70 ロイ (イ付)
実は、さっきイケメンも多かったね。
立っていたロイさんとほかの三人の女子は一緒に楽しくしゃべっていて、テレビや芸能ニュースで彼を見たことがあるから馴染みがあった。百八十センチ前後の身長で、まっすぐな姿勢ときれいなマナーで雅やかな印象が滲み出て、よく見たスーツ姿だけど、その日は珍しく深紅色のだった。
彼は日本人で、ロイは芸名だった。
ロイさんは美意識が高いことで有名で、近くで彼の肌を見ると本当にきれいだった……これが理由か、前にバラエティ番組のなかで彼自身のジョークではじまったが、だんだんと本当に彼はメディアで『太陽も蕩けさせる美男』の通称で呼ばれた。
私たちの足音を聞いた彼は振り向くと、驚いたような顔をした。「ちはるちゃん!忙しいと言ってたじゃない?」
ちはるさんは彼と一緒にいる女性たちに会釈すると答えた。「来たかったから空けたね。お誕生日おめでとう!これは私から、これは彼女からのプレゼント」
ロイさんは微笑むと言った。「ありがとう。二十四歳って、もうここだとおじさんみたいだね。えっと君はちはるちゃんの友だち?お名前は?」
「彼女のこと、本当に覚えてないの?」
ちはるさんは私の代わりに言った。そしてロイさんは眉間にしわを寄せた。「え、本当に美人だね、女優?顔に見覚えがあるんけど……」
どう反応すればいいかと私は迷いながら、三人の女子たちも私の方に向いて、するとシアン色のワンピースを着ている、外国人っぽい子が言った。「知ってるよ、ちはるちゃん!あのあの…『シロハシ』でしょ、ドラマって!……浅倉美月ちゃん?」
「浅井だ」
思い出した。この女の子はハーフタレントのネッティーさんだ。彼女もちはるさんの友だちかな。
そうちはるさんは直してあげると、なぜかみんなは驚いた様子だった。そしてロイさんは言った。「どうやって君たちは知り合ったの?ドラマを観たとき僕はずっと彼女の仲間入りをしたかったのに、機会がなかったんだ。話題の子だよね、浅井美月、『宝石より輝く原石』って」
「なにそれ、新しいドラマの名前?」ちはるさんが聞いた。
「あー、これは僕の作ったキャッチフレーズ。今はいいよ、浅井さんは僕の友だちになりたい?」
「嫌だ、彼女は私の友だちよ」
うん?
ちはるさんは私の肩に手を置くと、ロイさんは言った。「ちはるちゃんは厳しいね……え?彼女は君のファン?どういう意味?」
「美月ちゃんはさ、普通に私と会えないから前にIMERIのイベントまで来たね。そこでも、彼女はスタッフに私と写真を撮りたいと言わなかったら全然会わなかったよ。彼女はここまでして、君はまだどんな権利があると思う、
ま、待って!私は勝手にスタッフに呼ばれただけだよ。
「ほら。浅井さんが困ってるよ、ちはるちゃんの妄想じゃないの?」
「妄想じゃないよ。ね、美月ちゃん」
あー、なんと言うか。「う、うん」
ロイさんは目尻で見て言った。「まあ、僕ならね、浅井さん、全然、君を脅迫なんてしないよ。芸能界にはちはるみたいなやばい女が多いし、ちょっと距離を保った方がいいよ」
ちはるさんは笑った。「黙ってよ。美月ちゃんはね、私の家にいつでも泊まりにきてリラックスできるよ、あいつはまだ親と住んでるし」
「失礼!うちのマンションには温水プールがあるよ。僕のスポーツクラブならゲストでも使い放題だ!」
しばらく二人の激しくなっていくやり取りを見て私は言った。「い、いいです。私はそんなに詳しくないから……」
「え、彼女、声もかわいいね」
「言ったでしょ」
ちはるさんはそうロイさんに答えた。
そして二人は見合うと急に爆笑して、私が本当に信じたかとちはるさんは聞いた。「どういう意味ですか」
「冗談だよ!」
ちはるさんが微笑むと、ロイさんは言った。「そう。冗談だよ、浅井さん!ちはるの友だちは私の友だちだ。怒らないでね……あ、この美人の三人をまだ紹介していないね。ネッティーちゃん、タレント、絶対知ってるね。あとは大鹿私の親友だ、通称大馬鹿……本当にバカでしょ?君は。こっちは椎名、花王で大鹿の同僚だ。よければみんなで仲良くできたらいいね」
しばらく会話が続くと、ゲストがだんだんと到着したのでロイさんに挨拶しに行かないかとちはるさんは聞くと、ロイさんはそろそろピアノを演奏する予定があると説明した。そして彼の友だち大鹿さんは最近練習してたかと言った。「君のネイルを見たらね」
ロイさんのネイルはちょっと長く、女性の爪よりきれいだと言えるくらいで、実は最近、芸能人のネイルイベントで彼は賞を取ったそうだ。そして彼は答えた。「練習してたよ、だって仕事でいつも演奏する依頼があるんだ。私のネイルで美しい曲を演奏できないならこの世界は希望が残らない、しょぼくない?」
大鹿さんは笑った。「ロイ、それ以上言わないでよ!本気か、コントをやってるか、もうわからないから」
ロイさんは答えた。「君はマジを知らないね。地球の半分に光があって明るくて、もう半分はまだ暗いなんて、僕が両側にいられないせいだ。残念だね」
よくは意味がわからないけど、私はほかの人と一緒に笑っちゃった。
そのあとちはるさんは竹内さんという高校時代の親友を紹介してくれると、携帯のメッセージを見て友だちが着いたと言って、ロビーに迎えに行った。
私は竹内さんとしばらくいると、十分後くらいにちはるさんは戻ってきて、一緒に来たきれいな女の子って、ちゃんと見ると……「半田
『ホール』と私が呼んだこの大きな応接間に歩いてきたちはるさんとその女の子を見ながら私は言うと、竹内さんは答えた。「そうです。ちはるは芸能界に入った頃に知り合ったと言ったけど……えっと、もしかして浅井さんはちはると共演したから知り合ったの?」
「いえ、全然。イベントで知り合いました」
「そうなんだね……ここでちはるはだれともしゃべりそうね。実は彼女はそんなに社交的じゃないんだけどさ」
「え、そうなんですか?」
竹内さんはうなずいた。「むっとして一人でいたときが多いよ。私も人が苦手でさ、でもみんなもそうでしょ。人が苦手と言ったら当たり前で性格じゃないと思うけどさ。ただもっと一人、二人と話すなんてとくに社交的ではないし」
竹内さくらさんは、ちはるさんの高校時代の親友らしく、地味で大人しく見えるがここの雰囲気に慣れていそうだし、カバンとワンピースもよく見ると高いものかもしれないので、どこかのお嬢様かと私は思った。
そのときベルの音が鳴った。
しばらくしてピアニストの演奏が止まり、ベルはゲストたちの声のなかでもすぐに聞こえた。鳴らしたのはホテルスタッフではなく、ロイさん本人だった。
ベルを持っている彼はホールに入って、ゲストに挨拶すると、長く主寝室にいたからか彼は人数に驚いたようだった。何十人、いや百人以上いるかもしれないが、スタッフにマイクは必要か聞かれ、ロイさんは大丈夫と言った。「この椅子にちょっと乗ってもいいですか」
彼の周りに人が集まってきて、私の所からはあまり見えないが、気づくと彼は靴を脱いで椅子の上に立っていた。肉声で彼はみんなに挨拶すると大きな拍手と歓声が響いた。
「ロイさんは大人気ですよね」
私が言うと、竹内さんは答えた。「うん、いろいろこだわっているイメージだけど、彼は明け透けだからね」
ロイさんは自分の誕生日パーティーに参加したみんなに感謝すると、さっき言った通りグランドピアノを演奏しはじめた。彼がピアノが上手なのは芸能ニュースでも見たが、クラシック音楽の一曲目から、次はオリコンチャートの一位にランクインした『
そして拍手を浴びると、ロイさんは腕時計を見て言った。「もう七時だ、今夜はまだ長いね。みんな愛してるよ、楽しんでね!」
また大きな拍手と指笛が聞こえた。
――――――――――――――――
後書き
ここは仕事がいい、優秀な人が集まるらしい……
メインキャラクターの一人『半田
『竹内』はちはるの中学生の頃からの友達。マイナーなキャラだが、また役割があります。
ハーフのタレントの『ネッティー』もちはるの友達です。
ゲストのみんなと乾杯しているマッ……ロイのイラスト。
https://kakuyomu.jp/users/kamakurayuuki/news/16817330653700541276
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