100 伊波陽葵と図書館デート…⁇ (イラスト付)
五月に美月はちはるがCMでイメージモデルをしている『ルミナス・ストーリー』のゲームで一緒にあそぼうと誘った。
いろんなゲームをした経験がある私はこのゲームがとくに面白そうに見えないが、興味があるのはお金のことかもしれない。
イメージモデルだけではなく、契約上ちはるさんは定期的に『ルミナス・ストーリー』の実況動画をアップする予定だ。それはもし彼女があるレベルに達して、ボスなどを倒せたら数百万円の賞与金があるそうだ。
そこまでお金に執着はしていないちはるさんは、ゲームのプレイを助けに来た芸能人の友だちにそのお金を分けてあげるつもりで、その額は一番助けたと判断される順で、トップのプレーヤーなら五十万円くらいもらえると美月は説明した。私は聞いた。「本当に?五十万円?」
美月のマンションにいたときに、彼女はうなずいた。「そうそう。今いろんな芸能人が参加していてギルドに入って、彰くんもやらない?ちはるちゃんに言ってあげるよ」
「いいの?!」
「うん。彰くんも彼女のこと気に入ったんだよね?」
え、「女優としてだ!そんな皮肉言わないでよ」
「ううん、彼女はいい人なの。私はそんなにゲームに詳しくないけど、五十万円をもらったら私にいっぱい奢ってちょうだい!」
美月は笑った。
でもこんなに有名な女優と?最近私の人生はなんなんだ……
参加するのを決める間、少し『ルミナス・ストーリー』を試しながら美月からアイテムのコードやゲームの情報も載った雑誌のことを聞いた。だが本屋で雑誌は閉じられて包装されているので、私は大学の図書館に行ってみた。
入ると音を立てないように歩いて、本を読んだり勉強したりしている大学生たちを何人も見かけた。いつか自分もここで勉強するかと雰囲気を味わい考えながら、雑誌のコーナーには意外とグラビアのある雑誌も少しあった。私が探していたのも。
セクシーなのは表紙と数ページだが、もし知り合いに私が読んでいる姿を見られたらどうしようと心配しながら、またいろんな部屋を通ってこの大きな図書館の奥に進んだ。
うん?伊波?
偶然歩きながら一年生の友だちの伊波
頭がいい伊波なら図書館で司法試験の勉強をしているはずだと思ったが、しばらく遠くから彼女を見ると、本を探すより彼女はなにかを覗いているのだと挨拶するために近づくとわかった。
静かな空間、彼女の目の前の本棚の隙間から見えるのはキスしている大学生カップルだ。
「あっ」
振り向いた伊波に私は少し会釈した。
伊波は驚いたようだが、カップルを覗いていたのがバレないように私たちはこれ以上声を出さなかった。伊波は恥ずかしだろうと私は離れようとしたが、気づくと伊波も私についてきた。
そして安全な距離まで来ると彼女は囁いた。
「すごいね、こんなところなのに」
「う、うん」
彼女はまたそのカップルの方向をチラッと見ると聞いた。「……松島は勉強?なに読んでるの?」
「え、本じゃないけど」
そのとき私が持っている雑誌の表紙が水着のグラドルだったのを忘れていた。伊波は私のようにグラドルのかわいさ、足や肌、あとは胸などに集中しているかわからないが、表紙を見ると彼女は二秒くらい凍ったようになって、そして微笑んで言った。「……この図書館はいろんな雑誌があってよかったね」
まずい……「そ、そうだね、この雑誌があるのは私も驚いたんだ。伊波はなにを読んでいるの?」
「え、えっと」
法律関連の本ではなく普通の文庫で、『デートに誘われる女の正門』というタイトルの本だった。「……あ、この本は有名だよね」
伊波は微笑んだ。「う、うん!な、なんかさ、デートなんて考えてないんだけど!ただ男と女の心理の差がわかりたくて」
「そうだね。研究結果とかより、たまにこんな本はもっとわかりやすいかもね」
「そうそう」
そのあともう私たちはお互いの本のことを聞かなかった……
静けさで恥ずかしさを埋めながら、私たちは豪華なテーブルの椅子にすわって、奇妙だけど一緒にグラビア誌を見ていた。
伊波は私がただ掲載されたゲームの情報を探したいのはわかるけど、グラビアに伊波も興味がありそうだった。今まで彼女はちゃんとこんな雑誌を読んだことがないらしく、自分で捲くりながらあるページで手を止めて、くぐもった声で言った。
「収まらない……ごっくんGカップ」
うん?
わ、私の好みもそこまでじゃないよ!!
と思いながら、伊波は次のページに進むと言った。「ね、松島くん、聞きたいんだけど。男子ってなんでこんな雑誌を読んでいるの?」
「うーん、きれいだから?どういう意味?」
「お兄ちゃんもこんな雑誌を買っているけどさ、どんな気持ちかなと思って」
こういう風な質問は確か数年前美月も聞いたかなと思い出したが、伊波は思春期をどう過ごしたのか。「……かわいいって思う人がいるけど、買ったら大体エロだと思うのかな」
「そう?エロってビキニだから?」
「うー、うん」
「えっと、これくらいは?」
彼女が見せているのはキャミソールで、そんなに露出がないものだった。「えー、そうかな。撮影の目的はそうか、あとは人によってどんな目で見るかとか」
「そうなんだ」
伊波は客観的にいろいろ話せる人だが、静かな図書館でこんな話をするのはリッケとならいいけど、お嬢様らしい伊波なら怪しくないかと思った。
イケメンとかの雑誌があれば、女の子は男のようにじろじろ見ないのはわかるけど、逆に考えたら今伊波はグラビアを見て男もこういう風に見ると想像して違和感がないらしい。
すると彼女は自分の本のことを持ち出した。
「えっと、実はこれも聞きたくて。この本には男子がいろいろとはっきり言ってほしいとよく書いてあるね。松島くんはどう思う?」
それはさっきの『デートに誘われる女の正門』の本からだった。私は少し考えると答えた。「人によるけど、女の子は言わない人が多いでしょ……例えばね、温かい彼氏が欲しいみたいに言うけど、具体的になにかわからないし、男ならただこんなグラドルと付き合えたら満足だと思う」
「……本当?」
「うん、いつも笑顔で、喧嘩しなくて、家事をしてもいい」
「それはみんな?タイプとかではないの?」
「ない」
びっくりするような伊波はなにカップかのグラドルをまた見つめながら、私は続けた。
「それは女の子に言わないけど、伊波は男の子といたらわかるね」
「そうなんだ!」
「男ってさ、いつもこんなこと直接言って、恋愛のこともそうかもしれない――私はこの本の作者じゃないけど、もしだれかを好きになって、好きとか、彼氏になにをしてほしいとか、素直に言った方がいいと思う」
伊波はうなずいた。「……松島くんはやっぱり詳しいね。もしかして彼女がいるの?」
え?
伊波は平気そうに見えても、こんな質問なので意味があるかと疑った。でもこれからも彼女と長く付き合いそうなので、うそをつく必要はないから私は認めた。「……うん、いるんだ」
「そう思ったね。大学で?高校から?」
「島根のときから。もう数年だよね……伊波は彼氏がいないの?だってこんなに正門の本で勉強しているのに」
「いないよ!」
伊波が笑いながら振り向いた瞬間、偶然に私たちは見合った。
彼女の目は、なぜこんなにじっと見ているの。動けないようなそのとき私は言った。「……珍しいね。高校はアクティビティでいっぱいの人と知り合ったでしょ?」
「いいえ……今まで私は勉強ばかりだったからさ」
「そんなに?」
「うん。やっと夕住園に入れたの、もう少しリラックスして、いろいろ楽しめたらいいかなと思って……」
グラビア誌の後部『ルミナス・ストーリー』の情報が載るページまで開くと、伊波はこのゲームを見たいそうで私は携帯で音なしでやって見せた。
使っているこの射手のキャラクターは美月に言われた通りに作って、二、三十分くらい浜辺の森のマップでモンスターを倒すと、図書館を一緒に出たときに私は彼女にほかのゲームのことも話した。彼女は好きな暇つぶしスマホゲームを私にも見せた。
大学の友だちの男女ともこんな態度で付き合って伊波ならそんなに特別じゃないけど、彼女と離れて電車に乗りながら伊波は女の子だから、あまり親しくするのはだめかなと思った……
―――――――――――――――――――――
後書き
ちはるの50万円の賞金は彼女にとっては大した額ではないが、バイトをしないと決めた彰はゲームをやるのは新しいバイトだと思わないのだろうか?お金のためにのんびりすることを選んだ彰は全力になるのか?!
それによって芸能界と繋がるとは彰はまだ気づかない…
彰はただ伊波陽葵と友達になりたいだけだが、彰が赤い糸を何本持っているのか…神様しか知らないことかもしれませんΣ(・ω・ノ)ノ!
イラストは図書館で彰と伊波が鉢合わせした瞬間です。
https://kakuyomu.jp/users/kamakurayuuki/news/16817330658099679461
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます