91 蔦とデート (??)・おっちょこちょいな藤間穂花と会う (イラスト付)

(この話はいつもより1,000字くらい長くてすみません -.-)


彼らは今埼玉県に住んでいて、桜田STのレッスンとほかの用事があれば戸田杏奈もそこから通うが、冗談か、お母さんも彼女の面倒も私に任せると言った。



今年の二月、学年がはじまる前に、さっきのはなまるうどんでお昼に蔦は数万円の紙幣を見せても私は奢りたかったが、レジで先払いだったので間に合わなかった。

  そしてそとを歩きながら、蔦はどこに行ったらいいかと聞くと、彼女次第だと私は答えた。「まだ服を買いたいと言ったじゃない?」

  「うーん、いろいろしたいけどなー」彼女は言った。

  十二歳のとき私はなにをしていたかな。私がいなくても蔦は自分で行動できそうに見え偉いと思った。必要はないものを買ってもいい?とよく冗談で言っても、本当には買わなさそうだ。東京に来るのをやっと許可したのは、両親が娘のことをわかったかららしい。

  前から気づいたのは蔦がカラフルでキラキラしたものが好きだということ。そのあと入ったアパレルショップでそんな服やアクセサリーがあれば彼女は見ていて、福岡の流行りかと想像した。

  「松島さん、ちょっと私はここにいるね」

  「あ、うん」

  デパートの下着店にさっきから蔦は寄りたいと言っていた。

  待ちながら私は近くにあるスニーカーの店を見ていた。だけど少しすると後ろから蔦が呼んだ。「松島さん、ちょっとこっち……え、それほしいの?」

  それは一万四千円くらいのナイキのスニーカーだった。ただ見ているだけだと私は答えた。「なんで」

  「お金があると言ったでしょ、もし松島さんがほしいならですねー」

  「だめだよ!」

  行くのはどこかと思うと、私たちは下着の店に戻った。


  普通に黒や灰色とかは明るい色だと言えないが、周りの下着の色のせいか、白色から薄いピンクや青いのが多くならんで、もっと濃いめの紫と赤色もあり、今はなんでも黒色でも妙にパステルカラーのように見えた。もし私が死んだら、パラダイスはこんな色かと思った。

  大人用の奥に少女向けのコーナーがあり、蔦はハンガーにかけられたスポーツブラの二枚を取って見せると言った。「これ、気に入ったんですけど」

  

  え、私に聞いた?


  あっ!わかった。普段彼女は自分で買っていないかな。


  蔦とちょっと長く知り合ってとくに違和感はないが、圧迫感を感じたのはそばに立っている若い女の店員の笑顔からか。そして蔦は説明した。「今度からは制服ですね、色があっても大丈夫だと思いますが」

  店員の笑顔をチラッと見ると私は答えた。「あ、色が問題になると聞いたことがあるね、キャミソールでいいじゃない」

  聞いたのではなくて、それは私が長年学校の女子を覗いた経験からだった。そして蔦は言った。「そうかもしれないけど、でもストラップも色があるって、どうかな」

  「……見えますか」

  店員さんに私は聞くと彼女は答えた。「そんなに見えないと思いますが、このショルダーバッグみたいに肩にかけるときにきつく感じるかもしれないですね、あとは汗とかで濡れると見えるかもしれません。これはどう思われますか、ストラップは白色で、これならピンクだけど薄いピンクですし」

  蔦はそれを見ると言った。「どっちも買っていいかな、松島さん」


  松島さん?



  最初気が付かなかったけど、店員さんの笑顔が気になってその店を離れると私は言った。「ね、そんなとき、松島さんって言わないでよ」

  「どんなときですか」蔦はまだ買い物袋を覗いていた。

  「わかるでしょ」

  「え、どういう……?」

  私は少し考えると言った。「私は男だ、普段蔦みたいな女の子と一緒にあれを買わないから」

  「……あー!ごめんなさい!でもさ、松島さんは変態じゃないですよ」

  変態の言葉のせいか、さっきすれ違ったおばさんは私の方を見た気がした。「世間体があまりよくないね……彰とか呼んでもいいし、気にしないから」

  「え、そう呼んだら松島さんは私のお兄ちゃんみたいじゃないかな。あー、わかった!お兄ちゃんと呼んだらいいですか」

  うん?「彰の方がいいかな……」

  「お兄ちゃん!」

  そのあと蔦が数回私をお兄ちゃんと呼んだから、私は兄弟がいないけど、兄って妹の胸に意識するかと考えた。

  

  とくに考えたくはないが、蔦のそこの膨らみがちょっと大きい気がした。運が良い子たちが走るとき男子の目障りになるので、学校の体育は男女分けると噂を聞いたことがあけど。

  スーパーで藤間さんのために買い物するとき、それを考えていると蔦は私を呼んだ。「どのサイズがいいと思いますか?」

  それはもちろんカボチャのことだ。私は答えた。「切ったのがいいんじゃない?そんなにいっぱい使う?」

  「全部は使わないと思いますが、長持ちするかなと思って」

  そして蔦は両手で一個のカボチャを持って見せる瞬間、カボチャっを持っているのか、後ろの膨らみかと私はうっかり思った。「……え、うん!」

  蔦は私を呼んだ。「これ、大き過ぎると思いますか?」

  「あ、それくらいがいいね」

  もっと小さなカボチャのことで、蔦は微笑んで言った。「掴みやすい。松島さんの手なら握れるサイズくらいじゃないですか?」

  「……うん」

  バカ変態!



そこからもう蔦と別れるつもりだったが、まだ遅くなかったのであそびに来ないか蔦は私を誘った。藤間さんに蔦のへそくりの報告をすることを思い出したので、結局一緒に彼女たちの家に行った。

  東京の郊外の大田区にあり御嶽山駅から住宅街を十分くらい歩くと着いた。庭がある大きな家で、借家人は藤間穂花さんだった。

  十九歳の彼女は、『bestie』というメジャーな女子雑誌のオーディションを合格してから雑誌のモデルで芸能界を踏み出して、七年前そのときのから活躍は幅広くなって、複数の作品も出演して『小さな宴』のドラマに美月の共演者なので知り合ったきっかけとなった。

  前に蔦の上京のことを美月に相談すると、家賃の五万円だけこのシェアハウスを提案して、藤間さんは結構夜遊びみたいな問題の行動がなさそうでいい人と美月も言った。

  「でも、彼女は彼氏がいるのよ」

  「彼氏?」

  数ヶ月前電話したとき美月はそう言った。そして彼女は続けた。「彼女はかわいいけど、変なことは期待しない方がいいよ」

  「私はどんな人だと思う?」

  「だって今まで何人か!前に野村の子のメッセージだったし」

  私は答えた。「彼女はテニス部の後輩だよ……ただ普通に連絡してるけどさ、君もどこかの男子に全然付き合わないの?連絡先も交換したでしょ?」

  「……そうだけど、いつもすぐに家に帰るよ」

  「私も!」

  なんなんだよ……

  この家のことを蔦の両親に伝えると、去年彼らはここに見に来て藤間さんといろいろ話したそうで結局えらんだ。なかには四つのベッドルームがあるそうで空いている三つの部屋の内、蔦は一番大きいドアが玄関側に向いている部屋に入って、窓からの朝の景色を撮って私に送ったことがあった。


  今日、私も来ることを蔦が藤間さんに伝え忘れていたので私は玄関で待っていた。だけどしばらくして蔦が戻ってきて藤間さんがいないと言った。「そとに行ったかな、松島さんはまず入っていいよ」

  プレーンな外観と少し違い、広い共用スペースのリビングにはお洒落で、住宅の雑誌に載る家のようだった。フローリングといろんな家具の色合いは温かい感じを与えて、午後五時になる前だったが複数の窓から光があってまだ明るかった。

  天井が吹き抜けで二階と繋がる部分を見上げると二つのドアがあって、蔦はまだ藤間さんにメッセージを送っていて私はリビングのソファの方に歩いた。テーブルには読みかけと思われる小説以外『TWENTY』という二十代女子向けの雑誌があって、笑顔の女優が表紙で今月の三月号だった。

  「ここにすわるね」私は言った。

  「うん。どうしよう……待って、彼女の携帯もここに置いてあるんだ」

  「なら、彼女の部屋は見た?」

  「さっきノックしたけど、もう一度」

  そう蔦は答えると、また階段を上がった。

  広さのおかげか階段は珍しく目立つところにあって、歩きやすそうだった。このソファから周りを見ると、キッチンみたいな天然石風タイルの壁で全体的に繊細に作られている。貸すためではなくもともとはプライベート用の家らしく、十六万円の家賃は確かにお得で、だから一人でも藤間穂花はあまり離れたくないのかもしれない。

  でも彼女はどこかな。


  すると静かな室内にだれかの呼吸音が聞こえてきた。階段を降りてきた蔦は私の方を見るとびっくりした顔で指を差した。「松島さん、そこ!」

  指差した方向は私の足元だけど、ソファか?下にスペースがあるこのソファは、ちゃんと屈んで見ると女の子がいて、藤間さんだった。

  床で彼女はぐっすり寝ているので、近づいてきた蔦に私は低い声で聞いた。「……彼女はよくここで寝る?」

  「たまに彼女はソファで寝てたけど、落ちたのかな」

  こんな位置には落ちないだろう。


  芸能人って変な癖を持つ人が多くにいると聞いたけど、彼女はその一人か。「私、帰った方がいい?」

  「なんで?」

  私はささやいた。「なんか、彼女は見られたくないかな」

  「……あ!双葉ちゃん!」


  私たちの会話のせいで藤間さんは起きた。


  最初彼女は笑顔で蔦におかえりと言ったが、私の足、そして顔を見ると『松島さん!』と声を上げて、急いで出ようとした瞬間に頭がソファ下の木にボン!とぶつかった。「いたっいたたたたっ!」


  「大丈夫ですか!」




―――――――――――――――――――――

後書き


藤間穂花、雑誌のモデルで美月サイド第74話にて初めて登場したが、彼女は彰と交わることになる。彰に対する彼女の反応は…?!

(藤間は蔦のもう一人の保護者です)


彰はあまり蔦を狙っているように見えないが、二人の関係はどうなるのか。


次回、藤間はソファの下に寝ている理由を明かします(ΦωΦ)フフフ…


イラストは遊んでいる蔦と彰で、下はソファに頭をぶつけた藤間です。

https://kakuyomu.jp/users/kamakurayuuki/news/16817330656064328906

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