【なんのために働いてるんだろう】
職場に行けなくなる2ヶ月前。
3年目に入り、事務分掌の内容もガラッと変わった。
Bさんが社会教育担当の係長となった。今までBさんが主担当だった業務の8割をDくんが引き継ぐ。
Bさんは、今まで主担当だった2割の業務と私に指示をする役割を担うことになった。
Bさんと共に仕事をする機会が増えたのである。
これまでと変わらず、Bさんは私と一緒に仕事をしている時は嫌なことを言わない。私のいない所で陰口を言うのも、昨年度と同じであるが。
私が主担当の業務は、昨年度と同じ。もちろん、Bさんに「手伝って欲しいです。」なんて言えるわけもなく、自分で動くしかない。
でも、Bさんへの報告だけは欠かさないようにした。
表面上、Bさんとは上司と部下の関係を築けていた気がする。そこだけは良かったなと思っていたのに。
今度は別の問題が起きてしまった。
女性団体に関係する町民と関係がうまくいかなくなったのである。
私が仕事にのめり込みすぎて起こした行動が、嫌われる要因だった。(第4章【仕事「しか」しない】参照)
町民をイベントに誘ったり、新しいことを試みようとしたりが仇になってしまった。
私は昨年度から「もっとこの団体を知ってもらいたい」と考えて、「若年層の女性にも団体の宣伝をしてみましょう」と会議で提案した。
これも仇となる。
団体のイベントに参加していた年配の町民に、「何が若い人だよ!」と聞こえるように言われてしまった。
しまいには、「この団体と関わる気はない。」と数人の町民に言われてしまう。
この町民たちは、町政や生活への不満が背景にあったようだ。さすがにBさんが前に出て、この人たちをなだめた。
後でBさんに、「根深い問題だから、時間をかけて不満を解消するようにやっていくしかないと思うよ。」と言われた。
これらの出来事をきっかけに、団体の中心メンバーともギクシャクするようになる。私は自分のこれまでの行いを悔いた。
「ああしなくては」、「こうしなくては」という思いに囚われて、団体に関わる人たちの気持ちが見えていなかった。
社会教育は、町民の活動を支援して、町民との関係を維持することが大事。
町民団体の業務においては、町民と関係が崩れれば、団体の運営ができなくなるかもしれない。
それなのに、自分の考えを押し付けることばかりして、差し出がましいことをしていたのかもしれない。
結果、町民にも嫌われてしまった。
なんてことをしてしまったんだろう。本当に恥ずかしい。穴があったら奥の奥まで入りたい。
自分のせいで、団体の運営がうまくいかなかったらどう責任を取ればいいんだろう?
こんな感じに、思い詰めていた。
団体の運営ができなくなったわけではない。
もしかすると、そこまで思い詰めることでもなかったのかもしれない。
しかし、この時点で私は健全な思考ができなくなっている。
自分の中だけで、悪い方向に悪い方向に物事を考えて、不安で不安で仕方ない。そんな思考を巡らせていた。
事務所内は、経験年数が長い人ばかりで顔見知りの町民も多い。だから、上の人に相談して町民対応をフォローしてもらうのが理想なのだろう。
けれども、「お前が悪い。」と言われて「ダメ職員」の烙印を押されることしか想像できなくて、誰にも話せなかった。
職員の中にいても孤独。友好な関係でいた町民の方とも、自分のせいで仲違いしそう。この頃から、気持ちが落ち込むことが多くなる。
下を向きながら
「私、なんのために働いてるんだろう?」
とばかり考えるようになった。
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