【就活開始】

町役場を退職してから2ヶ月。

まだ人と関わることは怖いけれども、再就職に対しては前向きになってきた。

そこで、就活を始めることにした。


まずは、ハローワークに行ってみた。

とりあえず、登録を済ませる。

それからは、毎日ホームページで求人をチェックして、応募できそうな会社を探す。


就職場所は隣町にしよう。

うちの町では、私の存在を知っている人がたくさんいる。

私の退職の経緯も知ってる人も多くいるだろうから、就職すること自体、無理かもしれない。


職種はどうしようか。

町役場の経験、社会教育の経験が何に活かせるのかよくわからない。

だから、職務経歴ではなく、希望職種を優先に仕事を探すことにした。


対人関係と臨機応変さが必要な職場環境で嫌な思いをしたので、ある程度マニュアル化されていて、パソコンや書類など、人間ではないものと関わる仕事がしたい。


そう思い立ち、事務職の求人ばかりを探した。(ちなみに、事務職であればどこの職場でもある程度の人に会うし、臨機応変さが必要なのだと、後に知った。)

この田舎の町でも、想像していたよりも求人があって驚いた。

新卒の就職先で大コケしたけれども、案外、なんとかなるかもしれない。

今よりだいぶ年齢が若かったのもあって、この時点で安堵していた。


就活開始から1週間もしないうちに、1社目の応募先を見つけられた。

1社目は子どもの時に通った総合病院。

経理事務の求人である。

私、病院の求人好きだなぁ(序章【自分軸がなかった就活③】参照)。


応募から1週間後に採用試験のために来てほしいと通知がきた。

採用試験の項目は、筆記試験と面接である。

母が経理事務の経験があるので、どんなものか少しだけ話を聞いてから臨んだ。


少し話を聞いただけで、なぜ受かると思ったのだろうか。

筆記試験は難しかった。というより、経理経験者なら余裕で解けるだろうけども、付け焼き刃の私が解くと、ボロが出るような問題ばかりだった。

当時は、貸借対照表たいしゃくたいしょうひょうの読み方さえ知らなかったよ。


おまけに、電卓を使う問題も出てきたのだけれども、持ってきた電卓の桁が全然足りないではないか。


だめだこりゃ!


筆記試験の段階でもう諦めの境地だったのだけれども、次の面接では、あの質問だけは、気を張って答えなければならないと力が入った。


あの質問とは、『前職の退職理由はなんですか?』である。


就活を始める前から、この質問がとにかく気がかりだった。

『人間関係が原因で、、、』なんて答えたら、問題のある人と思われるかもしれない。

転職マニュアルのようなタイトルの本も読んだけれども、『退職理由に、パワハラや人間関係は言わない方がいい』と書いてある。

言わない方がいいというなら、妥当な退職理由も書いてほしいわ!とツッコミたくなる。


辛い思いをしたはずなのに、なぜ本当のことを言えないのだろう?


嘆きたくもなるけれども、世の中がそうなっているのだから、自分でそれらしい退職理由を編み出すしかない。


就活生の時から、面接は想定できる質問と答えをノートに書いて対策していたので、この度もノートに書き込む。

頭を振り絞って退職理由を考えるけれども、答えを書くまでにものすごく時間がかかった。


苦し紛れの末に編み出した退職理由は、『残業続きで体調を悪くしたから』。


採用担当者や総務・人事経験者なら『嘘だろなぁ。』と勘ぐるかもしれない。

そして、見方によっては『残業は無理な人』というレッテルを貼られて不利になる。


果たして、この退職理由が通用するのだろうか?

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