第1章 前途多難の暗示

【課長が迎えに来ない!①】

とうとう迎えてしまった4月1日。


ガチガチに緊張しながら新規採用職員が集まる会議室に向かった。


向かいの席には歳が近そうな若い男性が座っていた。


お互い笑顔で挨拶して私はホッとして席につく。


恐らく彼も同じ新卒採用の職員だろう


話しやすそうでよかった。


集合時間までに同い年であろう新卒採用の職員や私よりも年上に見える中途採用の職員が揃った。


総務課の職員が会議室に入ってきて、私たちは別の部屋に案内された。


町長の年度初めの挨拶のあるからと全職員が集合しているところだった。


在職歴が長い町長だったから子どもの頃から町報で顔をよく見かけていたし、採用面接でも面と向かって話をした。


見慣れた顔なのにガチガチに緊張していたため、緊張が解けることはなかった。


正直、町長の言っていた言葉は頭に入らなかった。


最後に新規採用職員一人一人に「あなたたちを正式に採用しますよ〜」という意味の通知書が配られた。


通知書には配属先が書かれていた。


私の配属課は教育委員会社会教育課(※)。


町役場に入職して早速町役場から出向することに。


勤務先も役場庁舎内ではなく公民館となった。







※町役場の話を書いているのに町役場じゃないのかよ!


と、ツッコみたくなる方もいるかもしれませんが、元々は町役場の職員が教育委員会に出向して赴任する仕組みになっています。


地方自治体(市町村)は市町村長部局・教育委員会・議会事務局・農業委員会・選挙管理委員会などで組織されています。

(参考:総務省HP 地方自治制度の概要

「市町村の一般的な組織図(PDF)」

https://www.soumu.go.jp/main_content/000451029.pdf)


つまり、町役場と教育委員会は別物ではなく、職員同士でバリバリ繋がりがあります。


私が配属された社会教育課の業務は町役場の各部署と関わる機会が多いです。


それによって、あんなことやこんなことを経験したのだけど。

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