86 Ravenbane II でゲーム大会 (お泊り) (イラスト付)


その間ちはるはテレビの棚の下からゲーム機を出した。


  夕食で半田さんからゲームをするかどうか話を聞いて、さすがに女子会ならセンサーのコントローラーを使う身体を動かすテニスなどのゲームじゃないかと思うと、今見ていたのは想像と違って最先端のゲーム機だった。

  これ、よくゲームをしている彰くんも買いたいと言ってたものじゃないか。このゲーム機に半田さんは自分のアカウントでちはるの代わりにログインすると、手を合わせてちはるに言った。「頼むよ」

  「わかった。師匠は腕を見せないとね」

  え?

  酔っ払ったせいか、さっきから耳だけではなく結城さんは全身コスプレ姿に着替えていて、すると着ていないのはちはるだけだったから彼女と半田さんは強制で着替えさせ、今ちはるは少し谷間が見えるコスプレ姿で嫌そうだ。半田さんは自分の衣装が短いと気づいて短パンも履いた。


  『Ravenbane II』という有名なアクションRPGゲームでタイトル画面に合唱の曲が怖いと思うと、セーブを続けるとボス戦の前で、ボス部屋に入ると全体の雰囲気と同じくらい怖いボスと直面していた。

  ジュエリーの棚から私はベッドに移動した。テレビ画面のこの死神らしいボスは瞬間移動の攻撃を使うとちはるは機敏に避けて武器の槍で反撃していた。瞬間移動以外ボスがいろんな攻撃のバリエーションがあって、一回キャラクターはそんな魔法に撃たれて死にかけていた。

  キャラとボスも血がいっぱい流れるせいか、ゲームをしない私でも見ると緊張していた。やっと倒せるとちはるは言った。「どう、簡単でしょ?ただ避け方はちょっと特徴があるだけ。これくらいならモンハンの方が難しいよ」

  「えー、これはラスボスより難しいよ、三日前私はずっとこのボスと戦ってたんだ」半田さんは答えた。

  「『火の欠片』使った方が早く倒せるよ。じゃあ、進む?」

  「いいよ」

  

  テレビの前の床にちはると半田さんがすわって、後ろのベッドにいた結城さんが携帯を使いながらたまにゲームを見ていた。ゲームのキャラは暗いダンジョンに箱を潰れてアイテムを拾いながら、結城さんは言った。「さくらちゃんは来れなくて残念ね。彼女がいたら聖ちゃんはどんなコスプレをさせるつもり?」

  竹内さくらさんは、ロイさんのパーティ―で知り合ったちはるの学生時代の友だちだ。半田さんは振り向くと言った。「えー、さくらはちょっと難しいね。カードキャプターの制服って簡単に着られるからいいじゃない?」

  「持ってるの?」

  「ないけど、すぐに買えるよ。え、ちょうどいいじゃない?彼女はさくらだから桜ちゃんのコスプレで、君は朋子だから知世のコスプレをするって」

  「ビデオカメラを持つべき?」

  「そうそうそう。知世はいつも桜ちゃんのスカートの下を撮っていそうね」

  え?

  そう話しながら、またモンスターの血がいっぱい流れて怖そうな悲鳴もしたときに、みんな笑っているのはタイミングが良すぎた……これは本当に女子会か。


  前にちはるから聞いたことがあるが、どのゲーム会社でも彼女にイメージモデルになってほしいと話があればすぐに受ける、とこの夜彼女はまた言った。

  モンスターの悲鳴はまだ続いているが私は携帯のメッセージを見ながら、しばらく返事すると後ろからハグされた。「へー、彼氏?」

  ちはるだった。

  ゲームをやっているかと思ったが、もう半田さんと交代していた。女子だからそんなに気にしないけど、ちはるちゃんはちょっと胸を私の背中に押しつけすぎじゃない?私はお母さんとのやり取りだと答えた。「ちはる大丈夫?何杯も飲んだから」

  「うん。今はお母さんだけど、さっき彼氏とやり取りしてたの見たよ。嫉妬するな。今夜美月ちゃんは私のもののはずなのに」

  彼女の……もの。


  えー!?


  ちはるはまだギュッと私を抱きながら続けた。「ね、美月ちゃんは知らないの?私は彼女がいたことあるんだよ」


  え、え?


  びっくりしたのは私だけではないらしく、横から結城さんの声も聞こえた。「うそ、なんで全然知らなかった……だから彼氏との問題ってこういうこと?」

  半田さんはまだゲームをやっているが、驚いたよう「マジ?」と叫ぶと、るんるんという人のことを言った。「最近ちはるは彼女の家に泊まりに行くって……同じベッドなだけじゃなくて、肌も……情熱的でヒーターがいらない夜に?」

  「ジョークだよ!」

  ちはるはまだ私とくっついたまま彼女たちの方に振り向いた。

  「美月を騙してるんだよ。なんで一緒に乗らないの?」

  「こんなことってジョークじゃないでしょ!?」

  あとでわかったのはるんるんが杉浦琉実という名前でテレビ番組の美人アナウンサーさんだ。


  ベッドルームに持ち込んだワイングラスがこぼれないように、ちはるはグラスごとにタッパーを用意してみんなはその中に置いた。ワインと言えばカラフェというガラスの容器があるけど、その理由はとくにちはるはゲームをやりながら簡単にそばにあるワインを飲めるからだった。

  一時、彼女にとってまだ早いけど頑張って歯を磨きに行くと、酔っ払った彼女はコスプレのままベッドに倒れこんで寝た。

  そのあと私たちは二つあるバスルームのお風呂に入ってから眠くなってきた結城さんもちはると就寝して、二時にはリビングに半田さんと私しかいなかった。

  彼女はTシャツとパジャマのズボン姿でソファにくつろいで、なにかの携帯ゲームをしていた。初めてパーティーで会ったときみたいに彼女とは違和感がないけど、なんと話したらいいかわからないから明日の朝食の『地獄オムレツ』のことを聞くと、自分の近くのテーブルに置いたハンチング帽のことも言ってみた。「なんか、これ黒岩肇監督の帽子みたいですね」

  ちはるが被らなさそうな帽子で、聞くと彼女のではないとわかった。そして半田さんはソファの方から答えた。「そうね」

  

  また私たちは黙っていた。


  ゲームのポコポコ音しか聞こえない、ただおやすみと言ってベッドでぐっすり寝たいけど……そうしたら失礼かな。私はドラマ『静かなプロローグに近い』の演技のことを持ち出した。

  「……まだ撮影してないですけど、好きな男子がほかの女子といて嫉妬するシーンがあって、私の役が騒いで、ものも投げるみたいですね。数回演技してみて自分らしくないと思ったとき、半田さんならどうしますか」

  ただくだらない話だと思ったけど、半田さんはゲームをやめて、少し考えると聞いた。「台詞とかが自然じゃないってこと?」

  (つづく)





―――――――――――――――――――

後書き


人前で気軽な行動をする半田聖節は、二人だけでいると真剣に見え美月は驚いた。


実は自然にいろんな役をこなせて、少数派の『カメレオン女優』だと言われる。半田は美月に何を教えるのだろうか?


ゲームのことを持ち出したのは、そろそろゲーム中心に大きな展開があるので、予告です


(ちはるは寝る前に絶対歯を磨くことにこだわります…!)


イラストはゲームで、死神のボスと戦うシーンです。

https://kakuyomu.jp/users/kamakurayuuki/news/16817330655454635187

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