【休職者の処遇】

町役場に入職してすぐに、役場庁舎には休職中の職員が3名いると知った。


3名とも休職理由は、メンタルを病んだことだった。


これを知った時、私は「役場庁舎にはのかなぁ?」と考えたが、すぐにやめた。


休職した3名は、3ヶ月〜半年間で復帰した。


休職者が復帰する度に、総務課から人事のお知らせがメールで届く。


初めてメールが届いた時は、「なぜ、復職するだけでメールが一斉送信されるんだろう?」と思った。メールは添付されたPDFを開くと、その理由がわかった。


休職した人たちは、復帰した時点で役職が1段階下がっているからだ。


総務課は、休職者が復帰した後の配属課と階級が変わったことを知らせるためにメールを送信するのである。


町役場の役職は、高卒の場合は主事補、大卒の場合は主事からスタートする。そして、勤続年数を経ると、主任主事→主任→主査→副主幹→課長補佐(主幹など)→課長の順で役職が上がる。(その自治体によって、役職の呼び名は変わります。)


しかし、休職した3名は復職後、主任→主任主事、主査→主任、副主幹→主査と役職が下がっていた。


3名の役職が下がった理由について、当時は怖くて周囲に聞けなかった。


今になって、どうしても気になったので地方公務員法を調べてみた。


すると、地方公務員法第28条の2に職員の役職を下げる「降任」の事由として、「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」と定められていることがわかった。(参考:e-GOV法令検索 「地方公務員法」https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000261)


つまり、休職した3名はメンタルの疾患によって、職務の遂行に支障があるとみなされたために降格させられたのである。


ちなみに、休職者の3名の中にはRさんがいた。


Rさんは第2章【仕事をもらえなかった日①・②】でも紹介したとおり、私が入職2年目の時に社会教育課に配属された主任のおじさんである。


上司のパワハラが原因でメンタルを病んでしまい、前年度の途中まで休職していた。


復職後は主任に降格し、休職前にいた課に復帰した。環境が厳しかったのか。

その後、Rさんは年度明けに社会教育課へ異動することが決まった。


Rさんにはこのような背景があった。


後に、Rさんの他の2名もメンタルを病んだ原因はパワハラだと知った。


パワハラに苦しんだ人たちに待っていたのは降格である。


降格は法に則って遂行されるためあらがうこともできずに、ただただ受け入れるしかない。







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