていき、強化弾をすぐに使えるようにするのも悪くなさそうだ。
5件目を回ったところで、
『リュウ、あの籠手を確認してもらってもいい?』
ナビィが気になる物を発見したようで、商品を確認するように言ってきた。
「おじさん、この籠手ってどんなものですか?」
「あ~これか。それは、元々盾のようなシールドを張れる、アーマーの亜種だったんだがその機構が壊れて、広い範囲が守れなくなったものだな。籠手としての強度もアーマーとして腕を守ることはできるが、それだけだな」
「盾が張れないだけで、アーマーとしての機能は残っているってことですか?」
「まぁそんな感じだな。売れる商品じゃないが、どうしてもってことで買いたたいた商品だから、安くするぞ、買うか?」
『もともと盾を出すことが目的の籠手だったんですね。アーマーとして使えるのに、安かったのにはそういう理由が……リュウが良ければ、これは買ってもいいと思います』
「少し、腕につけてもいいですか? この通り、自分は体が小さいので、大きさが合うか心配です」
「自動フィッティングがあるから、おそらく大丈夫だと思うが、一応つけてみな」
そういって手渡された籠手を身に着けてみる。
『やっぱりこれって、強化外骨格の一部を流用して、さらに改造されたものですね。メーカーの修理が受けられないけど、防御機構が生きているので売り払った感じですね』
リュウは、手をぐーぱーと開いたり閉じたりしている。本人的には違和感がないようで、値段次第では買ってもいいかな? と考えているようだ。
「おっちゃん、大きさは問題なかったから、買いたいんだけど……ぶっちゃけ、どこまで安くなります?」
「おぃおぃ、店主にそんなこと聞く奴には、初めてあったぞ。嘘でも吹っ掛けて、安い値段を言ってからの交渉だと思うぞ。これを買ってくれるついでだ、俺が値切る訓練の相手になってやろう」
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