101 蔦ちゃんのパチンコ事件、美月が泊まりに来る(微えろ注意)(いいイラスト付!)

(本文は下)


メイン・キャラクターのリスト(T=この話登場)(ここに記載した年齢はアバウトです)

(T) 松島彰  (19)主人公 大学生 浮気者(?)

(T) 浅井美月 (19)人気になっている女優 謎の力を持つ女の子 彰の彼女

  中川紗季 (19)彰と美月の島根の幼馴染 彰と複雑な関係がある

  宇都宮楓 (28)美人バイオリニスト 暗い性格 彰とも複雑

  ちはる  (22)国民的女優 強い性格 本当の主人公(?)彰が気になる(?)

  半田聖節せつ (22)国民的女優 ちはるの親友 変わった人(?)

  藤間穂花ほのか (20)女優・雑誌モデル 蔦双葉と同じシェアハウスに住んでいる。

(T) 蔦双葉  (13)国民的アイドルグループ桜田STのメンバー

(T) 伊波陽葵 (19)彰の大学の友だち。


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(前話:彰は大学一年で、新しく知り合ったかわいい友達、がり勉の伊波陽葵と図書館で過ごしたあと、一緒に帰ることに…)


前から私は思っていたが、もし女の子は美月しか付き合わないことにしたら、伊波のこと、彼女のこの側面を知れただろうか。


  美月には男子のだれかと二人きりであそんでほしくなくても、私たちのこと以外多分精神がない、浮気しか目指さないほかの男女と見るのは、逆に彼らの視点から見れば私たちの存在もそうじゃないか。彼らにそうレッテルを貼れば美月と私は静かに過ごせるかもしれないが、今の伊波だと、彼女はどのくらい危ない人に見えるのか。

  キャンパスを一緒に歩きながら、伊波は親からのメッセージに返しているようだ。

  浮気はまずくても、私はまともにいい人になれるのは人を犠牲にするようで、ある程度彼らを『人』だと見ないべきだろうか。

  そうしたら微笑んでくれた彼女を純粋だと感じる今は、他人のように、微笑んでくれても意味があるか、といつも思うだれかになるって……


  「えっと、この『バナナ像』ってさ」


  伊波は別れ際に私たちの前の銅製らしい像のことを言った。


  夕住園の文京区キャンパスにある様々な偉い人の像のなかに『バナナ像』がある。これはここで行われた国際的な海洋生物学についての会議を記念した像だ。デザインは抽象的なせいか、イルカに見えないので学生たちはバナナと呼んていた。駅近くの出口にあるので有名な待ち合わせ場所になっていた。

  「なんで?」私は聞いた。

  「バナナだよね」

  「うん。前に島根の友だちはこのキャンパスにあそびに来たときさ、この像はなにって、私もバナナと答えたんだ。悪いかな」

  それは紗季と姉の有紗さんだった。伊波は微笑んだ。「そうは言ってもさ、ちょっと元気がないバナナじゃないかなと思って」

  「え?」

  像を眺めている伊波は続けた。「だってさスーパーのって、もっとまっすぐだよね」

  「……あ、そっか」

  「そう、こうしたらいろいろ見られるね。松島くんはこんな元気のないバナナを見たことある?」

  う……「ないね」

  「ね、そんなのはどんな味かな。美味しくないと思うけど」

  伊波の意図をたくさん疑ったが、表情はいつものように純粋で、変なことは考えていないかもしれない。

  やばい、やばい、やばい……



五月中旬に美月が四日間くらい仕事がないので、私のアパートに泊まりに来る予定だった。

  とても狭いからと私は警告したが、彼女は一泊、二泊くらいは問題がないと言った。電話したときに私は聞いた。「お母さんはなにも言わないの?」

  「うん、大丈夫」

  「本当?」

  「いつもそうでしょ」美月は答えた。

  私と美月のことを秘密にしていたが、それを長く知っているはずだと浅井さんお母さんは何も言わないのが、礼儀だし、ただ私たちのことを邪魔したくないかもしれない。

  そして私は言った。「偉い女優さんが泊まりに来てくれて、貧乏アパートが聖地になるかもね」

  「ならないよ!」


  美月は自分がそんなに有名ではないので週刊誌の記者の対象じゃないと言ったが、目撃されたらどうすればいいかとまた話し合った。しかし、今の電話で彼女は国民的アイドルグループの桜田STの話を持ち出した。「桜田ST?なに?」

  「彰くんは仲が良いでしょ、彼女たちと」美月は言った。

  「え?」

  「だって、藤間から聞いたよ、あの鵜飼すみれさんのメンバーと連絡とっているみたいね」

  え?

  え⁇「あ、それは……」

  「彼女はかわいいし、もし空いてないならそれでもいいけど」


  でも藤間さん?


  雑誌モデルで女優の藤間さんは美月の知り合いで話していたかもしれないけど、桜田STの一期生の鵜飼さんと知り合いじゃないでしょう?

  藤間穂花ほのかさんは三期生の蔦双葉と同じシェアハウスに住んでいるから、話を聞いたのか……?

  「そんなことないよ!コンサートのあとはもう全然連絡していないよ」私は答えた。

  「そう?」

  「毎日連絡するのは君だけだよ……それで来るよね」

  「うん……」


  美月が泊りに来ることは嬉しかったが、部屋には布団とパソコンの椅子以外なにもないので彼女にはつらくないかと思って、七千円くらいのまあまあいいビーズクッション二つを買った。

  こんな風に美月とずっと一緒にいるのは久しぶりで、中学校のとき以来じゃないかな。彼女といろいろしゃべったり、ネットを使ったり、そして寝るとき……


  うん?


  結局私はこういうことを考えているのか……



  美月が泊まりに来る一週間前に蔦の両親が東京に来たので私もシェアハウスに行く予定だった。

  でもその前に蔦双葉との電話で私は言った。「ねえ、私がだれかと会うことって、みんなに報告しなくてもいい?」

  それは鵜飼さんと桜田STメンバーたちのこと。「……なんでですか?」

  「私がみんなをナンパしているみたいに言われるからだ」

  そのとき蔦の方からスナックを食べていた音を聞いた。彼女は答えた。「ん、もぐ、もぐ、松島さん得意じゃないですか、ナンパって。桜田の先輩たちも恋愛の素人じゃないのに、完全に松島さんにやられちゃってたよね」

  「なにがやられただ!いい加減にして」

  「ふむふむ。もぐ、ん、ん、だから松島さんは内緒でナンパしたいんですか」

  「蔦……」

  「はーい」

  「蔦のパチンコ店のことを私も言わないよね――なんで蔦が行ったのか私はわかるけど、ご両親やほかの人が聞いたら悪いし、私のこともそうだよね。ちゃんと伝えなかったら悪く聞こえるよ」

  「ふむふむ……」

  蔦は東京に引っ越したばかりの今から二、三ヶ月くらい前、嬉しそうにいろんな場所へあそびに行って、その一つがパチンコ店だった。

  しかも見るだけではなく、あそんでしまった。


  もともとカラフルな物が好きな蔦は、派手なゲーセンが確かに好きで、台の画面に漫画やゲームのアニメーションを楽しく再生しているパチンコ店も入りたいと彼女はずっと言っていた。

  年齢制限の十八歳まであと五、六年だが、彼女は自分が大人っぽく見られることに気づき、なぜか藤間さんの高校の制服を借りて、メイクを濃くしてパチンコ店に行った。結局店員が彼女を入らせたのはもう春休みだったからなのか、蔦を制服コスプレの社会人と思ったのかと想像した。

  蔦がパチンコ店に潜入した日、隣のおじさんとしゃべっていろんなコツを教わり、またやってみたいと言った。だが十三歳の桜田STのメンバーがパチンコ店に出入りしているとわかると即座に卒業させられるかもしれないと私が警告すると彼女は諦めた。

  前に蔦は言った。「でも松島さん、可能性の高い機械が本当にあるかもね、ネットにもいっぱい書いているけど……え、稼いだ人がいるよ。あのおじさんは前日十万円くらい稼いだと言ったんだ……あの日はですね、彼はもう玉が七、八トレイあったの」

  え?「……でも東京に来るのはパチンコをやるんじゃなくて、アイドルになるためでしょ」

  「お金があればはなんでもしますよ」

  「パチンコは十八歳まで待ってよ!」


  

  美月が私のアパートに来るのは金曜日の午後で、その日の私の授業は昼には終わった。

  目立たないよう私は駅に迎えに行かず近所で待っていた。一緒にアパートに入ると美月はマスクを外し、服などを入れたリュックを置いた。これは去年彼女が五千円くらいで買ったもので、最近美月はハイブランドにハマっているのだが普通のリュックを使ったのは迷彩のためだと思った。

  そして部屋を見せると美月はかわいいと言って近づいたとき、私は彼女にキスをした。「……リップ、新しいの?」

  「え、うん。いい?」

  美月に答える前に、私は彼女にキスをした。「いいでしょ。もっともっとキスしたいよ」

  「いつもね」

  「かわいいってここじゃない、君でしょ?」

  「……あ、彰くん」

  シンクでしばらく私たちの唇が離れない間に、美月のリップとほかの化粧の香りがするなか、私は彼女のセーターとTシャツの下に手を入れて素肌に触れた。

  私のさわり方がちょっと強かったのかもしれない美月は言った。「……大丈夫?」

  「うん。ただ君を見ると、こうしたい」

  「そうなの……もみもみしないで、太いよ」

  「細いよ」

  「うそ」

  しばらく私たちはただキスをしていたが、私は美月の身体を反転させ後ろからハグした。背後から私の手は彼女のお腹からブラまで上がって、やわらかくつかんでいた。「どう?」

  と私は美月の耳元で囁くと、彼女は答えた。「……私、部屋に着いたばかりだよ」

  「美月がほしい」

  「そう?」

  「だめ?」

  「だめじゃないけど……」

  後ろから私は美月を抱きしめながら、そこに彼女の手を導き動かすと言った。「寂しい。やっと東京にいるのに、あまり会える日がないね。いっぱい、いっぱい君をやりたいよ」

  「ごめん、忙しかったの」

  「今も?」

  「え、ううん」

  そして私は美月の手をつかんだまま続けた。

  「美月、次にいつ来る?」

  「……来週かな。今、するの?」

  「いいや」

  美月は少し考えると答えた。「私も彰くんとゆっくり過ごしたいよ、やっと一緒にいるのにね……ねえねえ、このブラって気づいた?新しいのだよ」

  「本当?」

  振り向いた彼女は微笑んだ。「ぎゅっとしてすごいいい感じだね。屈んで変態彰くんが見えたと言っても被害者にならないよ。見て見て」

  そう言った美月は襟を引っ張って胸を見せた。

  長く一緒にいた私たちには珍しくないことだが、今まで美月は女の子のいろんなことも自由に私に話したせいで詳しくなってしまったが、いらない情報ではないかと考えた……


  そのあと私たちは新しく買ったビーズクッションにすわりながら夕食になにを食べたらいいかと話した。そして『ルミナス・ストーリー』のゲームの話になると、私たちは自分の携帯でプレイしはじめた。




――――――――――――――――――――――

後書き


パチンコ店に入店するために社会人のようなスーツ姿にしなかったのは、どうしても13歳の自分は20何歳には見えないと気付き、18歳の高校生の姿で試したようです。


次は『ルミナス・ストーリー』というゲームの話になります!

  

蔦双葉のイラスト(初めてデジタル版!)

https://kakuyomu.jp/users/kamakurayuuki/news/16817330665659851097

衣装は自分で考えましたが、どう見てもバスガイドさんみたいだと思って、予めすみません-.-


この近況ノートに、『美月』についてのことがあります。長いので暇な時間があれば読んでいただけたら嬉しいです。  


――――――――――――――――――――――――

それと、もし私がまたまた戻れない場合に、よくカクヨムに執筆の技を教えるような作品を見たので、私もちょっと言いたいことがあります。


執筆ということは『字』のことではなく、最終的には『精神』です。


最初は『字』のことを学ぶようですが、いつかそれはちゃんと把握すると『精神』のことになります。


『美しい』文章とは美しい文章を作ることではなく、『精神』が感じるままに字にすることです。当たり前なことに見えても、読者に自分(作者)の心拍が聞こえるように書くのは簡単ではないです。


その段階に着くと、執筆は書く技術を磨くことではなく、純粋に『精神』のことになります。


わかる人がいるかわかりませんが、役に立つかもしれないと思って書きました。

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美月 ~芸能界の物語~ 鎌倉結希 @kamakurayuuki

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