第46話
訓練が始まり10日が経過した。
強化外骨格込みでの銃撃は合格点を貰っているが、強化外骨格無しアーマー蟻の銃撃では、合格点を貰えていない。
基礎体力が足りないせいで、アーマーが反動を相殺してくれていても、体に限界があるようだ。
何度か依頼を受けるか、遺物を回収してこないと、正常な状態へ体を戻す入院ができない……
ちょっとしたジレンマだな。
今以上に体力をつけるためには、体を健康な状態に戻さないと難しいとナビィは判断している。
『訓練の練度的には合格点ではあるので、そろそろ遺物を探すか依頼を受けてみますか? ランクが1ですので、集団で街の外へ行きチームで間引く任務か、遺物を持ち帰ることでギルドに貢献するかの2択ですね』
この2択か……
「間引く任務の方は、リーダーとかはどうなっているか分かるか?」
『リーダーは、ギルドが決めたハンターが行い、報酬は最低固定賃金とモンスターを倒した分の追加報酬ですね。チームで倒したと判断される場合は、頭割りになるそうです』
「なんか嫌な感じだな。絶対に俺みたいな新人は、食い物にされるタイプだろそれ……ある程度、ハンターランクを上げないといけないけど、そのタイプの依頼は色んな意味で大変そうだな」
『遺物を探してもいいかもしれませんが、移動手段が徒歩では行動範囲が限られます』
あ~それがあった。移動手段がないんだった。
「仕方がない。ハンターギルドで相談するか……」
訓練は続けるとして、並行して間引きの依頼を受けていくしかないか?
次の日、ハンターギルドへ顔を出す。見覚えのある人は誰もいないので、空いていた受付の元へ移動する。
「すいません。依頼の件で相談したいのですが、ハンターランク1でも受けられる依頼ってありませんか?」
「ライセンスの提示をお願いします」
言われた通りにライセンスを提示すると、何やら調べ出した。
「依頼を受けたいという事でよろしいですね? となると……ギルドマスターに報告する必要があるみたいですが、何か問題があったんですか?」
「いえ、ギルドへ入る際に色々と世話をしてくれたので、気にかけてくれているのではないでしょうか?」
納得した様子で、どこかへ連絡をしている。
連絡を終えると、面談室へ連れていかれた。
しばらく待っていると、ギルドマスターが現れた。
「とうとう依頼を受けるんだってな。どんな依頼を受けるつもりだ?」
「基本的にある依頼以外に受けられるものが無いか、確認しに来たらここに連れてこられたから、どんな依頼を受けるはまだ分かんないかな」
「間引きの依頼でも受けるか?」
「その依頼で、新人に対する不正がないのであれば、受けますがどうですか?」
「……やはり知っているようだな。受ける前に注意するために、私に話を通すように言っておいたんだ。チームのリーダーの申告制なので、どうしても新人の活躍を奪い奴がいるんだ。嘘か判定する方法が無くてな」
カメラのようなモノを身につけさせておけば……とも思ったが、余計なものを持ちたがらないハンターが多く、特定が無理なんだとか。
まぁ、自分の取り分が減ることを考えれば、わざわざ余計なものは持ちたくないよな。
「他に新人が受けられる依頼ってないのか?」
「そうだな……どこでもいいから、1人で探索する依頼もあるけど、リスクが高いぞ。索敵の装備が無いと、モンスターに襲われる可能性が高くなるぞ」
「索敵装備か……比較的優しい場所で、探索の依頼ってありませんか?」
「お前さんの装備を考えれば、問題ないかもしれないが……まぁ、何か見繕ってやる。しばらく待っててくれ」
10分ほどで戻ってきた。
「一先ず、これでどうだ?」
見せられた依頼は、ここから20kmほど離れた場所の地下に空洞が見つかり、洞窟型の空洞だったので金にならないと判断して、自分たちでは調べずギルドに報告して、調べてもらうことになったようだ。
『地下でも、私の索敵は問題ありませんね。場所が分かれば、今からでもその空洞を調べることが可能です』
さすがナビィ。
「探索をするのはいいですが、どうやって探索した事を証明するのですか? もし、そこで何か遺物が出た場合は、どういう扱いになりますか?」
「専用の機材を持って行ってもらえば、そいつが記録してくれるようになっている。遺物探索で出された依頼ではないが、ギルドが仲介しているので、手取りは7割になる。3割がギルドの取り分だ」
「そうすると、見つけたチームに狙われませんか?」
「見つかったら、優先的にチームへ依頼を出すことで、トラブルになることは避けている。量が多くなければ、何もなかったと報告するだけだな」
余計なトラブルが起きないように、配慮はしているみたいだな。
「じゃぁ、それを受ける場合、移動方法は自力で確保が必要ですか?」
「いや、ギルドからの依頼だと、移動手段が無ければ貸出制度がある。それなりの値段になるが、依頼で使う場合は割引制度があるが、破損すればそれなりに賠償金が必要になるな」
自動で移動する仕組みがあり、現地に置いておく必要はないそうだ。盗まれたり、壊されたりする可能性は低い。
なのに破損したら……ってどういうことかと思ったら、扱いが悪く破損させるハンターがいるそうだ。
時間を指定すると、自動で送り迎えをしてくれるようだ。
「了解した。今から行くと、余り探索ができないから、明日からでも問題ないですか?」
「了解した。明日の朝9時に門付近に車を用意するから、帰りの時間をギルドの人間に伝えてくれ。そうすれば、迎えに来る車の設定をしてくれる」
色々確認して、明日初めての依頼を受けることになった。
その後は、いつも通りに訓練場で銃撃の訓練をして、帰りにシルバーブレッドで、威力の高い銃弾も60発ほど購入して家へ戻った。
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