95 彰の投資、高校の友達との記憶、現在の自責の念 (イラスト付)
それは投資のことだった。
二年前のことだが高校のときに私は株の売買はじめてよく美月に話したせいか、ちょうど芸能界で稼いでいる彼女は試しに私と一緒に投資をしていた。大学に進学すると彼女の分は数百万となって、もし損失があったらとくに彼女のお父さんにどうやって会ったらいいかと思っていた。
投資をきっかけに私は会社の『性格』を感じた。それはニュース、サイト、CMなどを見ても表示していない意味を読み取れて、たまたまパフォーマンスを憶測できたので、得た経済情報も使って試したかった。母は教育だと考えたのか私が彼女のアカウントを使うことを許可した。
運良く市場が好調なのかもしれない、一年以内に買った株は数十パーセント上がって、利益の数十万円のおかげで私はまだ続けることができた。意外と一番株に興味を持ったのはおばあちゃんで毎日、私に日経平均やほかの株価などを聞いた。彼女は実はおじいちゃんが生きていたとき、オンラインで競馬ギャンブルをして依存症にまでなり、多くの喧嘩の種になったらしい。『ラッキーランスロット』、彼女の店の名前は昔の有名な競走馬で彼女は数百万円ほど稼いだ恩がある馬だそうで、株が好きなのは競馬と一緒かもしれない。
高二でまだ株をやりはじめて二ヶ月目のある放課後、ラッキーランスロットの二階で本を読んでいた。そして店が閉まっているときにおばあちゃんの掃除を手伝いながら株のことを話すと私は言った。「競馬ってさ、本当に馬の状態がわかるのはオーナーたちしかいないし、騎手もそうで分析があっても曖昧だよね。株式市場なら隠されたところがあっても、規模が大きいから色々操るのは難しいと思うけど」
「……でも株って複雑じゃない?彰のアプリの数値とかみたってさ」
おばあちゃんはものを冷蔵庫に入れながら言った。床を拭いていた私は答えた。「ううん、多分データはそこまで重要じゃないと思います。今みんなもこう見ることができてもお金持ちになるわけではないかな」
「うーん、そうね」
学校でも私はアプリで株情報を見ていたので、高二の同級生は私が株をやっているのを知っていた。高一から同じクラスの
彼女のお父さんは不動産屋で働いているそうだが、彼女としゃべると株式上場している会社だとわかった。ちょっと珍しいが、そのあと西谷のお父さんの会社を見学するため、ある日の放課後私たち五人は一緒に訪問した。投資情報を探すのは私だけなのがちょっと恥ずかしいけど。
夕方一緒に電車に乗っていた紗季も私や西谷と同じクラスで、男子の吉木と弓道部の女子庄司は違うクラスだ。みんな去年の文化祭で『鉄切りブレードカフェ』の委員会で働いたきっかけで仲よくなった。松江にある西谷のお父さんの職場に着くと、先に連絡していたおかげで仕事が終わるとお父さんは仕事場を説明するのに十分な余裕があった。そのあと西谷はお父さんとは帰らずまだ私たちといて、近くにある焼肉屋で夕食を食べた。
彼女は私たちが珍しいから試した馬肉を避けた。紗季によると前に西谷は彼女の家に来たときイノシシ肉の料理も避けたそうで、彼女は一般的なものばかり食べると私たちは笑った。
食べ終わると八時の電車で帰った。
列車にはほぼ私たちだけで、女子の西谷、庄司、そして紗季は配信サービスの海外ドラマの話をしていた。私の隣に座っていた吉木が話しかけてきた。「あ、聞いたんだけどさ、お前、荻原を殴った?」
私は自分の携帯から顔を上げた。「殴ってないよ。会っただけ」
「大丈夫だった?」
「うん、もともとなんでもなかったからさ」
それは昨日の出来事で違うクラスの吉木がこんなに早く知っているのに驚いた。よく堂々と物言う吉木がこの話を持ち出したのが女子と少し離れたところだったのは意味があるかと考えた。
荻原は野球部で、問題となったのは数日前放送部に所属している彼女の新堀が運ぶものがあると同級生の私にそれを頼んだ。そのときいろいろしゃべって、夕方に彼女とほかの部員とコンビニのお弁当を買って一緒に食べたのは重大なことだと思わなかったが、だれかに目撃され彼氏がそれを知って不満を抱いたらしい。彼に呼び出されたとまでは言えないが、私は彼にその日の出来事を説明しに行った。
田舎なので道でだれかと会ったら知り合いという可能性が高かった。西谷と前に彼女の家の方向に一緒に自転車で帰っているのを目撃されて深い関係かという噂になった。
ある朝、同級生の女子たちに噂のことで揶揄され、彼女たちは西谷は私のことが好きかもしれないと言った。「だって彼女はあまりほかの男子としゃべらないよ」
「しゃべるだけで好きだと思うなんて変じゃない?」私は答えた。
「ここは外国じゃない、日本だよ、松!」
しばらく日本にいて風習はわかったが性別の意識が高く、異性と軽く付き合わないのが当たり前で、それにみんなは大体自分の仲間や同じ部の先輩後輩がいるが実は独りぼっちの人が多かった。しかし、中学校のときから私はみんなを繋げようとした。
人生は『他人』のことばかりじゃないかと感じた。人の悩みの多くはほかの人が関わっていると言えるし、独立した幸せは個人的な成功で、趣味に没頭することと言ったら、結局それはだれかの賛成が必要じゃないかと。新しい髪型とか、部活のこととか、だれでも注目してほしいかもしれないと私は話しかけてみた。日本は集団主義の国だと読んだのに、それはただ群れにいても、お互いに無視しながら、自分を認めるだれかがいると想像しているのか。もし人は個々がよくて、その寂しさを知らないなら、変なのは私だけかと思った。
みんなのためにしようとしたが、結局私はそんなことができないだろう。
紗季か……
反対側にすわっている彼女の笑顔を見ると、なぜ私にこんな気持ちがあるのか。
苦しみより、ただ私は消えたい。
その夏休み、彼女の部屋でゲームをしていたときのキスは、最後ではなかった。
高一の時に紗季と二人きりになった私はまた彼女とキスをした。もうやめようと私たちは話し合ったが。
紗季。そんな笑みを私に向けないで…
日本に来てから彼女はずっと私に優しくしてくれたのに、急に、ただ彼女は恋人じゃないわけで、彼女の繊細な気持ちを無視して、私と関係がないようにただの同級生にするのか
『過ち』のレッテルを気軽に彼女に貼れる私は正義感が強いのではなく、自分の都合でなんでもできる人じゃないか。
紗季との関係は罪でも、彼女を『人』と見られないのはなによりも死刑だ。
いろんな国に『友だち』という言葉はあるが、日本でそれは『知り合い』と『友だち』に分かれて、同級生と同僚みたいに笑顔で話していても裏では知り合いと呼ばれるのが普通で『友だち』と考えられたら特別なことだ。
日本の人は友だちがあまりいないせいで漫画とアニメでは仲間と友情を強調すると聞いたことがある。友だちだとわかる一つの重要な標準は、もしメッセージを送って相手が長いこと返信しなくても、嫌いなわけじゃないと信用があって不安にならないなら友だちだ。
……今列車のみんなとはそんな感じかな。
紗季とはそうなりたいけど、だめなのか。
なんのためかわからない今日のトリップなのにまだみんなは同行してくれて、全くくだらないと言えるのに楽しんで、なにかの目的よりただ一緒にいるそれだけだ。友だちってことはこんな感じかな。
高校を卒業したあと島根大学に進学した人が多くて、私みたいに東京に引っ越したのは庄司以外あまりだれもいない。
今年の三月、大学がはじまる前の夜、私は美月と電話すると、株の話で投資するために任せた美月のお金をなくしたらどうすればいいかと電話を切ったあと心配しながら、SNSで偶然、高校時代のグループ写真を発見した。
高三の秋、淡路島へ友だち七人と行った。今みんなはどうしているかな。
私は、本当に東京にいるのか。
「松島さん」
「うん?」
「藤間さんは松島さんのことが好きじゃないの?」
蔦と電車に乗りながら、藤間さんとメッセージをやり取りしていると答えると、蔦はそう囁いた。
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後書き
- 彰の祖母の店『ラッキーランスロット』、名前の由来は昔の有名な競走馬です。(彼女はギャンブルが好き)
- 西谷嶺は高1のシーンで登場したクラスのかわいい子です。ちょっと内気な性格。
- 彰は今まであまり読者に見せていませんが、学校で人気者らしいです。
- 彰は人を読む才能があって、企業のような団体も読めることを発見して、投資に力を使っています。
- 紗季との関係性は……。
最後に蔦は何を言ってるんだ!もう人を汚すことをやめると決めた彰は、潔く生きられるのか?
イラストは電車のシーンで、反省している彰くんです。
https://kakuyomu.jp/users/kamakurayuuki/news/16817330656622385705
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