第76話
注目されていないか気にしたのは、ギルドの入り口で新人としてはレベルの高い大立ち回りをしてので、少し注目されていたのだ。
ギルドマスターが色々聞いている間に、ナビィが声を拾っていて、俺のことを知っている人間を探す声や、自分のグループに入らないか検討する人たちなど、俺に都合の悪い話をしているやつらがいたのだ。
俺たちは、少なくとも他人の作ったグループに入るつもりはない。
自由な行動をとれなくなるのは、俺たちにとってかなりのマイナスになるので、入る可能性があるとすれば、自由に行動出来てグループのノルマがないところくらいだろう。
こんな理由なので、実質他人の作ったグループに入るつもりはないって感じだな。
自分でもグループを作るかは分からないが、裏切られる可能性があると考えているので、その辺に対応できるグループでない限りは、ソロで頑張っていく形になるだろう。
依頼以外では、臨時パーティーを組むつもりはないので、本当に1人で頑張っていくことになるだろうな。
お風呂に入りながら、そんなことを考えていた。
次の日は、朝から行くと面倒ごとに巻き込まれそうな気がしたので、座学をしてから午後一番でハンターギルドへ向かった。
やっぱりこの時間は人が少なく、俺的には落ち着いて色々できるので悪くないな。
本来であれば、俺のような新人ハンターは、朝一でギルドに仕事を探しに来るのが一般的だ。
新規の仕事の依頼が張り出されるのが朝5時とかなので、その時間に合わせて行動を開始するのが普通なのだ。
そうだったとしても、俺たちがハンターギルドに行くのは8時とか9時過ぎなので、もっと遅い時間である。
この時間は、中級に近いハンターや、中級ハンターたちが依頼を受ける時間だ。
このランクのハンターは戦闘が中心となり、ランクの低いハンターたちを率いて、哨戒したり間引きしたりするのが仕事になってくる。
中級以上でないと受けられない探索の依頼もあるが、これらはチームを組んでいる中級ハンターたちが優先されるそうだd。
1人で挑んで無駄死にされるのは困るので、初めから複数で依頼を受けるチームに依頼が行くことが多いんだとか。
特に期待されていない探索であれば、俺のような1人でも問題ないのだとか……俺じゃない新人だったら、まず間違いなく死んだだろうけどな。
そう考えると、ナビィ先生って本当にすげえな。
依頼がほとんど残っていない時間に来ても、出来ることはいろいろある。
依頼には、即日の物と時間指定の物がある。時間指定の物は、依頼を受けると張り出されるため、この時間に来た方が探しやすかったりもするらしい。
そういった依頼を受けるために、グループの中でもまだハンターとして仕事ができない年齢の子どもたちが、張り出される依頼の写真を撮って、グループの上の人たちに送る仕事があるそうだ。
ここで写真を撮って送るだけで、生活の保障がしてもらえるなら、子どもとしてはかなり割のいい仕事かもな。少なくとも、スラムに住んでいた俺からすれば、天と地ほどの差がある。
ここにいる間は、勉強もできるようで、手の空いたギルド職員が読み書きを教えていたりする。何もできない子どもがグループに所属するメリットだな。
その数にも限界はあるだろうし、全員を雇うことなんてできないから、結局俺たちのようなスラムで生活する子どもが減ることはないんだよな。
少し感傷に浸っていると、受付にいた俺の事情を知っている鑑定士に呼ばれた。
「昨日は大変だったみたいだな。昨日は、依頼を探しに来たと思うが、今日はこんな時間に着てどうしたんだ?」
「朝だとトラブルに巻き込まれそうな気がしたので、この時間でも探せる依頼を見に来た感じです。それに、新人ハンターが朝受ける依頼って、チームの人数が多いですよね? あまり多いのは……と思って、少ないのか、1人でもできるのを探しているんです」
「なるほど。今は時間があるのかな? あるのなら、10分ほど待っていてもらえないだろうか?」
よくわからなかったが、時間はあるので頷いておく。
依頼が出されている場所へ移動して、どんな依頼が多いのか確認しておく。
紙ではなくタッチパネル式なので、簡単に全部を見ることが可能だ。
旧式の紙のスタイルではなく、この時代にハイテクと言っていいのかわからないが、複数人が同時に触っても問題ないタイプのタッチパネルだ。
依頼を受けるためには、依頼を受領するというボタンを押し、受付で番号を言うことで受領完了となる。ボタンを押した段階で定員になったら、他の人たちには見えなくなるため、ブッキングすることはないそうだ。
やっぱり、この時間帯にある依頼って、中級以上が多いんだな。
しかも、明日とかではなく1週間後の依頼などが多いな。
いろいろ見ていると、鑑定士の人が戻ってきて受付に呼ばれた。
ブースの1つに入ると、
「今、ギルドマスターと話してきたのだが、君は特例で探索系の依頼を1人でも受けられるように交渉してきた。マスターも、以前の消えるウルフの件のことで、中級ハンター並みの索敵ができると考えている。
その点だけ取ってみても、中級ハンターが初級ハンターを率いて探索する依頼であれば、受けさせてもいいと思っている。後は、探索が丁寧で、後から入るギルドの職員に好評だったんだよ」
あの程度で好評って言われるのは、正直心外なんだが……俺以外のハンターってどんな報告してるんだよ……
『見てみます?』
そういって表示された報告書を見て、頭痛がする思いだった。
分かれ道の数や通路の長さについての記載が何もなかった。あるのは戦闘報告だけだな。後は、遺物のある可能性について書かれているくらいだった。
思わず吹き出しそうになったよ。こういうのは、俺が1人の時に見せてくれ……
「ほかにも理由はあるけど、能力が高いから君に任せたい仕事がいくつかあるんだ。常に依頼があるわけじゃないが、こちらから持ってくる依頼は、本来君では受けられないものになるってことだけ覚えておいてくれ」
俺がその依頼をもっていっても受けれないが、紹介してもらえば依頼を受けられる感じだな。
「で、君が良ければ、これを受けて見ないかな?」
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