【蹴落とす】
職場でも町民からも攻撃を受ける私は、働く目的を失いつつあった。
働く目的を失った町役場職員が行き着く先は、どこなのか。
私が入職する前に、社会教育課から異動したのはGさん(第1章【歓送迎会】参照)とSさんだった。
いつものようにGさんは顔を出しているけれども、たまにSさんの姿が見えることもある。
Sさんは私に挨拶するくらいで、それ以上のことは話さない。一緒に仕事をしていた社会教育課の同僚たちとはよくしゃべる。
あまり嫌なイメージはないSさんだったが、この時だけ驚く言葉を口にした。
「一生懸命働いたって(職員にも町民にも)誰からも褒められないから、職員の誰かを蹴落とすことしかしなくなるんだよ。」
周りは笑いながら共感している。
誰かに承認されたくて、努力して懸命に仕事する。
しかし、いくら頑張っても報われることはない。
だから、一生懸命仕事をするよりも人を蹴落とす道に進む。
この組織では、仕事に励むよりも人を蹴落とす人が生き残る。
私もこの先、ここに行き着くのだろうか?
この時も仕事にのめり込んでいた私は、どうも腑に落ちなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます