第六章 デビュタント(上)
49 ドラマの撮影が開始 (イ付)
第6章は2パーツで『上』と『下』があります。
あらすじ
高2の冬に深夜ドラマ『白いままに走る』の撮影で、東京から群馬県などのロケが始まる。女優美月の視点からの芸能界を描きます。主役の美月は有名になりますが、彼女はどういう風に変わるのか?彼氏の彰との関係は?
全 12話
字数 ~30400字
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先のストーリー、『第1-3章』と『第4章』の要約を目次で探せます。
第5章の要約(仮)(690字)
(要約が不要な方は飛ばして下の本編へ)
高校1年生で美月は『ラグーン』の芸能事務所にスカウトされたから、彼女の初めての芸能の仕事は東京の池袋駅近くのモールで、その中の『ツバサタウン』のアイドルの『ツバサプリンセス』になる。
実は事務所が美月に他の仕事を探そうとしても、『ツバサタウン』での仕事は頻繁ではないので、島根に住みながら通える。
美月はその後、高校2年生に東京に引越し、彰は彼女を応援するために数回東京に来た。こうして東京に住んでいる祖父母、後は従姉の『舞』と『英斗』に仲が良くなって、『英斗』の美人バイオリニストの教師、『宇都宮楓』と知り合った。
彰と宇都宮楓との複雑な関係が進んで、優しいお姉さんの外見より彰は彼女の暗い性格をもっと見た。そうしながら、まだ『ツバサプリンセス』として働いた美月は、色んなオーディションを受けた時に、高2の始めに彼女は『白いままに走る』深夜ドラマの主役を受けた。
徐々にもっと芸能人になっている美月は、事務所の先輩女優の『米沢広子』とよく付き合い、そして『白いままに走る』の監督の『矢野哲平』と他の主役の『墨田義道』と交わる。期待した通りに彼女は自分の苦手なアイドルのイメージを離れられないが、本格的な女優になる。
すると、まだ撮影が始まらない、高2の六月に美月はテレビ局で、先輩の『米沢広子』の番組の収録を見に行った時、彼女は有名な女優の『ちはる』と出会う。米沢と嚙み合わないようなちはるとは口喧嘩になって、ちはるは米沢をビンタすることもした。そして先輩の米沢を適当に仕返しするためにテレビ局の外で美月はちはるにボトルから水をかけて、美月の行動に気に入ったちはるは美月の名前を聞いた……
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第六章 デビュタント(上)
第49話 ドラマの撮影開始
(美月の視点で)
脇役としてドラマに出演して、八月にバンド『Magazine Shop』のMV『ハッピータイム』の撮影は、曲は四分くらいだが、いろんなシーンがあったため順調に進んだものの全日かかった。来年のスケジュールはもっと忙しくなるかもしれないので、年末に終わるツバサプリンセスとの契約を更新しないと結局決めた。
そして十月上旬に『白いままに走る』のドラマの制作発表会があった。墨田さんの復帰作だからか記者が多くて、彼のスキャンダルと奥さんに関する質問以外、十七歳の私と彼の宇治
会場に笑い声が聞こえると墨田さんは続けた。
「えー、面白いと思わないですよ。駅前の女子高生を覗くのはおじさんの趣味でしょうね、逆に彼女たちは彼らを見るわけではありません。私みたいなおっさんはこのドラマを観て、自分たちが女子高生にモテるなんて誤解させたくないですね」
彼は真剣な顔で言ったが、笑い声は大きくなってみんなに冗談として受け取られているようだった。
このドラマは来年の一月に放送する予定で、十月末に撮影がはじまる。制作しながら放送するのが日本では一般的だった。
癌の薬の副作用で娘がいなくなった宇治役の墨田さんは、その製薬会社に復讐するため、自分の娘と同じ年齢くらいの社長の娘を誘拐するというプロットだった。東京の学校などのシーン、それから最終話のシーンも含めた撮影から、ロケ地の山が雪に覆われるまで待つと、十二月に宇治が逃げているシーンの撮影のため、私たちは群馬県に移動した。
路上のあるシーンで宇治が電話をするために車を降りたすきに、運転しようとした私のゆず役がこの車の安全システムのせいで動かなく、宇治に気づかれ逃げ出した私の前には白い雪しかなくて、そこで宇治と取っ組み合うと私は雪に倒れた。
私はスクールシャツの上にブレザーを着て、チェックスカートとハイソックスの制服姿で、演技がうまく行かなかったので何回も撮り直して濡れてきたブレザーを着替え、だんだんと身体が冷えて痺れてきた。モニターでそのテイクの映像を見るたびにスタッフが毛布やお茶をくれたから暖かくなって感謝した。「リハーサルのときできてたよ……もうちょっと自然に、必死に逃げるから乱れるでしょ。アングルが助けるけど、浅井さんが素人なんて感じてほしくないからね」
矢野監督は説明すると、ほかのスタッフのなかに立っていた墨田さんが言った。「きついな、矢野。俺も何回も雪にごろごろしたくないよ」
「あ、墨田、ちょっと彼女にやって見せる?」
「俺?」
「うん、転ぶって。浅井さんは見るとすぐにやり方がわかると思う」
「わかった」
そして墨田さんは私たちの役を交換するよう頼むと一緒に広い真っ白な雪に踏み出した。私は彼の台詞はあまり覚えてないので適当に言って、取っ組み合うパートを演じると離れようとした墨田さんが転んだ。彼がパニックになっている目や動作はとてもリアルだと感じて、私は感嘆してすごいと言った。「私より女子高生です!どうやってこんなに伝わるんですか?」
彼は微笑んで、雪から立ち上がると身体を拭いた。「あー、まだ濡れてなくてよかった……だって本当に逃げたいし、雪の白は普通いいけど、今は倒れるとこの白は死、ただ
「はい!」
道の方に振り向くと、近くにいる四人のスタッフから、撮影の拠点の十何人もの関係者がこっちを見ていて、自分はこんなに多くの人に期待されるって人生で初めてじゃないかと思った。一、二年前の私はただくだらないものだったのに、今私は本当に女優になったか。
矢野監督が言った通りに群馬に来る前、リハーサルでの演技で問題なさそうだったが。スタジオでの演技より、役の私より、ここでは雪にもならないと、だめじゃないか。
もう墨田さんの言葉がわかったと思うが、演技は大丈夫と矢野監督に言われたが、三テイクかかった。最終テイクに私は全身で雪に寝ながら……もういいか、オッケーという監督の声が聞こえ嬉しかった。
でもなぜか起き上がる気がなかった。
雪のなかにいると白色しか見えなくて。冷たい、でも大空がこんなに目の前にあるのは久しぶりだ。もしこの真っ青が最後の景色ならいいね。このまま白く、青くなれたら、私は嬉しいんだ。
そう思うと、彼のことを思い出した……
こんな空の代わりに、木陰かな。暗くなっていて、もう私だけだと思ったのに、君が現れた。
今、島根にいるでしょ。いいよ私をこのまま置いて、私はただ寝たいよ。これだけはだめなの。君といた時間は絶対忘れないけど、私たちはまた会えるかな……
すべて、ありがとう。
「浅井さん、浅井さん!」
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雪に倒れた美月のイラスト(with 偽の血!)
https://kakuyomu.jp/users/kamakurayuuki/news/16817330651868503587
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