第12話

 身代わりとかの話は今の俺には関係ないので、触れる必要もないだろう。問題は、あの不良ハンター3人組だからな。


 不良か……悪くない表現かもな。俺の中では、犯罪に手を染めているハンターは不良ハンターと呼称しよう。


 その3人の不良ハンターの様子も、ナビィが気を利かせて映像を表示してくれるので、どういう状況なのかを簡単に把握できる。


 街の方では既にあの3人が帰ってきたら拘束する準備が進んでいる。情報をリークしてから約4時間ほどで、不良ハンターたちのアジトにがさ入れに入り、情報を手に入れているようだ。


 俺のいた時代の日本では、ここまでの速さで動くのは無理だろうな。情報の出どころがネットであり、いくら裏帳簿のようなものがあっても、警察が押さえたものではないので、証拠としては信憑性が低い。


 そして、この情報だけでは家宅捜索などは行えないのが、日本の警察だったからな。この動きは、さすがに俺もビックリした。


 今日中に決着がつきそうな勢いだな。


 ハンターを相手にするためか、街の出入り口……門のような所には、武装した兵士がかなりの数集められている。


 主戦力となるのは、ロボットのようなモノに乗っている兵士だろう。


 ナビィの説明では、強化外骨格というモノであり、モンスターを鎮圧するために作られたものでは無く、対ハンター用に作られたモノらしい。


 強化外骨格=パワードスーツだと思っていた俺は、少し面をくらってしまった。


 広義的には、パワードスーツも強化外骨格の一部なのだが、パワードスーツは身に着けるモノ、強化外骨格は乗り込むモノ、といった感じに分かれるようだ。


 乗り込むと言っても、今回の強化外骨格は4mほどのサイズで、動体の部分に体を入れるようだ。乗り込むのは、全身義体の兵士のようで、動体の部分に縮こまっておさまっている。


 生身だったらかなりのストレスだろうが、全身が機械ならストレスは少ないのだろう。ナビィの説明では、強化外骨格を直接操作する形だから、中に詰め込まれている感じではないそうだ。


 体の大きさが変われば苦労しそうな気はするが、こういう場所に出てくるのであれば、特殊な訓練を受けているから問題ないはずだとさ。言われてみれば、確かにだな。



 おっと、様子を見ていたら、3人が帰る準備をしている。今の所、街の動きに気付いた様子はない。どうしても拘束したいだろうから、情報を流さないようにさせているのかもしれないな。


 街に近付くにつれて、3人の様子が変わってきた。普段ならネットにつながる場所で繋がらないため、かなり不振がっているようだ。


 自分たち以外の誰かが、街の上層部の人間の不興を買ったのだろうとカン毛ているようで、自分たちがターゲットになっているとは、思ってもいない事だろう。


 たまにあることなのか、不審には思っているけど問題ないと判断しているようだな。


 出入り口を通過していくハンターたちも、かなり不振がっているが問題なく通過できているので、興味を失っている様子だ。


 そしてその3人の順番が回ってくると、強化外骨格が4体現れ、車を動かせないような配置につき、銃を突き付けている。


 一悶着あるかと思っていたのだが、3人は兵士の指示に従い拘束されていく。


 自分たちは何もしていない、上の人間を呼べ、だれだれを呼んでこい、とか何とか言っている。自分を助けてくれるはずの人間なのだろう。余裕を見せているけど、今回は助からないよ。


 地下牢へ連れていかれても、元気よく叫んでいるが相手にされていない。


 1時間ほどすると、偉そうな人が3人組に近付いて来た。まさかたすけるのか? と思ったが、それも杞憂に終わる。


 3人組は偉そうな奴を散々罵るが、偉そうな奴は特に気にした様子はない。


 お前に命令され俺たちがやっていたことをぶちまける! とか言っているな。それに対して偉そうな奴は、ぶちまけるような暇はないよ。今ここで死ぬんだからな……といって、3人組は処刑場へ連れていかれ、首を落とされた。


 おうふ、これが権力者のやり方なんだろうな……偉そうな奴がやっていたことは、他にも知られていると思うけど、口に出す人間がいなければ問題ないってことかね。


「とりあえず、問題だった3人組の処理は終わったから、明日からは丘の方へ行けそうだな。持ち運びにカバンとかが欲しいけど、それは遺物に期待しよう」


 一日に何往復することになるか分からないが、荷物をしっかりと隠しておかないとな。一応、この部屋と隣の部屋は、俺しか入り方を知らないから、しばらくは大丈夫だと思う。


 問題は、遺物を売り始めた時に、誰かがこの建物を調べに来た場合、かなりの確率で荷物があることがバレると思う。最初は大人は入れないから問題ないと思っていたが、子どもも使って調べられたらすぐに見つかる可能性が高い。


 そうならないように、ナビィに荷物を隠しておけそうな場所を探してもらおう。人の来ない建物や、下水道に隠せそうならそこでもいいや。


 どうなるにせよ、あの丘の下に遺物が沢山あることが前提なんだよな。


 明日行ってみて、扉をあけられないとどうしようもないんだけどね。


『ある程度回収した後に、多少安くてもいいので情報を売ってしまうのはどうですか?』


 全部自分で回収できるとは思っていない。その内場所がバレて俺以外の人間が、そこから遺物を回収してしまうだろう。そうなる前に、情報を売ってしまうのはどうかってことか。


 身の安全を考えると、情報を売る行為はかなり危険ではあるが、少しでもお金に変えられるのであれば、儲けものという所だろう。


「そこらへんは、遺物を回収しながら、色々検討してみよう。情報を売るなら、良さそうなグループか、情報屋を探してもらうのもありか」


 ハンターのグループに売るのは、情報屋に売るよりリスクは高い。力がない俺は、ハンターたちに買いたたかれる可能性が高い。情報屋であれば、ハンターたちと対等にやりあえるから、この情報なら高く買ってくれるかもしれない。


 ひとまず、ナビィが集めてくれる情報を元に、どうするのがいいか考えるか。


 明日は体を使うから、しっかりと休んでおかないとな。今日もかなり無理したし、明日からだが大丈夫か少し心配だ。



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