【感情のコントロールができない②】

感情のコントロールがうまくいかないのは、職場だけではなくなっていた。


自宅でも起きるようになったのである。しかも、職場で起きる時よりも異常な行動をしてしまう。


覚えている出来事は2つ。


1つ目は、同級生数人と飲み会に行く前に、母から服装の指摘を受けた時のこと。


指摘の内容は、「トップスがスカートに合ってない」ことだった。あまりそう感じなかったのだけれども、急いで準備していたから気づかなかったのだろう。


あと少しで出かけなければならないのに、服装を考え直さなくてはならない。この状況だと、「イラッ」とする人はいると思う。


私の場合は、この「イラッと」をコントロールできないので、さらに怒りが暴走してしまう。


怒りの矛先はトップスに向いた。「合わないのであれば、このトップスは金輪際必要ない!」と極端な思考に発展して、トップスをゴミ箱に捨てた。


またやってしまった。なんてことをしてしまったんだ。


こうやってすぐに後悔するのも、いつものパターンである。


すぐにゴミ箱からトップスを拾って、急いで別のトップスに着替えた。


時間が迫っていたので、母に早口で「行ってきます。」と言って出かけた。


2つ目は、就寝前にベッドに入った時のこと。


その日は仕事中に、Eさんから嫌味を言われた。言われた言葉は忘れたけども、Eさんの言葉が頭の中で反芻する。どうしても止まらない。


この時点で、私のメンタルは不健康だったのだろう。メンタルが健全でない時、寝る前の暗い中で考え事をすると、ろくでもないことばかり浮かぶ。


そして、また「イラッと」してしまった。「イラッと」し出すと、また感情が制御不能になる。


気づいたら、目の前の壁を3回殴っていた。


大きな音に母が駆けつけて来た。私は何も言えなくて、寝たふりをした。


母も何も言えなかったのか、その場から去った。


母も私の情緒面の異常には気づいていたと思う。その後、何度か「感情のコントロールをした方がいい。」と言われた。


でも、根性で改善できるものではなかった。


私はこの体験記で、パワハラに遭ったことを主張している。

しかし、当時の私と関わっていた人の中には、「お前の態度が悪かったのが原因だろう。」と言いたい人がいるかもしれない。


そう言われてしまったら、何も言えない。言えるとしても、「自分の不徳の致すところでございました。」しか出てこない。


当時の私自身も、「どうしたら治るんだろう?」と考えてばかりいた。けれども、在職中に治ることはなかった。


結局、感情のコントロールができるようになったのは退職後である。徐々に感情の制御不能が起きなくなっていった。


この体験期の執筆を機に、適応障害について検索したり、本を読んだりした。


そして、適応障害の症状の中に感情のコントロールができない・暴力をふるう(反社会的行動)といったものがあると知った。


参考


浅井逸郎あさいいつお監修  『心のお医者さんに聴いてみよう「適応障害」ってどんな病気?正しい理解と治療法』

うつ病ナビ コラム『適応障害とうつ病の違い』

https://utu-yobo.com/column/adjustment-disorder/

もしかすると、適応障害と診断される前から、私のメンタルには異常が始まっていたのかもしれない。今は、そう考えたりもする。


心が健全でなくなる環境にいると、急に人を信用できなくなる。そして、怒りっぽくなったり、物に八つ当たりしたりなど異常な行動をしてしまうこともある。


そんな現象が起きたら、なんだろうな。今となってはそう考えるけれども、渦中にいる時は気づけない。


だから、以前より人を信じられなくなって怒りっぽくなった。そして、その怒りがなかなか収まってくれなくて悩んでいる方には、一旦休むことを考えて欲しい。


私のようにならないためにも。























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