【倒れた②】

目を開けると私は仰向けになっていた。

課長補佐が焦った様子で私の肩を叩いて「大丈夫か!」と叫んでいた。


あぁ、倒れたんだ。私。

意識がなかったのは1分くらいか?

妙に冷静だった。


子どもの頃から脳貧血で意識を失うことはあったので、「いつものか」と思った。

いつもは倒れる一歩手前で頭を打たないようにしゃがむとか対策できるんだけども。

見事に真後ろにバタンといったな。

頭打ってないだろうか。


そんなことを考えて、いつもだったら時間が立ってゆっくり起き上がればいいんだけども、今回はなぜか起き上がれない。


おかしいと思っていたら、一部始終を間近で見ていたBさんがニヤニヤしながら救急車を呼んでいた。


【人の不幸は蜜の味】もここまで来ればドン引きだよ。

「呼ばなくていいです!」と言おうとしたけども大きな声も出ない。


公民館の近くにある消防署の皆さんが3分も経たないうちに到着。

「さすが救急車だな。早っ!」なんて関心してしまった。

名前を聞かれるけども、どうも覇気のある声が出ない。


「いつもは休めば大丈夫なんだって!」と言いたかったんだけども、どうもだるくて力が出ない。

なされるがままにストレッチャーに乗せられた。


消防士の中には署長さんもいた。小さい頃から知ってる同級生のお父さん。

○○くんのお父さん。重たくてごめんなさい。

こんなことになるならもっと早くダイエットすればよかった。


なんて思っていたけども、消防士の皆さんは責務を全うするかの如く手際よく私を公民館の外まで運ぶ。

ストレッチャーに乗せられると天井と空しか見えないんだね。

なんて考えていたらすぐに救急車に詰め込まれた。


救急車に乗った瞬間、若い消防士が「なんで誰も一緒に乗らないんだよ!」と怒っていた。


こんなこと言ってくれる人がいるなんて思ってもいなかったよ。

同じ町の地方公務員なのに、なんて人情のある方なのかしら。

私、感動しちゃった。


私と一緒に救急車に乗る人なんてあそこにはいないのだから。

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