【異常な行動】

Rさんが怒鳴られる少し前の話。


シン・課長が発端となり、公民館の職員数人でサークルを結成した。

そのメンバーに入れられた。

シン・課長の言うことは絶対なので抜けられない。


おまけに、代表に指名されていた。

もちろん、断れるわけがない。


仕事しながら、会費集めや打ち合わせに使う会議室の手配など事務的なことをやっていた。


そしたら、町民から「職員が公民館を好きに使っている」という声が上がる。

代表の私が町民から「神山さん、あれはダメだわ」と言われた。

「ダメだわ」と言われても、私は指導力のない代表なので、どうすることもできない。


誰かに言えばいい話なのだけれども、当時は1人で解決できない問題を抱えるしかなかった。


サークル活動への批判。逃避行したくなるような仕事のトラブル。Rさんが連日怒鳴られる。


これらが同時進行で頭の中にある状態で、気が滅入るRさんの悪口が耳に入ってくる。


Rさんの悪口大会が始まってから数日後。急に仕事に集中できなくなった。なんだか頭が回っていない感じもする。


すぐに、異変が起きた。


仕事をこなすペースが急に落ちたのである。


いつもやるべきことを忘れないように、小さい付箋にタスクを書く。付箋はパソコンの横側にペタペタ貼っていた。タスクが終わったら付箋をはがす。


その付箋が増える一方なのだ。気づいたら、パソコンの横側が付箋でびっしりになっていた。


あれ?いつものように仕事をこなせていない??


1日いっぱい事務所にいるのに、全然仕事が進んでいないじゃないか。


隣に仕事を妨害する人物が座っているけれども、それにしてもこれはあまりにも進んでいない。


このままでは、昨年度のように仕事できないんじゃないの⁉︎


自分の変化にかなり戸惑って、不安になった。


そこから異常な行動を起こす。


役場庁舎に郵便を取りに行くと、町議会の資料が混ざっていた。これは、大事な資料である。


公民館に戻ると、シン・課長が「あの議会の資料まだ来てないな?」と言っていた。


そういえば、私が取りに行ったんだった。カバンの中を見た。資料が入っていない!


あの資料をどこにやったのか全然記憶がない。自分、かなりやばい。


資料は役場庁舎にあるはずだ。すぐに役場庁舎に飛んで行った。


あの資料は、総務課の郵便受けにあったはずだからと、ひとまず総務課に向かう。

すると、総務課のどなたかの机の上に置いてあったのだ。


「すみません」と謝ると、総務課の皆さんに笑われてしまった。


ここに置いたことを全然覚えていない。自分、マジで怖い。


公民館に戻って、資料をシン・課長とシン・課長補佐に渡した。課長からは何も言われなかった。しかし、この日以降、課長補佐からはネチネチと言われるようになる。


「モンちゃんの記憶力はあてにならない。」 「焦るのがいけないんだ。」という言葉が続く。


「お前はできていない」のニュアンスは、言われ続けると、本当に自分が欠陥品に見えて来る。


しまいには、「よし!これからは俺がモンちゃんを鍛え直すよ!」と言われる事態となった。


鍛えられれば鍛えられるほど、私自身の欠陥が増える気がしてならないのですが。


そして、またやらかした。


資料の置き忘れから数日後。


ある講座の講師の方と、夜に打ち合わせをした。


夜8時過ぎに打ち合わせが終わって、「今日はもう帰ろう」とさっさと切り上げた。


そして、翌朝出勤した途端。Bさんから、「打ち合わせの資料、そのままになってるよ」と言われた。


打ち合わせしたテーブルを見ると、「まだ打ち合わせ中ですか?」状態になっている。


自分、片付けるの忘れたのか⁉︎ この前の資料のことといい、ホント自分、怖いんですけど。


立て続けに起きた異常な行動に対して、自分で自分にドン引きしていた。


この頃になって、「たぶん、自分はおかしくなっている」とやっと自覚した。だいぶ前から、おかしな行動はいくつかあったのだが。


そんな状態の中、夏休みを迎えた。


今まで長期休暇は熱を出してばかり(第1章【発熱】参照)だったから、今年の夏休みは友人と旅行するんだ。


私は張り切っていた。
































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