第71話
リュウは、コントのような親娘のやり取りには見向きもせず、店主が教えてくれた銃の分解方法を復習していた。
ナビィも分解の仕方を理解しているので、ここでこれ以上覚える必要は無くなり、お店から出ることにした。
コントに付き合っていたら、いつ帰れるようになるかわからないからな。
「ちょっと時間が空いたな……ナビィ、今日は家に帰ったら何か勉強する予定あるか?」
『どっちでもいいですが、やるとしても1時間ほどの学習で、詰め込むような方法ではないので、いつもの時間に帰ってきていても問題ないくらいの量です』
なるほど。とはいえ、遅くから勉強するのは微妙なので、少し早めに帰るとして……
「屋台のおばちゃんに言われてた、食料を保存できる箱を見に行くか。ナビィ、売ってる場所分かるか?」
『それでしたら、商業区にあるショッピングモールのような場所へ行きましょう。この街では、あそこが一番品数が多い場所です』
この街にそんな場所があったのか。ショッピングモールがあっても、毎日利用するような人おらんやろ。
そのショッピングモールに着いて一言、
「俺の想像してたのと違う」
いや、一部はアルファの想像していた通りなのだが、それ以外の部分が俺には違和感が強すぎて、総じてみると想像と違う……という感じ方になる。
俺がイメージしていた通りの部分とは、モール……遊歩道的な道のサイドにショッピング……買い物できる場所がある。この部分においては、目の前の商業施設は、ショッピングモールと言える。
だけど、アルファの中の常識が、これは本当にショッピングモールなのかを疑ってしまっている。
その疑ってしまっている部分とは、各小売店ごとにスペースがあるのも一緒なのだが、店の中へ入ることがなく、商品がディスプレイに表示されており、遊歩道の部分でウィンドウショッピングをするような形なのだ。
気になれば、商品を機会に出してもらい、確認してから購入することが可能だ。
ディスプレイの表示は、外から簡単に指の操作で変えられるようになっており、同時に10組ほどであれば楽しむことが出来るようになっている。
盗むような人はここには入れないが、犯罪の面もしっかりとカバーされているようで、ほぼ無人化しても問題ないような作りになっていたのだ。
違和感がすごすぎて、なんか来ちゃいけない場所へ来ている気分だった。
しばらく歩いてみて思ったのは、アルファの時代にあったインターネットショッピングみたいなものに近い感じだ。
インターネットショッピングは、どこにいても買い物ができてそれが家まで届くものだ。このショッピングモールも同じで、ここで選んだ商品を家に届けることも可能だった。
持ち帰ることも可能だし、服であれば試着することも可能だ。
そのせいか、アパレル関係のエリアは独立しており、色々な服に着替えて楽しむだけで、購入しなくても楽しめる場所となっている。
ただ、そのエリアへ入場するには、いくつかのスキャンを受ける必要があり、それで不合格となれば入ることが出来ない。
俺には関係ないエリアなので、横目に見て通り過ぎた。
目的の食材保存箱を売っている店にやってきた。
「こうやって見ると、いろんなサイズが売っているんだな。もっと種類は少ないと思ってたよ」
ディスプレイに目的の商品の数を表示してもらったら、大小合わせて100個近い箱が売られているようだ。
「いくら商品とはいっても、箱をリュックに入れて大きさを確かめるわけにはいかないよな……」
『それでしたら、カバンをこの上に置いて、これが入るサイズを出してもらえばよろしいと思います。その後で、大きさを確認したいので、同じサイズの試し入れができる箱を出してもらえば問題ないかと』
俺のような悩みを持っている人にも対応できるように、リュックのサイズから入れられる箱を選択し、試し入れができる木の箱のようなものを出してくれるようだ。
実際お勧めしてリュックやカバンに入らなかったこともあり、買う前に商品と同じサイズの箱を出し入れできるように、専用の安い箱を作ったんだとか。
他の商品にも言えることで、カバンに入れるもの大半は、試しに入れることが可能だ。これは盗まれても大した被害額にはならないし、盗んだ場合はすぐに顔写真が警察に届き、捕まるので盗む人もいないんだけどね。
効率化をしているが、かゆい所にはしっかり手が届く良い所だな。
俺は、並べられた箱をリュックへ入れていく。リュックに入るからといってピッタリすぎるものは、出し入れがしにくい。少し余裕を持たせると、リュックの中で動いてしまうため、どうにかならないものか?
『この際ですから、リュックを新調するのもいいのではないですか? ここでなら、10分もあれば、リュックのカスタマイズまでしてくれますよ』
リュックのカスタマイズとは? 疑問に思っていると、
『ベースのリュックに、左右や上下で入れるものを分けたいとなった場合、取り外しのできる仕切りをつけたり、一部をある物を入れるために改造できたりします』
今から俺たちが買う箱を入れる専用の場所を作り、荷物がかさばってきた場合は、保存用の箱に銃弾のケースなどを入れることも可能なので、箱が無駄に幅を取ることはないようにできる。
じゃぁ、箱の大きさを決めてからリュックを選びに行こう。
俺は、大体2食入る左右で入れる場所が分かれている保存箱を購入してから、リュックを売っているエリアへ向かい、この箱に合うサイズのリュックから使いやすそうなものを選んだ。
後は、カスタマイズで、リュックの一番下に保存箱専用の空間を作り、ファスナーで横から出し入れできるようにカスタマイズして、リュックの左右と下側に、物をかけられるようなベルトを増やしたものを注文した。
完成すればすぐに受け取ることもできたが、家に配達を頼んでさっさと帰ることにした。
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