【地元】
私の最大の失敗は、地元に戻ったことだ。
私は地元じゃ負け知らず
ではなく、
いじめられっ子。
きっかけは小学校5年生の時。
仲良くしていた女子のグループに仲間はずれにされている気がする。鈍感な私は、グループ内だけで起きている出来事なのだろうと考えていた。
しかし、気がつけばクラス全体が私を無視している。これを知った時はかなりショックだった。
結局のところ、クラスの中心的存在の男子が私をいじめるように全員に指示していたそうだ。
この男子の指示を真っ先に実行したのが女子たちで、徐々にその雰囲気がクラス全体に広がっていったのである。
とうとう胃が痛くなって、7日間学校を休んだ。
私が休みの間、担任の先生が学級会を開いていじめは良くないことを諭した。そして、クラス全員から話を聞き取ったそうだ。
私をいじめた理由は、「勉強ができるのを自慢してるから」だった。私も初めて得意なことを見つけて、鼻にかけてしまっていたのかもしれない。
泣きながら自分の行いを悔いて、行動を改めた。
学級会がきっかけで、無視する生徒は減った。しかし、1度こじれた人間関係は子供同士でも修復することはない。
いじめがぱったりなくならず、中学を卒業するまで続いた。靴に画鋲を入れられたこともある。
時間が経てば、自分がいじめられたことは忘れられている。大人になれば人間関係は変わる。
そう思って、大学卒業後に地元に帰ってきた。
これが大きな間違いだった。
CさんとDくんに置いて行かれた飲み会(第2章【生き方①】参照)で、もう1つこんな出来事があった。
小中学校の中心的存在の男子に再会した。仲間を連れて、4人で飲みに来ていた。
気が乗らなかったが、昔から仲が良かったかのように親しげに話しかけてくる。でも、外で飲む酒は楽しく飲めるタチだったから、笑顔を作って近況を話す。
酒の力で楽しくなった私は、つい大学の飲み会にいるような気分になって、隣にいる男子の肩をポンと叩いてしまった。
肩を叩かれた男子は、すぐに隣にいる中心的存在の男子にタッチした。
2人は顔を見合わせてニヤニヤしている。
あ、これ【バイ菌ごっこ】だ。
中学生の時以来、バイ菌ごっこを見たことがなかったからすっかり忘れていた。
大学では、男女関わらず飲み会で肩をポンと叩くことはよくあったから「自分が肩を叩いたらダメな存在」だったのが頭から抜けていた。
急に昔に戻されて悲しくなったと同時に、「この歳になって、まだバイ菌ごっこするのか」と正直、驚いた。
落ち込んだのは、これだけではない。
カウンターで話してたので、スナックのマスターから話しかけられた。このマスターは男子たちと親しい仲。
強い酒があるとのことで「これ飲んだら死んじゃうくらいだわ。」と言った後、私に向かって「飲ませてコロすか」とマスターは言った。
このマスターとは何度かしか顔を合わせていない。
「コロすか」とマスターが言った瞬間。男子たち大爆笑。
何度か話しただけの人に、冗談で「コロす」と言われても、笑って受け流せないのですが。
この町では
私=いじめられっ子
のイメージが、今でもついて回っているのかな?だから、町役場でも嫌なことばかりなのかな?
そんな考えが頭に浮かぶ。すごく悲しくなった。
地元にいると小中学生の時や町役場での出来事を思い出して、「自分っているだけでダメな人間なの?」と思えてくる。
地元でいじめられた子どもは、大人になっても地元でいじめられる。
この負のループから、いつかは抜け出したい。
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