第六章 デビュタント(下)
61 (高2の終わり) デンマークへの旅 (イ付)
下に
1. あらすじ
2. 新しい登場人物について
3. 今までのストーリー
(本編へスキップできます)
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1.
第6章(下)
あらすじ
彰の視点で書かれています。
第61-62 話 デンマークの旅行
第 63 話 東京でSNSからの『タツ』と出会い
第 64-65 話 楓さんとのデート(!?)
第 66-67 話 彰の高校浪漫、美月の東京での出来事
美月の視点で書かれています。
第 68-76話 有名な女優『ちはる』の誘いで、美月は彼女の友達、男子の芸能人のロイのお誕生日パーティー、通称『デビュタントボール』に行く。
字数 ~43,700字
全 16話
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2.
この章には重要なキャラクターが四人登場します。まださらっとの出番のもありますが。
1. タツ(名前はまだ秘密)
2. ちはる 第5章の最後で印象的に初登場した若い女優
3. 半田
4. 藤間
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3.
今までのストーリー
(この章が終わるともっと詳しい要約を書くつもりです)
デンマークからの帰国子女の松島彰は、地元で将来女優になる浅井美月と12歳の時知り合い、そのあと交際した。高校で美月はスカウトされ、東京に引っ越した後も彰は頑張って東京まで行き彼女を応援した。
高2で深夜ドラマ『白いままに走る』に主演したのは美月の小さなブレイクになり、活動しながら美月は恐ろしい有名女優の『ちはる』とも知り合った。彼女は本当の美月の輝きに気づいたからかどうかわからないが。
三ヶ月の雪での撮影で美月は少し変わったと感じた。一つは当たり前になった彰の存在は、会えなくなり当たり前ではないと気付いた。圧倒的な寂しさに、好きな彼とそうしたら、特になにが恥ずかしいのか美月はわからない。
好きだから。
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第61話
(彰の視点で)
三月上旬私はデンマークに行った。
ヘリーンさんの家に泊めてもらって感謝していたし、彼女のローストビーフやシチュー、いずれも日本での味とは違って、また食べることができて嬉しかった。それに私が日本から持ってきた食材も使われて、二日目の夕方に日本のカレーを作っているとキッチンに来たスヴェンが味見して、そのあと食事のときに彼はいっぱい食べた。二人は気に入ったようで、こんなブロックのカレールーがスーパーにあるかとスヴェンは聞くと私はうなずいた。「あるでしょ、日本食品のコーナーって。買ったら毎日作れるよ」
「えー!なんでセブは全然言わなかったの」
「こんなに好きって知らなかったよ」
冷凍庫にあるラム肉は使えると私はヘリーンさんに言って、エビやイカも大丈夫で、日本でカレーという料理はたまに残り物を処分する方法だと説明した。ヘリーンさんも味に感動したようで、気づくとデンマークにいる間はほぼ毎日、私はカレーを食べた。
久しぶりに戻ってコペンハーゲンのきれいな街を見ると、曖昧に記憶に残る風景がまた鮮やかになっていい感じで、もし来年、再来年、バイトしてお金を貯めてまた来ようかと考えた。
二日目、ヘリーンさんの家でカレー祭りがはじまる前の昼、私は一人でノアブロの繁華街にお土産を買いに行って、ある店のマグネットと置物がカラフルで見栄えがいいけど使わないものだと思ったから諦めた。その店からしばらく骨董屋をまわって安い喫煙のパイプを見かけて、同級生の吉木はこんな古いものが好きそうだから買おうとすると、中古品だけどいいチェスターコートも発見したので、そのパイプと一緒に買った。
商品の全身ミラーでその紺色のコートを重ねて見ると、格好いいと思った。そして店長のおじさんが私はデンマーク人かと聞くと、私は答えた。「いえ、日本人です。この前までここに数年間いましたが」
「あー、だからデンマーク語しゃべれるんですね。今は旅行?」
私は微笑んだ。「そうです。えっと、今日本の学校が休みなんですよ」
「デンマークと違う時期なの?」彼は入店していた客に向くと聞いた。
「はい、夏に長い休みもあるけど。私は日本に帰ったとき、新しい学年を半年くらい待ってましたね」
今見ている靴下みたいに、デンマークのブランドのものをお土産として買いたかったが、もう少し歩くとバス用品の店があったので入ってみた。液体のボディーソープより、同級生の女子の雑誌でよく見た高級そうな石鹸があるかと思って探すと、店内にそんな石鹸があった。適当にえらんでマーブルのおいしそうな色の石鹸も取った。全部のラベルに『Made in Denmark』と書かれていて、十個で同級生に足りるかと考えたが、これ以上もう運びたくないからこれだけ買った。
デンマークの一番近い長期の休みは四月にある復活祭の休暇なので、当然スヴェンは普通に学校に通っているが、私といるためか放課後、彼は早く帰宅した。彼の誘いで数回私たちは一緒にノアブロにあるゲーセンに行った。日本と比べてデンマークにはあまりゲーセンがないせいでよくあそんでいた格闘ゲームは結構古かったが、私たちは楽しくあそんでいた。
十四歳のスヴェンはもう身長が百八十五センチ近く、大人らしい体格で都心で彼とぶらぶらすると何回も女の人、おばさんまでも、彼をチラッと見ることがあった。この性格、あとはチャラい笑顔で学校で彼はモテるんじゃないかと思っていると、急に彼の電話が鳴った。女の子からの電話みたいで、長くしゃべると、私の眼つきからかスヴェンが彼女だと告白した。「あー、この前スヴェンが言ってたね」
「そうそう!覚えてるんだ」
「びっくりしたから」
去年の十二月に、スヴェンは友だちや親と一緒に都心のホイブロ広場のクリスマスマーケットにあそびに行ったとき、パンケーキ店の行列にかわいい女の子を見かけて、友だちの励ましで調子に乗った彼は即座にナンパした。実はその子の親は真後ろに立っていたとあとからわかったそうだけど。
彼女はカヘンという名前で、英語の発音ならそれはカレンだけど、彼女はスヴェンの一つ年下、スヴェンの携帯で写真を見ると彼女は本当にかわいいと思った。そして私は言った。「彼女に変なことは言わなかったよね、パンツを見たいとか」
「全然!僕はバカじゃないよ。今まで二、三回会ったけど。あ、でもね、鉄切りブレード、あのアニメってさ彼女におすすめしたら気に入ってくれそうだ。今自分でもうシーズン三まで観てるよ。あとはね、僕は『レミス・ブルーミンググレン』のレイヤーの写真を見せると彼女も着てみたいと言ったんだ」
「待って。アニメ……観てる?」
「うん、だれでも観てるでしょ。デンマークってつまらないものばかりだよね」
さっき見たスヴェンの彼女がレミス・ブルーミンググレンのコスプレをすると想像してみたら、ちょっと上品でファンタジーっぽい衣装と、ちょうどいい明るい髪色に似あった、このように日本は徐々に世界を制覇するのかと思った。私は聞いた。「でもアニメ?本当に彼女は違和感なんてないの?もしパンツじゃなかったら、触手とか出たらどうする?」
「僕らはどんなものを観てると思う?!」
「普通のアニメもあるでしょ、シスコン、マザコン……最近君の観ていた『ソートアーチ・オンライン』あの巨乳の妹がいたよね、谷間を見たシーンもあったし」
スヴェンはしばらく黙ると言った。「僕は変態に見える?」
「ちょっと」
「マジで?!」
「冗談だ」
「でもみんなも観てるから大丈夫じゃないかな……あ、そういえばさ、明日マツシマさんの同僚と会うの」
父ということだった。「うん、夕方ね。君と会えなくてごめん」
スヴェンはうなずいた。「いいよ。でも博士って、アニメによくあるじゃない?本当はセブのお父さんが秘密の組織で働いて、いっぱい裏のことを知ってるから処分されたって。まあ、今回セブは真実を発見するかもね」
「バカか。彼らの仕事は結構つまらないと思うよ。そういうアニメっぽい組織が本当にあったら、人類の生存のためになんとかの研究をしてみんなは嬉しいだろうね、早々に応募したがるかも」
「だからある?」
「そうは言ってないよ!」
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次回、彰はリッケと会います。
幼馴染のリッケのイラスト
https://kakuyomu.jp/users/kamakurayuuki/news/16817330652926441822
彰のお土産の買い方を見ると、学校で男子以外、女子とも仲が良いのが伺えます!
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