第47話

 家についてまずしたことは、銃の分解整備だ。


 ナビィの映し出してくれている立体映像を真似て、リュウが銃の分解をしていく。


 分解整備する理由は、筒の中の掃除と各パーツに歪みがないか、確認するためだ。


 銃を買っても掃除道具などはついてこないので、自分で買って掃除する必要がある。お金があったり、銃のランクが高く自分で整備が難しいものは、専門の業者に頼む人もいる。


 俺の使っている銃は名銃ではあるけど、業者に出すほど高価なものでは無い。中古品を今回買わなかったのは、整備が行き届いていないものが市場にあふれているため、新品で銃を買っている。


 カチャカチャといじっているリュウだが、思っている以上に簡単に分解している……これって、耐久力大丈夫なのか?


『簡単に分解しているように見えますが、耐久性には問題ありません。そもそも、きちんとした手順を踏まないと、分解できないようになっているので心配は無用かと』


 また考えていることを読まれてしまったな。


 パーツの歪みなどは、ナビィが全部調べてくれているが、どういったふうに歪んでいるかを確認するかをリュウにも教えている。


 俺は半分くらい意味不明だったが、リュウは完璧に理解したようだ。戦闘に関わることの習得スピードが尋常じゃないな……


 解体整備が終わった銃の確認を行うために、下水倉庫へ移動してそこで何発か撃っている。


 明日持っていく荷物も全てリュックへしまい、非常食を3日分ほど詰め水分も念のため2リットルほど入れている。


 水が浮くない理由は、この世界では比較的簡単に飲める水が手に入れられるからだ。どんなに濁っていても、浄水器を通せば飲める水になるので、水に関しては持ち運びは最低限となっている。


 旧世界の機能が生きていれば、飲める水が蛇口から出てくるし、水に困ることは比較的少ない。


 すべての確認が終わったところで、お風呂に入り寝ることにした。


 一応テレビなどもあるのだが、民営の放送はアルファやリュウには合わず、ほとんど見ていない。


 何のためにやっている番組なのかも良く分からないものばかりなので、初日に少し見ただけでその後はなんとなく音が欲しい時につけているだけだ。


 サイトと契約をすれば、昔のアニメとかも見れるようになるのだが、そういった契約はまだ先の事だろう。


『アルファは、アニメが見たいのですか?』


「俺はアニメとか小説が好きだったみたいだから、見れるなら見たいとは思うかな?」


『それでしたら、旧世界のデータベースに色々なアニメがあります。他にも小説などもあります。端末の方で見れるようにしておきます』


 旧世界から引っ張り出してきている物なら……金を払わなくてもセーフだよな?


 だとしても、今日は見ないで寝る。明日の依頼のために早めに寝る必要があるからな。



 強化外骨格を着込みその上にアーマーを着て、荷物を背負い銃も肩にかける。


 朝食は、屋台で買った物を食べながら、待ち合わせの場所へ向かう。


 そこには、ギルドマスターと同じで俺の秘密を知っている鑑定士がいた。


「久しぶりだね。今日は、君を探索してほしい場所へ連れていくことになった。少し入り組んでおり、入り口を見つけるのが面倒だから、案内役がつく形だ。普段はつかないから、注意してくれ」


 移動用の車の説明を受け、一緒に目的地へ車を走らせる。


「おそらく30分ほどで着くから、それまではリラックスしていてくれ」


 昨日も確認したが、念のため今日も銃の確認をしておく。撃てる寸前まで操作を繰り返し、問題がない事を確認していく。


 おっと、昨日強い銃弾を買ったが、まだマガジンに詰めていなかった。それを思い出した俺は、60発の弾をマガジンへ詰めていく。


 2倍の拡張マガジンで、通常の10倍はするマガジンに弾を詰めた。


 見た目的には、30発しか入らないマガジンと変わらないのだが、60発入るのは不思議だな。


 重さは、30発入りと変わらないから、なおさら不思議だな。重さが60発分ならまだわかるけど、謎技術に感謝だな。


 すべての確認が終わり休んでいると、


「そろそろ、つきます」


 そう言った後、30秒もしないうちに車が停車する。


「付いてきてください。少し入り組んだ場所にありますので、帰り道をしっかり覚えておいてください」


 そう言って案内されたのは前情報通り、洞窟タイプの遺跡……遺跡なのか?


 楕円だったり少し四角っぽかったりと、統一性は洞窟という感じしかないな。


「では、予定通り、18時にあの場所へ車が来るようにしておきます。降りる前に教えたボタンを押すか、19時までにここへ戻ってこれなければ、車が自動的に街へ戻りますので注意してください」


 ずっと待っててくれるわけじゃないのか。それもそうか、もし貸し出した奴が死んだ場合、ずっと待ってることになりかねないもんな。


『これを言うと緊張感が無くなりそうですが、ここに大きな危険はありません。ですが、モンスターはいますので、十分注意して進んでください。これも訓練の一部です』


 昨日、この洞窟を調べているときに、急に訓練に最適だと言い出したので、今日は訓練を兼ねた探索を行っていく。


 今回は索敵機材がないので、一番重要になってくるのが音だ。反響音で先に何かあるかを知ることは出来ないが、モンスターの動く音は聞こえるので、重要な情報である。


 銃を構えて、入り口から洞窟の中へ……


 いきなり左右に分かれている。耳を澄ませるが、モンスターはまだ遠く動く音は聞こえない。


 左側から地図を埋めていくことにいていたので、左の通路から先に調べていくことにした。


 足下を確認しながらゆっくりと進んでいく。


 足音が極力立たないような歩き方を、ナビィに習いながら進んでいく。


 いくつか分かれ道があったが、どれも途中で進めなくなっていた。崩落した感じではなく、途中で穴掘りを途中でやめたような感じだった。


 あくまでそう感じるだけであって、本当に俺の考えた通りなのかは、ナビィに教えてもらわないと分からない。



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