【コミュ障①】

管理課から逃げたい理由がもう1つあった。

それは、指導主事だった。


指導主事とは、文部科学省のホームページから引用させてもらうと以下のような役職である。


学校の営む教育活動自体の適正・活発な進行を促進するため、校長及び教員に助言と指導を与えることを職務として教育委員会事務局に置かれる職。教育課程、学習指導、生徒指導、教材、学校の組織編制その他学校教育の専門的事項の指導に関する職務を行う。

(参考:文部科学省ホームページ:指導主事の配置状況について

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo1/003/gijiroku/attach/1421329.htm)


教育委員会に置かれる役職で、教育委員会から学校に指導する役割を担っているとのこと。

だから、校長経験者が就くことが多いらしい。そして、席は管理課にある。


我が教育委員会の指導主事も校長経験者。

この方も教育長と同じく、頭脳明晰すぎる方で突拍子もない話し方をする。

覚えているのは、公民館の事務所に何かの用事で訪れた時のこと


来て数秒もしないうちに、


「法定速度遵守と書かれている運送会社のトラックってあるじゃない。

法定速度は守らなきゃならないものなんだからわざわざ法定速度遵守と書く必要もないと思うんだけども。

速度違反をしている人がいるのかな?」


と発言するなり、ガッツリ目線を私・Dくん・Cさんの方に向けてきた。


結局、Cさんが「速度は誰だって守るに決まってるじゃないですか〜。」とうまく流して収束させたけど、これだけではなく、会う度にいつもなんとと返しが難しい絡み方をしてくる。


何の脈絡もない話を振って来るところも教育長と共通していたけれども、教育長と違うのは話す言葉にを含んでいることだった。

そして、という行為もする人だった。


学校の校長先生や教員に指導するのが指導主事のお仕事だと聞いていたのに、急に私にもしてくるようになった。


入職2年目に入った頃から、指導主事と顔を合わせる度にやけに絡まれるようになった。


私が管理課に用事があって行く度に。

指導主事が公民館の事務所に来る度に。

ロックオンした視線をこっちに向けたり、「神山さ〜ん」と呼んできたりして。

逃げる術を知らなかった私はいつも捕まってた。

捕まる度に有ること無いこといろいろ言われたり、管理課副主幹の嫌味に追従してくるのがいつものパターン。


絡まれる回数が多いからなのか、忘れたいからなのか。指導主事に言われた言葉や状況の全ては思い出せない。

でも、言われて1番ショックだった言葉は覚えている。

そして、指導主事に絡まれるようになった時期から私の身体に最初の異変が起きたのである。




















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