【地方公務員(町役場)の実態】

退職してから1ヶ月後。

我が家の電話が鳴った。

母が電話に出る。


受話器を置いた母がすぐに電話の相手と内容を報告してきた。


「町役場の総務課の人からだった。『娘さんの件について、関係者の処分を行ったからお母さんに説明したい。』と言ってきたよ。明日、役場庁舎に行くことになった。」


私は「えっ!」と声を上げた。

私の件って処分の対象になるんだ。と驚いた。


関係者というのは、どのくらいの範囲なのだろう。

私の中では、名前を挙げるとかなり複数になる。

でも、公民館から離れた役場庁舎で仕事をしている総務課の人たちが、全てを知っているとは思えない。

関係者とは、どのように選んだのだろう。


そして、処分とはどのようなものなのだろう。


考えただけで心臓がバクバクする。


翌日。


「行ってくるわ!」と言って、母は出かけて行った。

母は、今日も勇ましい。


どんな話をされるのだろう?

ドキドキしながら待っていたら、30分もしないうちに母が帰ってきた。


思ったより帰りが早いのと、母の怒りの表情で、私たちの想像とはかけ離れた処分だったのかと察した。


母から面談の経緯を報告された。


面談に対応したのは、総務課長と総務課に異動したAさんだった。


第一声は総務課長から発せられたそうだ。


関係者というのは、シン・課長補佐1人のみ。


処分は、訓告処分。


訓告処分は、町長から「今後は気をつけてね。」と言われるだけ。

シン・課長補佐のような性格では、全然ダメージを負わないだろう。


処分を負うのは、1人だけか。

恐らく、シン・課長補佐はこれまで配属された課で仕事の妨害などのパワハラ行為を行なっていたから、公民館以外の部署でも名前が挙がったのかなぁ。


母は、私が適応障害になった原因はシン・課長補佐の言動だけではないと、訴えたそうだ。

私も同じ気持ちである。


しかし、母が聞かされた言葉は私たちにとって愕然とするものだった。


総務課長によると、

『公民館の職員の複数人に事情聴取を実施したが、私に対してのパワハラ行為は確認できなかった。』

とのことだ。


公民館内で箝口令かんこうれいを敷いたのだろうか。


母はあまりに腹が立って「自分たちの保身に走っているだけではないですか!」という旨の言葉を放って、勢い余ってそのまま出て来たらしい。


母の話を聞いて、愕然と衝撃を一気に感じた。


期待はしていなかったけれども、ここまでだったとは。


「処分があっただけ、いいだろう。」と思われるかもしれないが、この時点でこちらは社会復帰ができるかもわからない状態になっているのだから、割り切れないものがある。


人を苦しませる行為をしても、いざという時は保身に走る。

互いに連携して庇い合うこともある。


ちなみに、面談に同席していたAさんは、母に向かって、私のことを「仕事の覚えが早くて能力の高い職員として評価していた。退職したのは、残念だ。」という旨の発言をしていたらしい。

今までのAさんの言動を考えると、別人のようである。


組織は保身に走る者たちを見て見ぬふりして、守ろうとする。


気づけば、町全体に『苦しむほうが悪いのだ』という雰囲気が拡散されている。


これが、地方公務員(町役場)の実態である。













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