第53話
「十数年前に特殊固体として報告が上がった、あの能力を持っているウルフが2匹か……しかも、体内に同じような機械というか器官存在していることも考えれば、特殊固体ではなく、個体数が少ないモンスターってことか。
話を聞く限りだと、戦闘という状況に置いて狭い空間で違和感を感じられて、初めてそこにいたと分かるような、偵察特化型のウルフのようなものだろうか?」
ギルドマスターは、眉間にしわを寄せ悩んでいる。
「今更だけど、新人のハンターのいう事を丸々信じてもいいんですか?」
「普通なら信じられるものでは無いが、実物があってある程度の戦闘能力を有していることは、こちらも理解しているからな。
もっと言えば、高ランクのハンターであれば、おそらく気付けるだろう光学迷彩のウルフだが、高ランクのハンターが活動する場所では、ウルフなんぞ出てこないから、報告もあがってきていないのだろう」
もしかしたら、知らない間にまとめて屠っていたかもしれないな、とか言っていた。
ピンチにはならなかったが俺程度の力で倒せるのであれば、高ランクのハンターたちの相手ではないのだろう。
「だが中級あたりのハンターだと、戦闘中でも不意をつかれそうだな。おそらく君は、スラムに住んでいた経験上、周囲の状況に敏感なんだろうな。良いか悪いかは微妙だが、代えがたい能力だな」
おっと、一番初めに気付いたのはアルファだが、アルファの存在は話していないので、スラムの時に身につけた能力だと勘違いしてくれたな。
「荒野で複数のウルフに襲われている時にあの光学迷彩がいたら、さすがに不意をつかれると思います。能力的には普通のウルフと大して変わらないと思うので、アーマーのシールドで防げる程度だとは思います」
「ウルフであれば、そうだろうな。だが、本当の問題はそこではないのだよ。ウルフ系のモンスターにいるのであれば、他のモンスターにも同じような能力を持っているモノが、いてもおかしくない事が問題なのだ」
確かに……一番弱いウルフだから何とかなっているモノの、他の動物系……力の強いクマなどであれば、俺のアーマーのシールドでは防げない。
注意喚起が必要なようで、他の街へすぐに連絡を入れるそうだ。そうすれば、高ランクのハンターたちにも伝わって、情報が集まるかもしれないとの事だ。
わざわざ探すようなことはしないだろうが、見つければ倒して回収するくらいはしてくれるだろうとのことだ。
「とはいっても、大きくなればなるほど、移動する時の音は隠せないので、偵察用の能力な気はしますけどね」
「私もそう思うが、不安要素は1つでも消しておくべきだし、不用意な情報は共有するべきではないからね。いくら弱くても、透明になれるという能力が脅威だからな」
その後は、いくつか質問をされ、それにこたえていった。
今回の報酬は、モンスターのいる遺跡の探索としては、妥当な報酬だった。それより、光学迷彩のウルフの情報の方が、圧倒的に高かった。報酬の10倍くらいの値段がついていた。
俺はそれに加え、俺が発見した分の遺跡のお金も少しずつ振り込まれるので、今日1日でかなりの額を稼いだことになるな。
哨戒任務やモンスターの間引きであれば、最低金額に歩合制となるのだが、同じ数を倒したところで、今回の遺跡調査の半額ももらえなかっただろう。
遺跡調査は、命の危険性があるから哨戒任務や間引きに比べれば、高くなるのは当たり前なのだろう。
今回遺跡で俺が死んだとしても自己責任で、ギルドがお金を負担することも無いから、損することは何もないんだよな。
毎回こんな仕事があるわけではないので、嫌でも先輩ハンターたちが成果を奪う間引きとかに、そのうち行かないといけないのだろう。
『その時は、奪われないように実力を隠して、近くに来た相手だけを狙えばいいと思います』
それもそうか。結局のところ、真面目にやっても不真面目にやっても、最低限のお金はもらえるわけだし、それなりに弾を撃っていれば、問題はないか。
その時は、モンスターの近くの石に当てる……みたいな訓練にすれば、真面目に仕事をしているように見えるか。
帰り道に屋台へ寄って、ガッツリとした食事を購入した。一番近い料理といえば、ケバブのようなものだな。ピタパンのようなモノに、スパイシーな肉と野菜がたくさん入っていて、甘辛いソースのかかった料理だ。
『今日は、お風呂に入ってしっかりとストレッチをしてから寝ましょう。おそらくですが、明日は筋肉痛になっていると思います。ゆっくり休むことも大切なので、明日は体調と相談して予定を決めましょう』
筋肉痛? トレーニングを始めてから、1週間くらいは筋肉痛になっていたが、最近はなっていなかったので疑問に思った。
お風呂に入った後にストレッチをするのは、筋肉がお風呂で弛緩して伸びやすくなっている……という事なので、その言葉に従ってストレッチを行ってから寝た。
次の日、目を覚まして体を起こすと、腕と足がピキピキいっていた。
極度の緊張下にある中で銃撃をしたりしたため、必要以上に力が入っいたため、上半身……腕の辺りが筋肉痛になってしまったようだ。
では、何故下半身の足も筋肉痛をしているかと言えば、かなり無茶な動きを強化外骨格のパワーアシストを頼りにしたため、その反動で筋肉痛になっているのだとか。
市販の一番安い回復薬を使って痛みを和らげていたが、回復薬では治りきらないレベルで筋肉痛になってしまったようだ。
薬で治すよりは、しっかりと休む必要もあるので、薬に頼らず直していこうという事らしい。ただでさえ訓練時から飲んでいるので、ナノマシン除去の手術を受けるまでは、可能な限り使う量は減らそうだってさ。
体は痛いけど、無理のない範囲でストレッチをした後、ナビィにお願いして漫画やアニメにアクセスできる、旧世界の回線に繋げてもらった。
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