第3章 町役場にまつわるエトセトラ

【主担当と副担当】

第2章の続きを書く前に、町役場にまつわる話や私が適応障害になる兆候についてお伝えしたい。


最初は町役場に入って「なんじゃ、そりゃ!」と思った話から。


役所はタテ割り行政と言われるように、各部署がそれぞれ担当する業務を遂行する。


部署内でも担当が分かれている。それぞれの業務の担当者名は、事務分掌じむぶんしょうという役割分担表に書かれる。


事務分掌には、それぞれの業務に「主担当」と「副担当」の最低でも2名の名前が書かれている。


「主担当」はメインの担当者。その業務の責任者であり、メインで手を動かす存在である。


主担当1人だけに仕事をやらせるわけにはいかないので、「副担当」が補助的な存在として置かれる。稀に、副担当が2名いることもあった。


自分が主担当と副担当を担っていない業務にはノータッチが基本。逆に自分が主担当の業務には、副担当以外の人が手伝ってくれることはない。


入職する頃からこれが当たり前だと思っていた。だから、自分が与えられた業務は自分で全てこなさなければならないことに違和感はない。


では、何に対して「なんじゃ、そりゃ!」と思ったのか。


それは、主担当と副担当がことである。


副担当は補助に回る者である。しかし、主担当が困ったちゃんであれば、副担当が主担当のように動かなければならない。


入職して3ヶ月目で、この現象を体験した。


業務内容は女性団体の事務局。入職して間もないので、もちろん私は副担当。そして、主担当はというと、困ったちゃんの副主幹だった。


外勤したら半日は帰ってこない副主幹である。(第2章【外勤は逃げ】を参照)


そんな主担当の副主幹。朝礼が終わって席に着くと体を反らして、3つ隣の席にいる私に向かってこのような言葉を発する。


「お〜い!神山さんよ〜。女性団体の会議のレジュメ作っといてくれ〜。」


また、ある時は、


「お〜い、神山さんよ〜。女性団体のメンバーに会議の日程いつがいいか電話で聞いといてくれ〜。」


そして、ある時は、


「お〜い、神山さんよ〜。女性団体の見学旅行のバス手配しといてくれ〜。」


なんか、急に責任というかそういうものを感じるようになったんですけど。


そんなことを思うけれども、課長補佐の下の役職である副主幹に「あなたがやることじゃないですか?」なんて言えない。


そして、気づいたら事務所内の人たちどころか、女性団体のメンバーまで私のことを主担当だと思うようになっていた。


Bさんと臨時職員のEさんは、「女性団体の主担当は神山さんです。」と言いながらケタケタ笑っていたなぁ。


手を動かす分、仕事内容は覚えやすい。しかし、入職3ヶ月目に感じる重圧と副主幹へのイライラを誰にも言えないもどかしさはきつかった。


このような話は町役場に限ったことではないだろう。「あんたの仕事でしょーが!」と叫びたい人はどこの職場にもいるかもしれない。


今すぐにでも叫びたい皆さんへ。たまには断ることも大事だよ。


私は断れなくて、胃がキリキリして食べるとすぐにお腹を下す現象が1ヶ月続いたから。







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