【あの人に遭遇】
児童館を出たところ、駐車場に見慣れた車が停まっていた。
その車の持ち主は、以前の公民館の課長だった。
入職初日に私とDくんを迎えに来なかったり、「仕事内容はよくわかりません!」とカミングアウトしたりと困ったちゃん。(第1章【課長が迎えに来ない】参照)
でも、なぜか異動前には仲良くなっていたあの課長である。
この課長に職員として会うのは、これで最後だろう。
そう思ったから「あ、課長。お久しぶりです。」と言って、私から近づいた。
今日は出勤日のはず。
私服を着ていることから、有給を利用して所属している団体の用事を済ませているのだろうと推測した。
私のような若年層の職員が有給を取って自分のやりたい活動をすれば、職場の人にも町民にも批判される。
それをやっても無傷でいられるのは、この課長のなせるワザだよなぁ。
そんな私の気持ちを察したのか。
はたまた、私の事情を耳にしているからか。
課長はオロオロとしながら「お、おぉ。」と気まずそうにしている。
「、、、話は聞いているよ。退職することにしたんだね。」
課長は相変わらずオロオロしながら声をかけてきた。
「はい、、、短い間でしたが、お世話になりました。」と私が答える。
それに対して、課長は「第2の人生、頑張って。」と言った。
「はい、課長もお元気でいてください。」と伝えて別れた。
退職することが正式に決まった日に、社会人生活で最初の課長に会うとは思わなかったなぁ。
このタイミングで会うには、ふさわしい人物だったのかもしれない。
そんなことを考えながら、自宅に帰った。
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